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俺は木兎光太郎に人目惚れした。
初めて見た時は本当に衝撃だった。こんなにも輝く人間がいるのか、と怖いくらいドキドキした。
木兎さんはスキンシップが多い。俺に対しても他の人に対しても、
「赤葦大好き!」
とよく肩を組みながら木兎さんは言う。
それこそ初めの頃は冗談だとわかっていながらも嬉しかった。でも何回か言われるうちに他の人にもきっと言ってるのだろう、嫌だな、だなんて醜い嫉妬心が芽生えてしまった。
「俺ね、赤葦の事なんでも分かる気がしてきた!」
と木兎さんは突拍子なく訳の分からないことを言った。どうせ超能力系のテレビでも見て影響されたのだろうと思い
「そうですか、ありがとうございます」
とだけ返事をした。もし木兎さんにそんな能力があるなら俺が木兎さんを好きなこともバレてしまうんだろう。
今日は合宿だった。夜中にふと喉が乾いたので自販機に水を買いに行くことにした。それがいけなかったんだろう、そこには他校のマネージャーと木兎さんがいた。
「光太郎君付き合ってください!」
木兎さんの返答はよく聞こえなかったがただ
「ありがとう!」
とだけ聞こえた。あぁ最悪だ、恐らく付き合ったのだろう。当たり前だ、男が男に恋をしてはいけなかったのだろう。そりゃ木兎さんだって可愛い女の子の方がいいに決まってる、俺に勝ち目なんて元からなかったのだろう。
“ガサッ”
あ、やばい
「ん?赤葦!?」
「…すみません、盗み見るつもりは無くてそのお幸せに!」
逃げなくては、と思うと俺の行動は早かった。正直生きてきた中で1番早く走れたと思う。
「赤葦!!待って」
後ろから木兎さんが追いかけてきているが必死で逃げている。目から溢れてくるものはきっと乾燥のせいだ。別にわかってたことじゃないか、いまさら何悲しんでいるんだ。
「はッ…はぁっ…やっと捕まえた」
「……離してください」
「なんで逃げるの?」
「逃げてなんかいませんよ、ただ邪魔したら悪いと思って」
これは半分本当
「なんで泣いてるの?」
「目が乾燥してしまったんです」
これも半分本当…なはず
「じゃあなんで、なんでそんなに悲しそうな顔してんだよ」
「……してません」
これは多分全部嘘だ
「赤葦さ、なんか勘違いしてない?」
「してませんよ、ほら早く彼女さんのとこ戻ってあげてください」
「ほら、勘違いしてる」
「俺あの子のこと振ったよ?」
「ぇ…な、なんで」
「だって俺赤葦のことが好きなんだもん」
「は?」
何を言ってるんだこの人は
「え!?気づいてなかったの!?あんなに好きって言ったじゃん!」
そりゃ冗談だと普通の人なら思うだろ
「赤葦俺と付き合ってください!」
あぁ、嬉しいな、でも
「すみません、無理です」
「え!?赤葦も俺の事好きなんじゃないの?」
この人は本当にどこまで鋭いんだ
「木兎さんあなたは恐らく、いえ必ず将来スーパースターになります」
「お、おう」
「俺はそんな素敵な人の足枷になるつもりはありません」
「で、でも」
「今日のことは無かったことにしましょう、お願いですから」
これで良かったんだ
「うん…」
「では」
俺はその場から離れた、これでよかった、これで良かったはずなのに
なんでまだ泣いてんだろ
「赤葦の嘘つき、俺諦めねぇから」
そうボソッと呟いた木兎の独り言は静かながらも強い決心があった。
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🤍⇒50
すみませんいいね50で続きとかやってみたかっただけです、多分いかなくてもあげると思います。