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『VANNILA』
1人で店番をしていた時にXの仲間である鹿島という鹿の剥製を被った男に誘拐された。
「あなた、ケーキですね」
「っ」
目隠しされて連れてかれた場所は廃墟となったホテルの一室で俺は全裸にされて両手と両足を拘束された状態で鹿島に言われた一言で死を直感する。
この世界には普通の人間の他に『フォーク』、『ケーキ』という人種が存在する。普通の人間の中でもその二種類は珍しく、『フォーク』は味覚がなく『ケーキ』の人間にのみ味覚を感じるらしい。
『ケーキ』はその名の通り甘くケーキのような味がするらしい。『ケーキ』の体の全て、髪も涙も血肉も体液さえ『フォーク』にとっては甘美な味になると言われている。
故にケーキは狙われやすい存在で、俺がケーキであることを知っているのは商店の仲間たちのみで他には知られていない筈だ。
もしかして殺し屋時代の頃の情報を知られた?と考えながら俺はわざと口角を上げる。
「ンだよ、お前フォークか?」
「・・・こちらの質問のみ答えてくだされば良いのです」
昔から本能のままフォークがケーキを襲う事件も多数あるから俺はフォークを毛嫌いしていた。Xの仲間にフォークがいるなら俺が一発殴ってやる、と考えていると鹿島が俺の腕に何か注射してくる。
「っ、離せ!何してんだよ!」
「直ぐに良くなります。それでは私はここで失礼します」
注射の中身が体内に入っていくのを見て暴れようとしたら鹿島はすぐに離れて部屋を出てしまった。何が起きているんだ、とりあえず逃げないと、と考えていると部屋の扉がまた開いた。
「──うわ、ほんとに甘い匂いする」
「っ!」
鹿島とは違う声に体を起こす。頭の中で「やばいから逃げろ」と警鐘を鳴らされている気分だ。目の前に立つ男、銀髪をオールバックにした気怠そうな眼差しに殺気を向けられて俺は喉の奥がヒュッと鳴った。
──こいつ、フォークだ。──
一目見て分かってしまった。俺の嫌いなフォークがいる、こんな身動きができない状態で絶対敵わない相手がいることに俺の呼吸は次第に浅くなっていく。
──逃げなきゃ・・・あれ?からだ、熱くて目の前ぐにゃぐにゃする。──
全裸でも拘束されていてもエスパーを全力で使えば何とか逃げられるかもしれないと考えていた矢先、目の前が歪んで俺はシーツに倒れた。
「俺さ〜2週間前に急にフォークになったんだ」
倒れている俺の前まで近づいて話す楽の言葉に体温なんて感じられない。
「あれから何食べても味しなくて・・・いや、腹満たせれば何でもいいんだけど衝動っていうの?無償にケーキ食いたくなるんだよなぁ」
「っぐ」
乱暴に髪を掴まれて強引に顔を上げさせられると楽と目が合う。まるで俺を人間としてではなく『食糧』として見ている眼差しが怖くて体が動いてくれなかった。
「無闇やたらに人殺しされたら困るって鹿島さんがケーキ連れてきたって聞いたからきたけど・・・坂本の仲間なら殺してもいっか」
「・・・っ、離せ」
足の拘束が外されて楽が馬乗りになってくる。俺なんて楽にかかれば数秒で殺せるのが容易に理解できて半ば諦めていると楽が背中を丸めて俺の首筋に顔を埋めて体が震えた。
「──お前、美味そうな匂いするよな」
あれから1週間、俺は奇跡的に生きていた。
いや、生かされているという表現が正しいのかもしれない。
ホテルの一室に監禁されて食事と最低限の世話は鹿島にされて楽の『食事』の時間の頃に注射を打たれる。
最初こそは抵抗していたけど体力もなくなって心身が疲弊して一週間が経った頃には抵抗をするのをやめて今日初めて両手の拘束が解放された。
早く殺して欲しい、それか自害したいと舌を噛み切ろうとしたら鹿島に口輪をされて舌を噛みきれないようにされてしまった。
そして今日も、楽の食事の時間が迫るのを俺は息を殺しながら身構える。
「ほんとに口輪付けてんじゃん、ウケる」
部屋に来た楽はいつも通りで、俺が口輪を付けられている姿を見て鼻で笑ってベッドに乗り込んだ。そして口輪を外しても動かない俺を楽が体を屈めてキスをしてきた。
これは捕食の前戯みたいなものだ。すぐに舌を捩じ込まれて分厚くて熱い舌先が俺の唾液を攫って飲み込む。
「・・・甘。だけどめっちゃハマるんだよなー」
「ん゛っ・・・」
初日、俺は楽に捕食されるように噛み付かれて血を吸われた。そしたらその味が気に入ったのか、このまま殺すよりも唾液、涙、体液から摂取するようになって抵抗すると殴られた。
辛うじてシャツと下着のみ着せられたけど楽には「メシ食うのに邪魔」とすぐ脱がされてしまう。
「な、なぁ」
「あ?」
ただ唾液を摂取させられるくらいなら耐えられるけど、連日『あれ』が続くと心身が疲弊して限界で楽に「今日はこれだけで終わりにして欲しい」と懇願した。
「無理」
「わっ」
「お前、鹿島さんに注射打たれてんのによく言えるよなー」
起きあがろうとする俺の肩を掴んで空いた手で下着を脱がされる。鹿島に毎度打たれる注射は意識を鈍らせて発情させる薬だとエスパーの力を使って知った。
現に下着を脱がされて外気に晒された俺自身は既に勃起していて楽が指先で俺自身を弄るから声が出る。
「あ゛・・・っ、やだ、ぁ・・・も、やめてくれ・・・」
「嫌って言いながら気持ち良くなってんだろ。ここ一週間くらいで大分ビッチになったな」
性行為自体初めてなのに攫われて初日で楽に強姦された。本能のままする獣のようなセックスという表現が相応しく、圧倒的な楽の強さに俺は人間としてではなく食事という立場に成り下がった。
先端からトロリと先走りが溢れると楽が嘲笑するから俺は「ちがう」と涙が溢れる。頬に伝う涙を楽が舐めとるだけで体が熱くて簡単に意識が飛びそうななか「甘い」と囁く楽の楽しそうな声色に体が反応した。
「お前もさ〜何だかんだ善がってんじゃん」
勃起した自身を握られて「ひっ」と恐怖で声を上げるとベッド横のテーブルに置かれた小瓶を手に取って中身を手のひらに濡らす。鹿島がいつも用意してる潤滑油で楽は指を鳴らして俺の秘部に無遠慮に押し込んだ。
「あ゛っ」
「相変わらず色気ねぇ声だな」
嘲笑しながらどんどん指が俺の中に入っていく感覚は痛い筈なのに薬のせいでジンジンと熱くなる。指を動かされると体が震えて、いやらしい水音が耳を犯して俺の理性はいつも千切れそうだった。
「ひっ、ぅ、あ・・・っ」
「ナカで感じるようになってんじゃん」
「感じて・・・なぃ、っ」
精一杯去勢を張るも楽は冷めた目で見下ろしている。ゴツゴツした楽の指に中を掻き回されると最初感じていた痛みや圧迫感、異物感よりも快感を拾うようになった自分の体が怖かった。
「あっ、あっ、イく・・・っ」
「イけ、シン」
「ぁ゛っ♡〜〜ッ!!」
ビクビクと体を痙攣させて楽の手の中で絶頂を迎える。頭がぼんやりして何も考えられない、息が浅くなって目の前が涙で霞む。
「精液も甘いとかヤバ〜」
「んっ」
手のひらにベッタリついた俺の精液を舐めとる楽に目を逸らすと昂った楽自身が秘部に当てがわれた。
「あ・・・」
挿れられる、そう分かっていても日に日に抵抗が薄くなったのは楽には何をしても敵わないと本能で察したのか、それとも目先の快感の虜になってしまったのかは俺は分からない。
熱くて太い、指なんかじゃ比べ物にならない楽自身が中に入って腰をくねらせると楽が体を屈めて俺の首筋を舐めてくる。
皮膚でも味があるらしく、丹念に舐められて俺は体を震わせながら敏感に反応した。
『食欲も性欲も同時に満たせるって最高。女と違って丈夫だし、絶対手放さねぇ。』
「ッ♡」
流れ込んできた楽の強い独占欲に満ちた思考が脳にダイレクトに響いて俺はまた絶頂を迎える。「は?動いてねーのにイッたの?」と楽も嘲るように笑って楽自身を奥に挿入してきた。
「ひ、ッ、あ、あっ、あ゛っ」
「可愛い声出せるじゃん」
体を密着させて奥に楽自身が当たるとシーツを握っていた手が楽の背中に回る。
「あんなに嫌がってた癖に挿れたら善がるんだな」
「ん゛っ、あ゛っ、あっ♡」
「って、理性トんでるから聞いてないか」
何も考えられない、もう目先の快感を受け止めるのに必死で楽の言葉がこんなに近くにいるのに入ってこない。
「初日は全然入らなかったけど今はちゃんと奥まで入るの、エロい」
「ゔ、ぁっ」
律動が始まると内臓が響いて堪らなく気持ちいい。こんな快感、今までの自慰行為なんかじゃ比べ物にならない。
「お前のそのカオ、すっげー興奮する」
「ぁうッ♡」
「今日も中出ししてやるからな?」
大きな手が下腹部に触れたかと思うとグリグリと拳で押されて悲鳴に近い声が出たのは最初だけで中が更に圧迫されて楽自身がグリグリ奥に当たる。
ギシギシとベッドが軋むなか、激しい律動に俺は涙と涎まみれで喘いで絶頂を迎えた。
「──っ」
息を詰めた楽も絶頂を迎えて中に精液がじんわりと出された感覚に脳が痺れる。しかし毎日中出しセックスを連続で繰り返して体を衰弱してるから早くも息が上がった。
「ほーら頑張れよ」
「あ゛っ♡」
繋がったまま射精したばかりの筈の楽自身はすぐ勃起して今度は俺の背中に手を回して繋がったまま体を起こす。膝上に乗せられるけど俺は力が出なくて楽の体にもたれた。
「自分で腰振って動いたら今日はこれで終わりにしてやるよ」
「・・・え?」
──これを頑張ったら、終わってくれる。──
楽しげな楽の声に俺は疑うことを忘れて「うん」と力を振り絞って楽の肩を掴んで自ら腰を振る。
「ぁ、あ゛、あ♡」
「うわ、想像以上にヤラシー」
拙い腰使いに鼻で笑う楽の機嫌を損ねないように懸命に淫らに腰を振りながら涙を流すと楽が舐めとった。
熱い舌先が頬に撫でるから俺は無自覚に自分から楽にキスをする。
「ん゛っ、ん・・・♡」
目を丸くした楽はすぐに口角を上げて舌を捩じ込む。捕食されている気分で怖かった気持ちが快感に勝って俺は夢中で快感に溺れた。
「っ」
「ぁ゛ッ♡」
びく、と中の楽自身が震えて射精する。1回目と変わらない濃く長い射精に俺はこれで終われるという安堵で意識を手放す寸前だった。
「やっぱお前見てたら興奮する」
「ひゃっ」
腰を強く掴まれたかと思えば楽が強引に俺の腰を揺すってくる。完全に油断していたから目の前がチカチカして涙が溢れた。
「2回じゃ足らねーよ」
首筋を甘噛みされて「んっ」と甘い声を出すと中の楽自身が更に質量を増す。
『やべぇ〜コイツの体、やみつきになる』
抵抗もできないくらい俺の体力は既にゼロになっているから楽のされるがまま暴力的な快感に善がることしかできない。
もうイきたくない、気持ちいいの怖い、と口走ると楽が噛み付くようなキスをしてきた。
「〜〜ッ♡!」
奥の前立腺を突かれて絶頂を迎えると中の締め付けで楽もまた絶頂を迎える。完全に脱力した俺の体を楽がシーツに押し倒して楽自身を引き抜くと「うわ」と笑われた。
「すっげー出てる。腹も膨れてるしえろ〜」
「んっ♡」
受け止めきれなかった楽の精液が秘部から垂れる感覚に震えていると楽が再び下腹部を手で押すと中の精液が出てした。
「中出し最高〜」
うつ伏せにされて体に跨った楽が今度は寝バックの体位で挿入してくる。俺はただ喘ぐことしかできなくて涙を流しながら坂本さんたちのことを思い出す。
「も、やだ・・・ぁっ、帰して・・・んっ、みんなのとこ、帰り、たい・・・ぁっ」
「は?お前は俺だけのケーキなんだよ。俺以外のこと考えんな」
「ひぅっ」
泣きながら帰りたいと言えば楽の手が俺の首を締めつける。本気を出せば数秒で息の根を止めることができるのに、殺さないように力加減しながら俺の首を締め付ける。
「あ゛、あ゛・・・っ」
「首絞めるとナカも締め付けるの、変態か?そんな奴がサカモトたちのところに帰れる訳ねーだろ」
ばーか、と耳元で囁かれて首を絞められながら俺は涙を流して楽の言葉に心の中で『確かに』と同意してしまった。
「あ゛ー・・・っ♡」
「は?もしかして首絞められながらイッたの?」
全てが快感に変わって絶頂を迎えると楽は最初こそ驚いていたけど「気に入った」と言って激しい律動を繰り返す。
「っ・・・はは、コイツの体サイコー。何回でもイける」
再び中に出されると快感と喜びを感じるようになって涎を垂らしながら口角が上がった。「カオ見た方が興奮する」と言って繋がったままグルリと俺の体を仰向けにさせると楽と目が合う。
「どうして欲しいか言えよ」
楽の指先が俺の唇をなぞるから舌を出して舐めとると満足そうに笑みを浮かべて俺にキスをする。
まるで恋人同士のセックスみたいに濃厚なキスをしながら掻き抱くように抱き締められて俺も楽の背中に手を回した。
「ん・・・っ♡ん゛・・・ぁっ♡」
──こんな淫らになった俺じゃ坂本さんたちに嫌われる・・・。それからこんな俺を求めている楽と一緒にいた方が幸せなのかな?──
毎日毎日犯されて食事として、性欲処理機として扱われているのに楽に求められていることに嬉しく感じている俺の心はもう壊れていた。
「シン、俺たちの仲間になれよ」
「ぁ゛・・・っ、あっ、あっ、うん、なる、なるから、ぁ゛っ」
強い正義感を持っていた心が音を立てて壊れていくのを涙を流しながら目先の快感で溺れる。楽が涙と唾液でぐちゃぐちゃになった俺の顔を撫でて「いい子だ」と笑うのが嬉しくて楽の腰に足を絡めてホールドした。
『完堕ちしたシン最高〜。後でボスに報告しよっと』
心の声が聞こえたけど今の俺にはもうどうでも良くて「イきそう」と快感のまま呟くと楽は更に律動を激しくさせる。
「──っ」
「あ゛〜っ、っ〜〜♡!!」
中出しされた快感で絶頂を迎えて俺は完全に意識を手放した。
意識を手放す寸前に頬を舐め取られる感覚に「ん」と声を出すと楽は耳元で「愛してる」と囁いた。
「X見つからないね〜」
「せやなぁ・・・って何飲んでんねん」
「フォークが自制効かずにケーキを襲わない為の抑制剤」
「・・・フォークも大変やなぁ。ケーキ以外の人間は味覚も感じないんやろ」
「そうなんだよね。フォークになって3日、まだ慣れないけどケーキの人間ってどんな味かなぁ」
「おい南雲、それ禁断症状ちゃう?」
「まさか。あ、神々廻このホテルじゃない?」
「ほんまや。キレーな状態で廃墟になってて住むの快適そうやな」
「・・・なんかこの建物から甘い匂いする」
「?そんなんせぇへんよ」
「こんなに匂いするのに・・・・・・まぁいいや。さっさとX殺そうか」
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