テラーノベル
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零度の教室、あるいは始まりの合図放課後の教室は、夕日が差し込み、塵さえも黄金色に輝いて見える。けれど、窓際の席に座るてるとの世界は、いつもモノクロだった。
かつての記憶――暴言、暴力、そして「声を出せ」という強迫。それが積み重なり、てるとの喉は、まるで重い錠前をかけられたかのように閉ざされていた。彼はノートの切れ端に、震える手で『ごめん、しゃべれない』と書き、机に置いた。
その時、教室の扉が勢いよく開いた。
「……またいた。てるくん、まだ帰んないの?」
明るい声の主は、クラスメイトのまひとだった。彼はてるとの隣の席に無理やり椅子を引いて座ると、じっとてるとの顔を覗き込んだ。
「ねえ、てるくん。俺、最近ゲーム実況にめちゃくちゃハマっててさ。でも、一人じゃ限界があるんだよ。……てるくん、もしよかったら、俺と組まない?」
てるとは驚いて顔を上げた。そんな提案をされたのは初めてだった。恐怖心からか、身体が強張る。すると、まひとは苦笑いしながら続けた。
「声なんて出さなくていいよ。俺がずっと喋り倒すから。てるくんは、その神がかったプレイスタイルで俺をサポートしてくれればいい。……俺さ、ずっとてるくんの操作を見てて、すごいなって思ってたんだ。言葉より、ゲームの画面を通しての方が、君の感情がよく伝わってくる気がしてさ」
まひとの言葉は、てるとの胸の奥深く、氷漬けになっていた何かに少しだけ火を灯した。
キーボードが奏でる新しい声
その日から、二人の「放課後」は変わった。
まひとの家に集まり、モニターを並べ、オンラインの世界に飛び込む。
まひとはマイクの前で、誰よりも饒舌に視聴者を盛り上げる。てるとはボイスチャットには入らず、かわりにテキストチャットを極限まで速く打ち込むことで、実況に参加した。
「左から来るぞ! てるくん、そこ頼む!」
『了解』とチャットを打つよりも早く、てるとのキャラクターが華麗に敵を射抜く。
「うわあああ! さすが! 最高だよてるくん!」
視聴者のコメント欄には、二人のコンビネーションを称賛する声が溢れた。誰かの役に立っているという実感。誰かに必要とされているという安心感。てるとの指先は、キーボードの上でかつてないほど軽やかに踊っていた。
言葉の向こう側
ある夜、配信終了後の静寂の中で、まひとがふと言った。
「てるくん。昔のこと、少し聞いたよ。……辛かったね。でも、ここなら、俺の前なら、君は君でいられるから。無理に声を出そうとしなくていい。いつか、君が本当に『伝えたい』と思ったその瞬間に、隣にいさせてよ」
てるとは画面を見つめたまま、小さく頷いた。
喉の奥の錠前は、まだ開いていない。けれど、まひとの言葉は、その冷たい鉄の扉を少しずつ、優しく温めていた。
てるとはキーボードに手を置き、不器用ながらも一言だけ打ち込んだ。
『ありがとう』
モニターの明かりに照らされたその文字を見て、まひとは少年のように笑った。
二人の冒険は、まだ始まったばかりだ。たとえ言葉がなくても、繋いだコントローラーの熱が、何よりも確かな言葉となって、二人の未来を切り拓いていく。
まひとは、これからもてるとの「声」になる存在であり続けるのでしょうか? それとも、てるとが自分の言葉で話す日が来るのでしょうか?
気になった人やつつきが見たい人いるかなっw
こんなに下手で良いならぜひリクエスト
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テテ🐻
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コメント
4件
みぅです🌙 読了しました……第1話からもう胸がいっぱいです。 てるくんの「声を出せない」って過去がすごく重くて、でもまひとの「無理に声を出さなくていい」って言葉に、涙が出そうになりました。言葉よりゲームの画面を通して感情が伝わるって気づいてくれる人がいるんだなって。キーボードを叩くてるくんの指、きっと震えてたけど嬉しかったんだろうな。 てるくんが打った『ありがとう』、たった一言なのにまひとくんの笑顔が見えた気がしました。これからどうなっていくのか、すごく気になります……! 投稿ありがとうございます。また読みに来ますね🤍