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姉に頼まれたMVPというボーイズグループのライブチケットが当たるというコラボカフェに行った8人。
結果、糸が見事にチケットを当てた。お昼過ぎにそのコラボカフェのメニューを食べた8人は
夕方まで、ゲームセンターに行ったりして遊んだりした。
「どうすんの?私が当てたチケット」
と糸が言う。
「帰って姉ちゃんに聞いてみるわ」
「…わかった」
と言ってそれぞれ家に帰っていった。
「たぁ~でぇ~まぁ~」
「ただいま」
雲善(うんぜん)、風善(ふうぜん)が帰宅する。2人揃って部屋に行く。着替えながら
「女楽国(にょたくに)さんの、もし「よこせ」って青姉(あおねえ)に言われたらどうすんの?」
風善が雲善に聞く。
「…さあ」
「さあって」
「オレライブとか行ったことないし」
「あるでしょ。青姉に連れてかれて」
「あるけど、青姉に全部まかせてたから。ふー(風善の呼び名)もそうでしょ」
「…ま、そうだけど」
「姉ちゃんに聞く以外ない!終了!当たっただけでスゴい!」
「まあ、たしかにね?」
その日は雲善、風善の姉、青はバイトで、夜ご飯も友達と食べてくるとのことだった。
リビングでくつろいでいると青が帰ってきた。
「お。青姉帰ってきた」
とリビングのソファーでくつろいでいた雲善がソファーの背もたれに首をそらせるように乗せる。
「帰ってきたね」
青は部屋に戻って着替えてリビングへ来た。
「青姉」
と雲善が青に呼びかける。
「ん?あぁ、そうだ。もらったっしょ?」
と言う青。
「あぁ。ふー」
「ちょっと待ってて」
と風善が部屋に戻ってカード状のものを7枚持ってきて
「はい」
と青に手渡す。
「ん。ありがとふー」
受け取って、ダイニングテーブルのイスに座り、カードを1枚1枚確認していく。
「外れたぁ~」
と手足を脱力させ、だらーんと伸ばし
先程の雲善のようにダイニングテーブルのイスの背もたれに首をそらすように乗せる青。
「全部?」
「全部」
「マジか…」
雲善が右手で頭を押さえる。
「まー、相応倍率高いし、当たらなくて当たり前だし。てかなんで雲善が落ちてんの」
と言う青。無言の雲善と風善。雲善が風善の足を足でつつく。風善が自分のことを指指す。
「頼む」
と両手を合わせて小声で言う雲善。
「なに?なんかあったん」
「地獄耳かよ」
「いや、青姉、実はね?」
と風善が事の詳細を青に伝える。
「…おいマジか…」
「あれ?激昂すると思ったけど、案外静かじゃん」
と言う雲善。
「たしかに」
「え。待って。その子はVipper(ビッパー)?」
「ビッパー?ジャスティンすか?」
「それはビーバー。Vipper。MVPのファンの愛称だよ。知っとけそんくらい」
「知るかよ!」
「女楽国さんはファンじゃない…と思うよ?」
「あれ?ふーのクラスメイトじゃないんだっけか」
「言っただろ。オレのクラスメイトだって」
「当たった衝撃がデカすぎて飛んだわ。で?ファンなの?」
「知らん」
と雲善が言うと
「知っとけよ」
とテーブルの上にあったビニールに包まれたゼリーを雲善に投げる青。
「いって」
「痛くはないだろ」
「知らねぇよ、クラスの女子のことなんて」
と言いながらも包みのビニールを外してゼリーを口に放り込む雲善。
「一緒に遊び行く仲なんだろ?」
「…まあ…クラスの中では…仲良い方…だわな」
とむしゃむしゃしながら言う雲善。
「で、どうすんの青姉」
と風善が聞くと青は腕を組む。
「ううぅ~ん…。通常ならハイチケ(コンビニHIGHSONで買えるライブチケットのこと)とかなら
手順踏んで送ってもらうこともできるけど…今回のチケットは特別だから
転売防止で送ってもらうこともできないし…」
パッっと顔が晴れて、人差し指を立てて
「スマホだけ貸してもらうか!」
と言った。
「あぁ~…」
と言いながら雲善を見る風善。
「ん?」
「いや、兄ちゃんが頼まないと」
「オレが?」
頷く風善。
「一回家連れて来なよ」
「はあぁ!?」
「あ、私がいるときによ?」
「あ、あぁ。そりゃーそうだろ」
動揺する雲善。
「なに?私らがいないときになんかしようとしたん?」
と青がニマァ~っという顔をして聞く。
「はあぁ!?なわけねえだろ!!付き合ってもねぇんだし」
「付き合ってなくてもあるでしょ。そーゆー」
「青姉」
と風善に静止されてその先は言わずに済んだ青。
「てかそもそもそこまですることかよ」
「することだよ」
「なにがいいんだよ」
と雲善が何気なく言う。風善は
やっちまった…
と思い頭を抱える。パチンッ!とスイッチが「ON」に入った青。
「この青姉様が説明してやろう。バカ弟よ」
「誰がバカ弟だよ」
「Make Vetter Places。頭文字を取ってMVP。みんなのまとめ役
リーダーの「メンバーをまとめ、Vipperのハートもまとめていただきます」RIKU様
しっかり者のお兄様担当の「妹みたい、なんて言わないよ。全員虜にしてあげる」TOKI様
色気を擬人化させたような、セクシー担当の「一緒に寝てあげることはできないけど
夢に出てあげることはできるから、そのときはよろしくね」GAKU様
ちょっとヤンチャな雰囲気を醸し出す、ヤンキー担当の「おらおらぁ~!
全員の愛!まとめてかかってこい!受け止めてやる!」RYU様
クールなクールビューティー担当の「氷より冷たいって?君の愛で溶かしてよ」MIRA様
不思議な世界観を持つ、可愛がられ担当「星々のメッセージ
Vipperのみんなぁ~、キラッキラぁ~(Vipperも一緒に言う)」KIRA様
もう1人の可愛がられる、可愛い弟担当「みんなぁ~!
イヌ派?ネコ派?(Vipper:MIKU派ぁ~!)ありがとぉ~!」MIKU様
この7人のメンバーで構成される、完全無欠、非の打ち所がないボーイズグループ。
アイドルじゃなくてボーイズグループだけど、その人気は凄まじく
割と苦労してるグループだけど、今やドームで開催されるライブは即完。
Make Vetter Placesというように、より良い場所を提供する
より良いライブを提供する、Vipper(ビッパー(ファンの愛称))を楽しませる
いい思いをして帰ってほしいという思いが強くて、ライブはVipperファースト。
各ライブの終わりに、メンバーの私物だったり
メンバーのサイン入りのグッズをプレゼントしてくれるという素晴らしさ。控えめにいって神。
そしてライブ衣装をプレゼントしてくれるときもある。Vipperからしたら神棚に飾るレベルの宝物よ。
今回のコラボカフェで当たるのは、そのメンバーの私物かメンバーのサイン入りグッズか
はたまたライブ衣装が“確実”にもらえるライブチケットぞ?いくらつぎ込んでも手に入れるわ。
いや、転売は御法度だけどね?ま、今回のチケットは転売不可仕様だけど。
そもそもMVPのチケ転売してるやつがいたらVipperが処しにいくけどね」
終わりそうもないので、雲善と風善は目を合わせてお互い頷き
青に気づかれないようにそっとソファーを立ってリビングを出ていこうと試みた。
しかし青は語りながらも見えていたらしく
ダイニングテーブルの上に置いてあった、ビニールに包まれたゼリーを雲善、風善に投げる。
雲善と風善は床に落ちたビニールに包まれたゼリーを広い、肩を落としてソファーに戻る。
ビニールを外してゼリーを放り込む様子がシンクロする雲善と風善。その後も青の語りを聞き続けた。
「もうさ、そんな好きならマネージャーとかやりゃーいいじゃん。な?」
と雲善が青に言って、風善に同意を求める。
「バカかお前は」
「は?どこがバカだよ。好きなんだからスケジュール把握やらなんやらやってても苦じゃないだろうし
そもそもある程度のスケジュール知ってんだろうから天職じゃん」
「だからバカかっての」
「バカバカうるせぇな。どこがバカなんだよバーカ」
「マネージャーに女が採用されるわけねぇだろ」
「…。そうなん?」
風善に聞く雲善。風善は
「さあ」
と苦笑いで軽く首を傾げる。
「お前さ、逆のこと考えろよ」
「逆?」
「女アイドルに男マネージャーつくと思うか?」
「…知らん。つくんじゃねぇの?」
「そのマネージャーがファンだったらどうすんだよ」
「どうするって」
「ちょっと危ないかもね」
と言う風善。
「そ!さすがはふー。同じ顔して頭ん中は段違いよ」
「うるせぇ」
「女アイドルでもそうなんだから、ボーイズグループにも言えるだろ」
「…はあ。そーなん?」
「ファンの好意舐めんなよ?中にはヤバいファンもいるからな?
マネージャーという立場を利用して、メンバーがいない隙に
メンバーの私服匂ったり、羽織ったりするかもしんないだろ。最悪のケースは窃盗して売る。
ま、それはファンじゃないけどね」
「ヤバッ」
「ま、我々良識あるVipperはしないけどね。
まず握手会でも、我々が行っていいのか。って迷うレベルだから。
ポツッターでもVipperのみんな言ってるもん。
「この私が○○様の視界に入ってもいいものなのだろうか」って」
「どんだけ自分を卑下してんだよ」
「卑下してないよ。ただメンバーが別次元にいすぎるだけ。
違う次元の我々が視界に入った瞬間、時空が歪むんじゃないかって。
あと単純にスマホの、この小さな画面ですら眩しいのに
実物に、しかも至近距離で会って、握手なんてしたら
眩しさのあまり、砂になって粉々になって消え散るんじゃないかって」
「…」
「…」
「ま、とにかく。アイドルじゃなくても、ボーイズグループの周辺に女がいるわけないだろ?
ま、ライブのスタッフさんの中の1人とか、衣装さんとかにはいるかもしんないけど
もし、万が一にでも間違い起こったらどうすんだよ。Vipperバチギレするぞ?
それが自分の推しで、しかもグループ離脱なんてなったら世界終わるぞマジ」
「終わんねぇよ」
とふっっと笑う雲善に
「舐めんなよ?Vipperの世界はMVPのお陰で創造されてるんだよ。
推しという核があって、メンバーが周りを構成してるのよ。ピースが1つ欠けた時点で終わるし
推しという核が無くなったら、世界は支えを失って崩落するに決まってんだろーが」
と光のない目で、無表情に言う青。
「こっわ。でもわかんねぇじゃん。管理栄養士?とか
メンバーの健康のために料理作る人とかが家に出入りしてるかもしんないだろ」
「あ?」
「もー。恐(こえ)ーんだよ。ヤンキーか」
「あるわけねぇだろ。メンバーの家なんて神聖な場所に女が立ち入る?ありえねぇ。バカにも程がある。
マネージャーですらファンが来ないように女じゃなくて男だっつってんのに家に出入りするのが女?
もしファンだったらどうなると思ってんの?」
「…まあ…そうか」
「ニュースになりそうだよね…」
「そーゆーこと。ま、仮に、もし、万が一あったらVipperで処すから。
ま、MVPはきっとMVP Townみたいなところに住んでるんだろうから、一般人は立ち入れないだろうけどね。
うん。あぁ~、メンバーだけが住んでる街かぁ~…。24時間ライブ中継してほしい。
あ、MIKU様通った!あ、RYU様とKIRA様が交流してるぅ~とか…。
あ、楽しそう。いや、楽しいに決まってる。あぁ~…そんなん24時間見るわぁ~…。
てか、んなバカなこと言ってないで部屋戻って勉強しろバカ。もうすぐテストだろ」
「うるせぇ。青姉もバイトライブバイトライブで大学ヤバいんじゃねぇーの?」
「ま、ワンチャン私は今のバイトで正社員狙ってるから」
なんていう青のMVP語りを長々と聞かされてから雲善、風善は部屋に戻った。
「あいつマジ頭おかしいだろ。部屋でも延々MVPの曲流して、合いの手入れて、ライブ映像見て泣いて
聴きたくもないのに強制的に曲聴かされて、頭おかしくなりそうだわ」
「まあね…。でもさっきのは兄ちゃんも悪い」
「どこが!!」
「青姉に「MVPのどこがいい」なんて言ったら語り始めるの待ったなしでしょ」
「…まあ…そうか…」
「ある程度それがわかった上でそれを言った兄ちゃんも迂闊だったってことだよ」
「はあぁ~…疲れた」
「なぜかオレも付き合わされたしね…」
「てかマジ?」
急に話を分断するように言う雲善。
「ん?」
「いや、家連れてくるって話」
「あぁ~すっかり忘れてた。ま、女楽国さん聞いてみて
断られたらそのときはそのときで別の案考えたらいいんj」
「いいんじゃない?」と風善が言おうとしたところに
「いや、断られたらショックで打開策とか考えられんって」
被せる雲善。
ショックなんだ
と思う風善。
「まあ、そのときはオレが青姉に話しとくよ」
「…頼んだぞ。オレの屍は弟であるふーが責任を持って」
「拾います」
ということで学校にて、お昼ご飯を食べ終わった後
「てことがあってさ。マジで姉ちゃんの語りは地獄よ」
「へえぇ~。じゃあ、うたげさんのあれはリアリティーないんだ。
キャラデザとか歌とかいろいろ凝ってて、作画もいいのに、リアリティーないって聞くと一気に冷めるな…」
「琴道」
風善に言われて我に返る琴道。
「でもオレだったらマンガについて人には語らないな。にわか増やしたくないし」
「じゃ、青姉はにわかなんか」
「それ青姉に言ったら、割とマジで処されるんじゃない?」
「ま、ドルヲタと二次元ヲタは違うからね。
しかもボーイズグループってなると推してる層って割と陽キャ寄りの人が多いから。
オレら二次元ヲタは陰キャだからちょっと違いはあるかもしんない。
…でも女の人って同担拒否率高いって聞くけど、あれはドルヲタにも共通すんのかな」
「…ドータンキョヒ?なんだそれ」
「同担拒否。同じ推しの人とは仲良くならないってことだよね?」
「そ」
なんてことを話していた。その話している最中も
糸、ヨルコ、嶺杏(れあ)、恋弁(れんか)が固まっている場所にちょくちょく視線を向けていた雲善。
「…ふぅ~…」
深呼吸のように鼻から息を思い切り吐く雲善。
「よしっ」
覚悟を決めたように立ち上がる。
「なに?うんこする決心つけたの?」
と言う名良(なら)。
「ちげーわ。琴道」
「ん?」
「ちょっと」
立ち上がるように手でジェスチャーされ
「なに?」
立ち上がる琴道。
「ちょっとついて来て」
「ん?」
雲善が歩き出し、その後をついていく琴道。糸たちが近くなってくる。ドッキドキする。
「…なっ、なあ」
声をかける。変な、いつもの感じじゃない声のかけ方になる。
兄ちゃん…
クスッっと笑う風善。
「ん?どしたん雲善」
糸が言う。
「あ、あのさあぁ」
「ん?」
「女楽国さあぁ」
「ん?私?はい」
「あっ、明日のほう、放課後とかさ?」
「放課後?はい」
「空いてたりする?」
と言われてポカーンとなる糸。嶺杏やヨルコは
お?もしやぁ~?
とヨルコは「キャー!!」という表情、嶺杏は「ふうぅ~ん」という顔で糸を見る。
「あっ、空いてますが?」
「そっ、そっか」
なんて言えばいいんだ?…なんて…
と考える雲善。遠目で見ている名良は
「なにしてんの?あれ」
と雲善を見ながら風善に聞く。
「んん~。勇気を出してる。かな」
「…なにそれ」
「あ、あのさ」
「な、なに」
「家(うち)来ねぇ?」
「…」
固まる糸。
「…」
固まる嶺杏。
「…」
固まる恋弁。
「…」
「え?」という表情の琴道。「キャー!!」という表情のヨルコ。
「なんかあのエリア固まってない?」
と名良が言う。
「あぁ~。たぶん勇気を出した結果だろうね」
「…勇気を出して固まる?どゆこと?」
名良は困惑していた。
「…え?なに?ごめんもっかい言って?」
糸はもう一度聞き返す。
「だから!…明日の放課後、オレん家(ち)来てくんね?」
「だから!」は大きく、後半につれ声が小さくなっていく雲善。
「は、はっあぁ?な、なんでよ」
動揺する糸。
「いや、姉ちゃんがさ、こないだのチケットの件で女楽国に会って話したいって…」
「あっ、あぁ~…。あぁ!そーゆーことね!はいはいはいはいなるほどね!」
琴道は
オレはなんで呼ばれたんだろう
と思う。すると
「奥田くんは何役なの?」
と嶺杏が聞いてきた。
「あ、いや、…わ、かんないです」
「あれか。1人じゃ恥ずかしいから連れてきたのか」
「あぁ…。なるほどですね」
納得した。
「で?どおよ。明日家(うち)来れる?」
「…ま…。いいけど」
ということで糸が雲善たちの家に行くことが決定した。