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翠玲
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#緑
翠玲
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文化祭まで三週間。
学校中が少しずつ忙しくなり始めていた。
放課後。
一年一組では、教室中に段ボールや絵の具が広げられている。
「大道具班ー!」
🍍「はーい!」
なつが返事をする。
「この板、運ぶの手伝って!」
🍍「了解」
なつは大きなベニヤ板を軽々と持ち上げた。
「すご」
「力あるね」
クラスメイトが驚く。
🍍「これくらい普通」
そう言いながら運んでいく。
一方。
こさめはお化け役担当として、みんなの希望をまとめていた。
🦈「えっと……」
🦈「ゾンビやりたい人ー!」
何人か手が挙がる。
🦈「幽霊やりたい人!」
また何人か手が挙がる。
🦈「ありがとう!」
一人一人の希望を書き込んでいく。
「こさめくん」
女子が声を掛ける。
🦈「どうしたの?」
「衣装ってこんな感じどうかな?」
スマホの画像を見せる。
🦈「かわいい!」
🦈「でももっと怖くした方がいいかも!」
「ほんと?」
🦈「うん!」
楽しそうに相談が始まる。
その様子を遠くから見ていたなつは、小さく笑った。
🍍「人気者だな」
自然とそう呟いていた。
「ん?」
隣にいた男子が聞き返す。
🍍「いや、なんでも」
すると。
🦈「なつくーん!」
こさめが大きく手を振る。
🦈「ちょっと来て!」
🍍「はいはい」
なつが歩いていく。
🦈「この机動かしたい!」
🍍「これ?」
🦈「うん!」
🍍「了解」
軽々と動かす。
🦈「ありがとう!」
🍍「どういたしまして」
そんなやり取りを見ていた女子たちが、小さく笑い合う。
「なんかさ」
「うん」
「もう付き合ってるみたい」
「分かる」
「てか付き合ってて」
「今私の推しcpなの‥」
「え、私も!!」
「え‥なつこさ?」
「なつこさぁぁぁ!」
「いっしょだぁ」
その言葉は。
偶然。
なつの耳にも入ってしまった。
🍍「……」
思わず固まる。
🦈「なつくん?」
こさめが不思議そうに首を傾げる。
🦈「どうしたの?」
🍍「……なんでもない」
耳が少し赤い。
🦈「熱ある?」
🍍「ない」
🦈「ほんと?」
こさめが額に手を伸ばそうとする。
🍍「近い近い!」
なつが慌てて避ける。
🦈「え?」
こさめはきょとん。
女子たちはさらに盛り上がる。
「絶対意識してる!」
「かわいい!」
なつは聞こえないふりをした。
一方のこさめは。
本当に何も分かっていなかった。
🦈「あ、そうだ」
こさめが思い出したように言う。
🦈「今度、らん兄たちも準備見に来るかも」
🍍「……は?」
なつが止まる。
🍍「なんで?」
🍍「てかどうやって?」
🦈「文化祭楽しみなんだって」
🍍「まだ本番じゃないぞ」
🦈「あとこの学校親族って分かれば基本見れるからね」
🦈「準備も見たいらしい」
🍍「来なくていい!」
なつは思わず叫んだ。
その頃。
大学帰りのらん。
🌸「今日‥少しだけ寄ろうかな」
スマホを見ながら呟く。
🦈『今日は準備あるよー!』
こさめから送られてきたメッセージだった。
🌸「ちょっと見るだけ」
そう言いながら学校へ向かう。
その隣には。
🍵「らん兄、本当に行くの?」
すちが苦笑していた。
🌸「見るだけだから」
🍵「らん兄の”見るだけ”は信用できないんだよねぇ」
🌸「今日は大丈夫」
さらに後ろから。
👑「俺も来ちゃった」
みことが手を振る。
🌸「みことも!?」
👑「気になるし」
🌸「てかみことはそのまま学校居たら良かったんじゃ‥」
👑「友達に帰ろって誘われたの」
👑「断る理由が弟みたいからはちょっと‥」
結局。
三人とも来ていた。
高校へ向かう道を歩きながら。
らんは少し笑う。
🌸「文化祭っていいよな」
🍵「青春だねぇ」
すちも笑う。
👑「こさめちゃん、楽しそうだったし」
みことも嬉しそうだった。
三人とも。
ただ。
弟の笑顔が見たかった。
それだけだった。
教室では。
「完成したー!」
大きな拍手が起こる。
最初の大道具が完成したのだ。
🦈「やったぁ!」
こさめが嬉しそうに笑う。
その笑顔を見て。
なつも自然と笑った。
だが。
その教室の外。
廊下の窓から。
三人の兄がこっそり覗いていることを。
二人はまだ知らなかった。
コメント
1件
いやあ、今回もまた温かい気持ちになりましたね。文化祭準備のワチャワチャした空気がすごく伝わってきて、読んでるこっちまで楽しくなりました。特に、なつくんが女子たちに「付き合ってる」って言われて赤くなるところ、こさめくんはまったく気づいてなくてきょとんとしてるのがもう…推せる。そして兄たち三人がこっそり覗きに来るところ、ただ弟の笑顔が見たいってだけで来ちゃうの、胸にくるものがありますね。これからどうなるのか、続きがすごく気になります!