「僕を、!僕を捨てないで…!」
彼の名は櫻井遥、私を否定する人物を拒絶するような愛の重いヤツだが、そんな所も可愛い…
愛くるしいヤツだった。
夜の静寂を引き裂くように、彼は甲高い声で叫び、私の耳に突き刺さる。
彼と一緒に住むマンションの一室、その中にいる知らない女性は私をほくそ笑むように笑い、語りかけてきた。
「遥さん、酔っていたので住所聞いて連れてきたんです。そんな私に、遥さんは優しく愛を囁いてくれましたよ?
…あぁ、彼女さんに失礼でしたね、笑」
私は伝えていた、飲みすぎるようなら連絡してと、それなのに何故こんなに泥酔し、知らない女性に連れられているのだ…。
胸が苦しい、モヤモヤした感情を抑えきれない
「…そうですか、遥をありがとうございます。
お帰りください。」
そうして女性を帰らせ、この夜の静けさに浸る
あぁ、こんなに呆気なく関係が終わってしまうのか…なんて、頬にしたる涙に気付かないフリをして、彼の隣で眠るのだった。
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