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#Mrs. GREEN APPLE
第4話:貧血…?
The HOPE-LIGHT開幕3日前。今日は会場で2時間程度のリハーサル。主にFancyのダンスを練習する日だ。
Ryok:🎹•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎
Mtk(1…2…3…4…)
よし、順調に進んでる。息切れが酷かったあの日以来、ランニングなどで体力をつけたから、息切れもかなりマシにはなったはず。
涼ちゃんのピアノが終わった。若井がギターをスタンドにかける。2人がこちらに近寄ってきる。さあ、あと少し。
🪈🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
🎻🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
Mtk(1…2…3…)
よし順調…このままの調子で…
ぐにゃあ
Mtk「…えっ?」
視界がぐにゃあと歪む。
Mtk(な、なにこれ…)
あれ、いまおれちゃんとたってる?
やばい、たおれ…
Mtk:ふら…
Hrt(…?!)
一瞬、ほんとに一瞬チラッとステージの中央にいる元貴を見た。
その時俺の目に映ったのは、今にも床に倒れそうな元貴。
Hrt「…?!」
間に合うか?!いや、間に合わなくても動け。足を動かせ!元貴を助けるんだ。
Ryok「元貴ッッ!!」
涼ちゃんも気づいたらしい。2人同時に走り出す。俺の方が元貴には近い場所にいる。
Hrt「元貴ッ!」
ダメだ、間に合わない。頭の下にだけでも手を入れろ。守るんだ。
地面を力強く蹴って元貴の方に飛び込む。
ドサッッ
Hrt「はーッはーッ」
Ryok「元貴ッ!!若井ッッ!!!」
ギリッギリ、飛び込んだ瞬間に元貴の頭の下に手を入れることができた。もう少し気づくのに遅れていたら間に合っていなかっただろう。
Hrt「いッ…」
元貴の頭を間一髪で受け止めた右手に鋭い痛みが走り、思わず顔を歪める。
Hrt「ふーッ…元貴ッ、元貴ッッ!!」
意識を失った元貴の上半身を起こし支える。声をかけても返事は来ない。
息は…してる。
Ryok「救護スタッフ!!元貴が倒れた!!!!担架!!!急いで!!」
涼ちゃんが声を張り上げて素早くスタッフに指示を出す。
Ryok「若井、ありがと…元貴の頭だけでも守ってくれて。ごめん、もう少し僕が早く気づいてれば…」
Hrt「これは誰も悪くない。涼ちゃんも、俺も、元貴も。だから謝らないで。」
Ryok「若井…」
Hrt「元貴、息はしてる。名前呼んでも返事かえってこないから意識失ってるみたい。」
“息はしてる”という俺の言葉で、涼ちゃんはほっとしたように小さく息を吐く。
Ryok「元貴、冷や汗すごいね…タオルで拭こうか。顔も真っ青だし…」
Hrt「ありがとう涼ちゃん」
涼ちゃんが持っていたタオルで元貴の額に滲む汗を優しく拭き取る。
Mtk「ふ…ッふ…ッ」
元貴は小さく荒い呼吸を繰り返してる。
Staff「お待たせしました!担架に大森さん乗せますね。」
Ryok「ありがとうございます。」
Staff「せーので持ち上げるぞ。せーのッ」
Mtk「ふッ……ふ…ッ」
元貴が担架に乗せられる。相変わらず元貴は目を覚まさない。
Ryok「若井、僕たちも着いてこ?」
Ryok「右手…手当してもらお。ね?」
Hrt「え?あ…右手…」
元貴のことが頭にいっぱいで、右手のことなんかすっかり忘れてしまっていた。
思い出したからなのか、また右手がズキリと痛みだす。
Ryok「見せて…」
涼ちゃんが慎重に俺の右手に触れ、俺の手の甲を見る。
Ryok「痛いね…アザになっちゃってる…すぐ冷やそ。立てる?」
Hrt「うん。ありがとう。」
「貧血と疲労による目眩で倒れたようですね。もう大丈夫ですよ。しばらく寝かせておけば目を覚ますと思います。」
Ryok「ありがとうございます…」
「若井さんの右手も、骨折はしていないと思いますがもし腫れてきたり痛みが酷く動かせなかったら病院を受診してください。しばらくその氷は当てたままでお願いします。」
Hrt「わかりました。」
「では私はこれで失礼しますね。またなにかありましたら本部の方にいますので連絡してください。すぐ向かいますので。」
Ryok「わかりました。何から何までありがとうございます。」
「いえいえ、では失礼します。」
バタン
Hrt「疲労と貧血か…」
Ryok「元貴、最近なんかおかしいよね。歯茎から急に血が出てくるとかさ…」
Hrt「ちゃんとご飯食べてるのかな…最近忙しすぎるし、ご飯食べる暇なんてないのかも。寝ても疲れが取れないから家出るギリギリまで寝ちゃうって言ってたし。」
Ryok「1回、病院連れてった方がいいかもね…大事になる前に、何も無かったとしても診てもらった方が…」
Hrt「元貴、行かないって言うだろうなぁ…ライブ直前だし、そんな暇無いって言うだろうね…ライブを延期するかとも考えたけど、絶対にやるって言うだろうし。」
Ryok「どうしようか…1回本気で話してみてもいいかもね。」
コンコンコン
Staff「失礼します。大森さん、どうですか?」
Ryok「まだ目を覚まさないです…」
Staff「そうですか…今日のリハーサルは中断ですので、帰られる際は本部に連絡してください。車を手配しますので。」
Ryok「わかりました。ありがとうございます。」
Staff「お二人の分のお昼ご飯です。ここに置いておきますね。若井さん、右手の氷固定する包帯など必要ですか?」
Hrt「あ、大丈夫です。ありがとうございます。」
Staff「わかりました。また何かあれば連絡してください。では失礼します。」
バタン
Ryok「若井、お箸握れるの?はいこれ、若井の分。」
Hrt「ありがと。握れると思う…もうそこまで痛くもないし」
Ryok「ならいいけど…アザ、ライブまでには治んないだろうね…コンシーラーで隠さないと…」
Hrt「そうだねぇ…あ、コンシーラーの上に雷マーク書いたらかっこよくない?!」
Ryok「なんか若井らしいね笑僕も書いてお揃いにしようかな…」
Ryok「涼ちゃん何書くの?笑」
Ryok「んー…今回の衣装3人でお揃いのかっこいい系の衣装だもんね。うさぎさんとかの可愛い系は合わないだろうなぁ…」
Hrt「星とかは?」
Ryok「星!!いいね!え〜どこら辺に書こうかなぁ〜」
Hrt「こことかは?」
Ryok「え〜こっちじゃない?」
Hrt「____________笑」
Ryok「____________!笑______…」
Mtk「ん…」
目を開くとさっきまで見ていた広いアリーナとは違う、白色の天井。
楽屋のソファ…?なんでこんなところに…さっきまでリハーサルしてたはずじゃ…
Mtk「う…」
体が重いし痛い。涼ちゃんと若井は…?
Mtk「りょ…ちゃ…わか…」
Ryok「?!!元貴ッ!」
Hrt「元貴ッ!よかった、やっと目覚ました…」
Mtk「なん…リハーサ…」
腕に力が入らない。上手く起き上がれない…なんで…
Ryok「まだ無理に動いちゃダメッ…安静にしてないと…」
そうやって涼ちゃんにソファへと押し戻される。涼ちゃん…なんでそんな泣きそうな顔してるの…?
Hrt「元貴、水飲も。一緒に持ってあげるから…ゆっくりね」
Mtk「ん…」
若井が僕の震える手を上から握って支える。
Mtk:コクッ…コクッ
Mtk「ん…」
Hrt「よし、飲めたね。えらいえらい」
Mtk「ありがと…」
Hrt「元貴、なんでここにいるか、わかる?」
Mtk「わ…分かんない…リハーサル中だったはず…」
Ryok「元貴ね、Fancyのダンス中に、倒れちゃったの。覚えてる?」
Mtk「Fancy…ダンス…ぁ…」
思い出した。そうだった。確か急に視界が歪んで右も左もわからず立ってられなくなって…
Ryok「貧血と疲労だって。命に別状はないみたいだけど…」
Mtk「貧血と…疲労……」
Ryok「うん。最近忙しいもんね。ちゃんと睡眠取れてる?」
Mtk「いや…ベッドに入ったら気絶するみたいに寝て、起きても体が重くて疲れが全く取れない…」
Hrt「…元貴、やっぱりなんかおかしいよ。1回病院行こう?何もなかったとしても、なんかあってからでは遅いし。ね?」
Mtk「いやだ。絶対行かない…」
Ryok「元貴…」
Mtk「僕がやるって言い出したライブだ。Jam’sのみんなも待ってる。楽しみにしてくれてる。延期するなんて…ありえない。」
なんとなく、自分でもおかしいとは感じてた。明らかに前よりも疲れやすくなった体。それなのに、寝ても全くと言っていいほど回復しない。
若井と涼ちゃんには言ってないけど、僕の服の下には知らぬ間にできたアザがいっぱい付いてる。最近大きめのダボッとした服しか着てなかったのも、それが理由。
明らかに、自分の体で何かが起きている。もし病院に行ったら、入院となるか、ライブは強制的に延期となるだろう。延期にする訳にはいかない。僕が決めたんだから、最後まで責任を持ってやりきる。
Mtk(…?)
若井が右手の甲に当ててる氷、なんだ…?
Mtk「若井、右手…どうしたの…?その氷…」
Hrt「え?…あぁ、これ?」
若井が右手の甲から氷をどかす。そこにあったのは、痛々しい大きなアザ。
Mtk「…?!わかッ…それ…ッ」
Mtk(あ…もしかして…)
僕が気を失う瞬間、確か後ろに倒れたはず。けど、僕は頭を打っていないのだろう。後ろに倒れたのに、必ず打つであろう頭が全く痛くないからだ。
もしかして…若井は…
Mtk「それ…もしかして…僕が倒れた時に…」
Hrt「うん…ギリギリで元貴の頭の下に手を入れたから頭だけは打たずに済んだから…」
Mtk「ご、ごめッ僕のせいで…ッ若井の手がッ…泣」
Hrt「も、元貴…大丈夫だから!もう痛くないよ!泣かないで…」
Mtk「ごめッ…ごめんなさッ…泣」
Ryok「元貴…元貴…!ゆっくり息しよ…ね?お医者さんもなんともないって言ってたから…大丈夫大丈夫…元貴は悪くないんだよ…」
Mtk「ごめんなさッ…ごめんなさい…ッ泣」
Ryok「若井…!ごめん、机の上にあるティッシュ取って…!」
Hrt「はい!元貴、もう大丈夫だから…ね?ほら、もー泣かないの」
Ryok「さっき若井とライブの時隠したアザの上に雷マーク書いたらかっこいいねって話してたんだよ。かっこいいよね。3人でお揃いにしようよ。」
Hrt「このアザも、元貴を守れた栄誉の傷だからね。むしろ誇らしいよ。」
Mtk「ほんとに…?泣怒ってない…?」
Hrt「なーんにも思ってないよ。誰も悪くない。ほら、もー泣くのやめ!綺麗な目が溶けちゃうよ?」
Mtk「ありがとう…涼ちゃん…若井…」
Ryok「どういたしましてー!
だいぶ回復したね。もう帰ろうか。明日もリハーサルあるし。」
Hrt「今日は3人で涼ちゃんの家に泊まりだー!」
Ryok「え?え??なんで僕の家?!!」
Hrt「いーじゃん涼ちゃん家広いんだから」
Ryok「若井の家も広いよね?!あと僕の家掃除してないし!」
Hrt「だーいじょうぶ大丈夫!掃除すればおっけー!ほら、帰る準備するよ!」
Ryok「ちょっとー!!!!僕の話を聞けぇえええ!!!!」
Mtk「…んふふ…ふははッ!!」
Hrt「ほら!元貴もやっと笑ったじゃん!こーれは涼ちゃんの家に泊まりで決定だな!」
Ryok「はいはいもう分かりました僕の負けです!!ほんとに散らかってるからね?!知らないよ?!!」
Hrt「よーし本部にも帰る連絡したし車も来たみたいだから行くぞー!元貴ちょっと持ち上げるよ〜」
Mtk「…え?」
Hrt「よいしょっと」
Mtk「え、ちょッ?!//」
Ryok「わーお若井イッケメ〜ン」
急に若井が僕の膝の裏と背中に手を回して持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこってやつ。
正直車まで歩ける自信なかったからありがたいけど…恥ずかしいんだけど?!//絶対もっと他の持ち上げ方あったよね?!!
Mtk「わ…若井…恥ずかしいんだけど…//」
Hrt「病人は大人しく持ち上げられてくださーい」
Hrt「ごめん涼ちゃん、元貴の分の荷物持ってもらってもいい?俺の分は持つから」
Ryok「大丈夫だよ〜」
Hrt「よっしゃ行くぞー!」
Ryok「おー!!笑」
Mtk「はっず…//」
廊下ですれ違ったスタッフさんにめちゃくちゃ見られて恥ずかしかったし…涼ちゃん家に着いたあとも2人が過保護すぎて照れまくっている僕なのでした…
若井、涼ちゃん、ありがとうね。
コメント
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みぅです🤍🥀 今回、すごく胸がぎゅってなった……元貴が倒れた瞬間の焦りとか、若井が咄嗟に手を出したところとか、涼ちゃんの冷静な動きとか、3人の距離感がちゃんと現れてて好きだな。 それに、元貴が自分のせいだって泣いちゃうとこ、すごく刺さったよ……自分を責める気持ち、わかる気がする。 でも若井が「誇らしい傷だ」って言えたのが本当にかっこよかった……ああいう一言、救われるよね。 最後の姫抱っこからの照れも可愛くて、思わずにやけちゃった(笑) 次が気になる……ライブ本番、大丈夫かな? また読みにきます🌙