テラーノベル
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亮平💚『で…何で帰らないの?』
蓮 🖤『んっ?今日は泊まって帰ろうかと思って。阿部ちゃん心配だし、ご飯作るよ』
亮平💚『いいよ出前…』
翔太💙『何か作ってくれるの?』
翔太の腰に優しく手を回した蓮は、屈んで翔太にだけ聞こえるように耳打ちすると〝ヤッタァ〜ハンバーグ大好き〟と、はしゃいでいる。
聞こえてますけど!
買い物に行ってくると言って近くのスーパーに2人で出掛けて行った。その間に洗濯物などを済ませておく。
ベランダに出ると狭い路地から出てきた2人が見える。荷物を抱えた蓮が後ろからちょこちょこと追いかけて来る翔太に左手を差し出すと当たり前のようにその手を取って横並びに歩き出した。
マンションの近くまで来てベランダの俺に気が付くと自然と離したその真っ白な腕を天高く伸ばし手を大きく俺に向けて振っている。再び歩き出した2人はどちらからともなくまた手を繋いだ。
翔太💙『ただいま亮平さん』
さっきまで嬉しかった愛しい〝さん付け〟が今は他人行儀に聞こえる。顔を背けて翔太に背を向けると〝手を洗ってきて下さい〟と当てつけのように他人行儀に冷たく言い放って、自分の部屋に逃げ帰った。
暫くするとキッチンから2人の楽しそうな声が聞こえてくる。俺が居るのに居ないような空間に居た堪れず布団を被ると耳を塞いだ。
きっと何かの悪い夢だ忘れろ!
きっとこれ以上に辛かったんだ翔太は。俺との全てを忘れたい程に・・・
布団に潜り込んだ俺は疲れも相まって いつの間にか寝てしまっていた。
翔太💙『ンンンンッやっ//ダメって…れん…あん気持ちイイ…』
またしても耳を覆いたくなるような声が聞こえてきた。恐る恐るリビングを覗くとソファーの上で戯れる2人が…
蓮 🖤『翔太可愛い…腰振って上手だね…亮平の事なんか忘れて俺を愛してよ////もっと感じて』
翔太💙『アッ////気持ちイイ蓮…もっと奥までキテ…もっと蓮』
翔太は裸体を晒し腰を打ちつける蓮に応えるように自身の腰を揺らめかせ、気持ちよさそうに蓮に手を伸ばすと〝愛してる〟と言って…
翔太💙『亮平!亮平起きろっ起きろったら…大丈夫?魘されてたよ?』
翔太は心配そうに俺の顔を覗き込むと、持っていたタオルで俺の首筋に流れる汗を拭き取ってくれる。体を起こすと自然と涙が頰を伝った〝お前大丈夫か?ギュッてしてあげようか?〟
亮平💚『…すいません宜しくお願いします』
翔太はベットの上で正座する俺に跨る形で膝を付くと〝ギュゥ〜〟と言って身体全体で包み込むようにして俺の頭を優しく撫でた。〝ごめんね情けない彼氏だ〟翔太は俺の肩に手を置いて正座の上に腰を下ろすと目線の高さが同じになって視線がぶつかった。
翔太💙『半分こね!辛い事も全部半分こでしょ?』
亮平💚『泣かせる事言わないで…』
翔太💙『あらあら…キスのオプションもありますよ?』
ポロポロと流す涙をタオルで拭きながらおちゃらけて言った翔太に〝有料ですか?〟と言うとハッとしたような顔を一瞬見せると次の瞬間には満面の笑顔で〝前にもなかった?こんな事?〟子供のように無邪気に喜ぶ翔太に〝そうだね前にもあった〟と言うと白い小さな手が伸びてきて後頭部に手が触れると唇を重ねた。すぐに俺の肩に移動した手に力が加わり胸が苦しいのだと悟った。思わず翔太を引き剥がす。
翔太💙『やだ…はあっ、はぁっ、はぁ大丈夫だから続けよう…お願いもう少しで思い出せそうなんだよ…亮平に会いたい』
亮平💚『もう会ってるから…ここに居るでしょう。どんな翔太でも愛してる。だから無理はやめよう…ね?』
翔太💙『やだ!』
押し倒される形で後ろへ仰け反ると上から覆い被さってきた翔太は俺に馬乗りになると、そのまま貪るようにキスをする。
翔太は〝必死〟だった。
顔の横で恋人繋ぎした手からは翔太の胸の苦しさが伝わってくる。硬く握られていた手が力なく弱々しく握られると、身体に限界が来ている事を知らせた。
蓮 🖤『何してるの!離れなさい…翔太!』
顔面蒼白な翔太を見兼ねて、俺から引き剥がした蓮もまた動揺を隠せずに蒼白な顔をしている。
蓮 🖤『何考えてんの阿部ちゃん!もう無理だ。やっぱり俺が連れて行く!ここには置いておけない』
蓮に抱き上げられた翔太は、力なく腕をダラリと床に向けて下ろすと意識が無いように見えた。
亮平💚『待って連れて行かないで。違うんだよ…』
蓮 🖤『いい加減にしなよ!阿部ちゃんは自分のエゴで翔太を傷つけてるんだよ?』
違うそんなんじゃ無い。そう言い返したいのに言えないのは自分に非があるからだ。冷たい翔太の手を握ると僅かに反応した。触るなと言わんばかりに蓮は振り払うと寝室を出て玄関へと向かった。慌てて後を追う。翔太を盗られる恐怖に怯え必死だった。
亮平💚『返してよ!蓮だって一緒じゃないか過去の人間が私情を挟むなよ』
蓮 🖤『どうしてキスをすると 胸が苦しくなるのか一度でも説明したの?佐久間くんとの裏切りを話した?阿部ちゃん誰を守ってんの?自分だろ?いい加減気付けよ?自分が一番大事だって』
蓮は鋭い眼光で俺を睨み付けると 俺の家を翔太を連れて去って行った。力なくその場に膝から崩れ落ちると涙が溢れて床を濡らす。頰を伝う涙を拭う愛しい人はもう居ない。蓮と翔太が去って数分しないうちに玄関扉が開くと、僅かな期待に顔を上げる。
大介🩷『また泣いてる。今度は重症みてぇだな』
亮平💚『何でお前なんだよ…翔太連れて来いよ…役立たず』
大介🩷『抱き付きながらそれ言われても、怖かねえぞ?追っかけねぇの?大事なんだろう翔太の事』
気付くと佐久間に抱き付き、しがみ付いていた。佐久間じゃなくても誰でもいい。そこに居たそれだけだ。〝追っかけてこの有様だよ〟そう言った俺に佐久間はそれ以上何も言わなかった。玄関ホールで翔太を抱き抱える蓮とすれ違った佐久間は冷ややかな目で睨まれたらしい。声を掛けたが無言で2人立ち去ったと。経緯を聞いた佐久間は頭を数回掻くと〝参ったねぇ…なかなか蓮も鋭いとこ突くな〟そう言って苦手なコーヒーを啜った。
大介🩷『苦げぇ〜…よしっじゃぁ食うぞ!ほら亮平座れよ。今日はご馳走だぞ!3人前を2人で食うんだ気合い入れろよ!』
剥き出しにした歯を意地悪そうに見せつけると、ハンバーグを頬張って口をパンパンに膨らませている。〝うめぇ〜やっぱあいつ料理上手だな〟時折、蓮の料理を褒めて俺をイライラさせた。
大介🩷『食えって!頭働かねえぞ?敵を倒すのには腹ごしらえしてからだ』
亮平💚『頭で考えるな心で動けってあれだけ言ったじゃないか?』
大介🩷『にゃはっ!作戦変更だ亮平の武器は何だ?頭脳明晰亮平くんだろ?ほら食え作戦会議だ。早くしないと蓮に食われるぞ!翔太が…』
2人無言で蓮の作った3人分の夕飯をバカみたいに食べた。蓮の言葉が俺の胸を締め付ける。
〝誰を守ってんの?〟
翔太を傷付けたくない…あの日のことを言えずにいた俺は果たしてそれだけの理由だった?翔太に嫌われたくなかったし、離れてしまいそうで怖かったんだ。でも隠すつもりでそうしてたんじゃない。この混乱の最中今はまだ言わない方が翔太の為だと思ってたからだ。今となってはそれは言い訳にしか聞こえない。
亮平💚『翔太の胸の痛みはこんなもんじゃないのに』
大介🩷『干渉に浸ってんじゃないよ。翔太にはお前しか居ないんだよ?』
クソ…ムカつくぐらい美味しいな〝蓮がいる〟2個目のハンバーグを口に入れようと大きな口を開けた佐久間が怖い顔になった。
大介🩷『お前だよ!そこ振れんな💢じゃなきゃ戦えねぇぞ。弱音吐くの今のが最後だからな』
亮平💚『初めて頼りなる…』
大介🩷『大概失礼だぞ』
〝よしっ〟そう言って腕捲りするとご飯茶碗片手に敵の飯を食らった。
大介🩷『いいぞ〜食え食え』
亮平💚『今頼れるものがお前だなんて…』
大介🩷『おい💢そろそろキレるぞ』
亮平💚『…ありがとう』
佐久間は無言のまま返事せずカツカツと飯を食らう音だけがリビングに響く。佐久間も翔太の事が心配なのだ。
大介🩷『俺の方は一時休戦だからな…別に翔太を諦めたわけじゃない』
亮平💚『あっそっ』
大介🩷『いちいちムカつく』
翔太がいない夜。翔太を想う男二人がもくもくと翔太のために作られた愛情たっぷりのハンバーグを食う・・・
コメント
14件
おかわりきたよ🍚 この章は🖤🆚💚🩷🧡なのかな? 続き楽しみ。
えぇーーー 大人しく帰らずに拉致???? どんだけ〜〜〜😂😂 一度キスしたくらいでこんな酷い記憶障害起こすのかなあ?と思いつつ、佐久間に散々ストレスかけられてたんだから仕方ないのかと思い。