第十三話
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
あれから数週間が経った。
水「…あと1ヶ月…」
私の命はもう短い。この1ヶ月を大切に過ごさなければ。
水「…あ、そうだ手紙書こうかな」
今までお世話になった青くん達に感謝のお手紙を書こう。
赤お兄ちゃん達は私が病気ってことも、もうタヒぬって事も言ってないから手紙で伝えるとしよう。
そうと決まればまずはレターセットを買いに行かなくては。
ショップにて
水「どれにしようかな…」
今のレターセットっていろんなものがあるんだな…。お花や星座、水玉など50くらいの種類がある。迷っちゃうな。
水「…あ」
このキツネ柄のやつかわいいな…。
水「これにしよ♪」
店員「ありがとうございました〜」
水「買えた…♪」
青くんに見つかったらまずいから、1人の時にコツコツ書くとしよう。
ガチャ
水「ただいま〜」
水「よいしょっと」
買ってきたものを机に置く。
水「もう早速書いちゃおうかな♪」
こういう普段使わないものを使う時、早く使いたくてうずうずしてしまう。せっかくだし、もう書いてしまおう。
水「その前に手洗ってこよ〜っと…」グラッ
水「え…?」
バタッ
水「…」
あれ?今視界が揺らいで…横になって……もしかして私…倒れた?
水「…青、くんに…電話…しなくちゃ…」
青くんに電話して、助けてもらわないと…なのに…あと少しで届きそうな距離にあるスマホを掴めない。
水「…っ…」
ダメだ。もう意識が遠のいて、視界が黒くなっていく。きっと瞼が閉じ始めている。
水「青、くん…助け…て…」パタッ
届くはずのない言葉を告げて瞼を閉じた。
青side
青「…」ブルブルッ
なんやろう…さっきから寒気が止まらない。
友達「どうした青?めっちゃ震えてるけど」
青「なんか…寒気が止まらんくて…」
友達「大丈夫?暖かくしなよ」
青「いや、そういうんじゃなくて…」
青「なんか嫌な予感がするんよ」
友達「…それって早く家に帰った方がいいんじゃないの?」
青「え?」
友達「噂されてクシャミするみたいなのあるじゃん?そんな感じでさ、誰かに噂されてる〜とか、あるいは……」
友達「助けを求められてるとか 」
青「!」
青 スタッ ダッ!
友達「ちょっ青?!」
青「悪い!家に帰る!!教えてくれてサンキュ!!」
青「はぁっ…はぁっ…」
水が危ない。友達の言葉を聞いた瞬間、そう思った。
バンッ!!
青「水っ!!!」
シーン…
返事が聞こえない…まさか…ホンマに倒れて…!?
青「水…っ!」
水「…」
青「!?」
案の定だった。リビングの扉を開けると目の前で倒れている水。
青「水!聞こえるか!?」
青「急いで119番…!」
医者「……もう、水さんは限界に近いです」
青「っ…そう、ですか…」
病院に送られた水は、手当てはしたものの完璧に回復なんて出来なかった。タヒぬまでここで過ごさなあかん…。
青「…先生…水の病気は治せないんですか…?」
医者「残念ですが…今の医療技術ではできません……本当に申し訳ございません… 」
青「…」
ガララッ
青「…水」
水「…」
真っ白いベッドで寝ている水。その顔は俺から見ると凄く苦しそうで、見ている自分の心が締め付けられる。
青「……俺、お前のこと愛せていたか…?」
青「あの時『愛して』って言ってたように、水が求めていた『愛』を俺は水にあげれたかな……?ポロポロ」
青「もう…1ヶ月しかないのに…病院で過ごさんといけんくて……ポロポロ」
青「なんで…水なんやろうなぁ…ポロポロ」
君の前で泣きながら独り言を呟く。水が眠っている今、ずっと心にあった不満をブツブツと呟いていた。
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