テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3,772
この話はプリ小説にあげる予定の話なのでみたい人はどうぞ!
mon「山本さん! 大きくなったら、俺と結婚して!!」
放課後の夕焼けが赤く染める公園で、小学6年生の問は、顔を真っ赤にしながら叫んだ。
ちいさな手で必死に差し出されたのは、放課後の図工の時間に作ったという、いびつな形の紙の指輪。
当時、高校2年生だった山本は、その小さな突撃に目を丸くした後、困ったように、けれど愛おしそうに破顔した。
ymmt「あはは、ありがとう問くん。嬉しいよ。じゃあ、問くんが僕より大きくなったら、ね」
山本はそう言って、腰を少し落として目線を合わせ、問の頭を優しく撫でた。
高校生の山本の背中は当時の問にとってずっと高く、まるで見上げるひまわりのようだった。
差し出された紙の指輪は、山本の大きくて綺麗な手のひらにすっぽりと収まってしまう。
mon「本当!? 絶対だよ! 俺、いっぱいご飯食べて、絶対に山本さんより大きくなるから!」
ymmt「うん、楽しみにしてるね。頑張って大きくなって」
山本が何気なく口にした「僕より大きくなったら」という条件。
それは、まだ小さな子供だった問にとって、絶対に叶えなければならない人生最大の「約束」になった。
それからの問は、牛乳を毎日欠かさず飲み、夜は早く寝て、少しでも山本のいる高さへ近づこうと必死に背伸びを繰り返す日々を送ることになる。
それから、長い年月が流れた。
オフィスの資料室。
山本は壁際に並んだ大きな棚を見上げて、一人でううんと背伸びをしていた。
ymmt「あともうちょっと……っ、よし、届く……っ!」
つま先立ちになり、限界まで腕を伸ばす。
指先が目当ての本の背表紙に触れ、あと数ミリで引き抜ける、というまさにその時だった。
頭上から、長い腕がスッと伸びてきた。
何の苦労もなさそうに、山本の指先のはるか上からその本を軽々と掴み取る。
mon「はい、これですね?」
ymmt「うわっ!? と、問くん……!?」
あまりに自然で、けれど圧倒的な体格差を見せつけられるような距離感に、山本は肩を跳ね上げて振り返った。
山本の視線は、自然と「上」に向く。
目の前に立っていたのは、すっかり大人の男になった問だった。
普段の問は、誰に対してもにこやかで人当たりのいい、爽やかでフレンドリーな好青年だ。
メンバーともいつも楽しそうに談笑しているし、周囲からも「話しやすくて良い子」と慕われている。
けれど、山本の前にいる時だけ、問の纏う「親しみやすさ」の奥にある熱量が、わずかに変化する。
山本の視線に気づいた問は、棚から取った本を山本の胸元へそっと差し出し、そのまま大人しく受け取った山本の両手に持たせた。
そして、空いた大きな手のひらを、山本の頭にそっと置いた。
mon「あともう少しでしたね。でも、無理して怪我したら危ないですから。これからは僕を呼んでくれれば、いつでも取りますよ」
かつては山本に撫でられていたはずの柔らかい髪を、今は問の方が上から、愛おしそうに優しくポンポンと叩く。
本を腕に抱えたまま、頭の上に感じる大きな手のひらの温もりと頼もしさに、山本の心臓がドクンと跳ねた。
夕方の公園で、「俺」と声を張り上げながら自分をずっと見上げていた小さな男の子の面影は、どこにもない。
ymmt「あ、ありがとう……。問くん、本当に大きくなったよね。いつの間に僕の身長、こんなに抜かしちゃったんだろう」
山本が少し照れくさそうに笑うと、問は頭に置いた手をそのままに、一歩、さらに山本との距離を詰めた。
さっきまでの人懐っこい笑顔のまま、けれどその瞳の奥にある真剣な光に射抜かれ、山本はごくりと息を呑む。長い影が、山本をすっぽりと覆い隠した。
mon「忘れたんですか? 僕より大きくなったら、って言ったの、山本さんですよ。僕はあの日の約束、一日だって忘れたことはありません」
ymmt「あ、あれは……っ、問くんがまだ子供だったから……っ」
mon「子供じゃなくなって、身長もちゃんと抜かしました。……ってことは、約束、果たしてくれますよね?」
いつものフレンドリーなトーンなのに、向けられる独占欲と言われて思い出す言葉の重みは、大人の男そのものだ。
周囲に見せる爽やかさとのギャップ、そして頭の上から伝わる圧倒的な体格差に、山本の理性が激しく揺さぶられる。
mon「今日の夜、山本さんの家に行ってもいいですか? ……お祝い、してほしいです」
甘えるように首を傾げながらも、逃がしてくれない熱い眼差し。
ymmt「……っ、うん。待ってる」
山本が顔を真っ赤にして頷くと、問は頭をポンポンしていた手を離し、「やった!」と無邪気に笑った。
かつて「大きくなったら」と夢見て、無邪気に「俺」と言いながら必死に背伸びをしていた少年は、今や山本のすべてを包み込むほどに大きくなって、その約束をすぐ傍で叶えようとしていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!