夢の続き

岩本の携帯に、渡辺からLINEが入る。珍しい。いつもは電話なのに。

すぐ来て、とある。

とりあえず、渡辺の家に向かう。

合鍵で、部屋に入ると、静かで、気配がない。

寝室に入る。布団の中で丸くなっている。

岩本ー翔太。

渡辺ー・・。

飛び付いてくる。どこかおかしい。

岩本ー翔太、喋ってみ？

涙を溜め首を振る。

喉を押さえている。

岩本ーえっ、声出ないのか？

渡辺ー・・。

岩本は渡辺を抱きしめ、ベッドに座る。渡辺はポロポロ泣いている。

岩本ー何があった？LINEして？

渡辺：まだ、夢見る。怖い。そしたら、声出なくなった。

岩本ーまた、俺のそばにいろ。心配で俺が眠れない。

渡辺：薬、もうないんだ。だから、夢見る？

岩本ー病院行くぞ。

いつもの病院。飯島先生に、話をする。

岩本ー薬はもうありません。まだ、夢を見ています。それで、声が出なくなりました。

医師ー心療内科の先生を紹介しましょうか？

岩本ー俺たちのこと、これ以上知られるのは困ります。

医師ー信用できるやつ、私と同期なんだ。声が出ないのは私の領分ではないしね。

岩本ー翔太、どうする？

渡辺：声が出るなら、何でもいい。

岩本ー紹介していただけますか？

医師ー心療内科は、ここから突き当たりだから、そこを右ね。

内線入れとくし。大丈夫。行ってきて？

岩本と渡辺は心療内科にやって来た。ノックすると、中から「どうぞ〜」と声がする。

岩本ー飯島先生から紹介していただきました。

◯◯ー私は、楠本といいます。

岩本ーあの・・。

楠本ー飯島先生から聞いてます。渡辺さん、声が出ないと。

原因が2人の関係だと。誰にも言いません。守秘義務ですから。

岩本ーありがとうございます。

楠本ー渡辺さん？夢、頻繁に見てるんじゃないですか？

渡辺：しょっちゅう見ます。眠れないです。

楠本ー顔色はそこまで悪く・・化粧してますね？

睡眠導入剤を出します。飯島先生から頂いたものより、少し強いです。岩本さんの、そばにいてください。

岩本ー時間かかるでしょうか？

楠本ー安心させてください、そしたら出ます。

岩本ーありがとうございます。

良かったな、翔太。

渡辺：ありがとうございます。

楠本ー薬なくなったり、夢みるようなら、また来てください。

岩本ーはい。帰ろうか？

看護ー先生から、聞きました。大丈夫、出ますよ、きっと！

岩本ーありがとうございます。

看護ー安心させてあげてくださいね。

岩本ーなんか、恥ずかしいんですけど。

看護ー今更、何言ってますか。

岩本ー失礼します。

看護ーお大事に。