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#学園
大正
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コメント
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んー、今回もしっかり面白かったわ!やっぱ杉田さんとの息の合った連携と、彩花の糸を自力でほどく成長っぷりが熱い🔥 レッドスパイダーの天井からの攻撃、めんどくさそうだけど戦闘描写が丁寧で臨場感あるわ。レベルとかスキルの話も出てきて、今後の伏線っぽくてワクワクする。マッパースキル欲しいな〜って思う気持ち、めっちゃわかる。17層への道、どうなるんだろ!
「先に見せ場を作られちゃったか。せっかく先輩としていいところを見せたかったんだけどなあ」
杉田さんが後ろ頭をかきながらこっちへ近づいてくる。
「すいません、見せ場を作るために対応が遅れるのも問題かと思いまして」
「いやまあ、そこはいいんだ。ただ、問題なく戦えるようだから、そっちは二人で、こっちは四人でそれぞれ戦えそうだし、背中をカバーしつつ行こうか」
「はい、お願いします」
杉田さんと並んで、前に進んでいく。前からも横からも、そして場合によっては上からも襲ってくるため、片方は前を見てもう片方は上を見る、といったスタイルでこちらのパーティーは進む。杉田さんたちは目が多くて助かるな。こっちは頑張っても二人分だからな。言った通り、前と上だけをみつつ、俺が前方を完全に確認しながら進む。
そんな中でもそこそこの密度で現れてくるレッドスパイダーは、一方的に押し切れる場面もなく、緊張感を保ったまま進められた。さすがに同時に二匹来た際は一匹を杉田さんたちに任せてこっちはこっちで二対一の適切な火力集中で余裕をもって倒すことにしている。
「数がなかなか減らんな。これは結構てこずるかもなあ。もっとパーティーが増えてくれれば楽に攻略できるんだが」
「頭の上から襲ってくるモンスターが得意な人はあまりいないと思います。せめて早めに見つけて叩き落とすぐらいしかやりようがないのが苦しいですね」
杉田さんもぼやく。俺もぼやく。戦いづらいモンスターとはとっととおさらばしたい。もっと、近接肉弾戦か遠距離スキル戦で、同じ目線で戦えるモンスターと戦いたい。多少強くてもいい、硬くてもいい。ただ、目線の合わないところから一方的に攻撃されるのは勘弁だ。多分、相手のモンスターも同じことを思っていてのああいう攻撃の仕方なのだろう。まったくもってやらしい。
引き続き二パーティーでそれぞれ補い合って、少しずつだが確実に進んでいっている。
「まったく、十五層で帰っていったパーティーが二つぐらいいるんだろうが、こっちまで手伝ってほしかったな」
「ほかのパーティーとも連携をとっていたんですか? 」
杉田さんたちが知っている、というより顔を合わせたパーティーがいるならば、今ここにいないということは疲れ切って帰ったか、残りは休憩してから戦おう、ということになっているはずだ。
「連携というほどのもんでもない。どっちにモンスターがまだ固まってるとか、次の階層がどっちの方向にあるか、程度のもんだ。彼らも帰ったということは、本格的に俺たちの肩にかかってるというところだな。まあ、何層まであるかわからないが、多くても二十層は越えないとは思ってる」
杉田さんが二十層までにはダンジョンコアがあるだろう、という楽観的にも見える予想にちょっと聞き込みを開始する。
「根拠みたいなものはあるんですか? 」
「近くにノーマライズダンジョンがあるのに、そのすぐ近くでインスタンスダンジョンが出現した際、どんなに狭いマップでも二十層を超えるような深さのダンジョンはいままで報告されていない、というのが根拠かな。どうやら、周辺面積に対してダンジョンの広さは一定の土地の占有力みたいなものを持っているらしい」
一応過去のデータに基づいて出た話ではあるらしい。だとしたら、この次の階層ぐらいから終わりを見定めておいてもいいってことか。もうすぐ終わるんだな、というやる気が出たところで、彩花がまた一匹また一匹と空中から糸を伝って下りてくるレッドスパイダーを文字通り赤い炎で焼き尽くしていく。
そして黒い霧となっていくレッドスパイダーから落ちる魔石と……やった、糸だ。魔石のさらに追加で余分にドロップしてくれてうれしいところ。これがいくらになるかわからないが、少なくとも持ってて活用できる素材ではないので、すぐに売りに行くことに文句はない。
「おっ、運がいいな。といってもそこまで低いドロップ率でもないんだがな。魔石と同じぐらいだ」
「そうなんですね。じゃあ、魔石三つとこの糸が一つでこの階層は抜けられそうですね」
「おおよそだけどな。最下層にダンジョンコアがあるから、より深くに潜り込む道があるならそっちが正解になるはずだ。見つけたら教えてくれよ。俺もできればこの階層は早く突破したいんだ」
考えているのは同じことらしい。首が痛い思いをするのはもう充分だ、とっとと先へ行きたい、と。二人がぼやいてる間にもモンスターはこっそりと忍び寄っており、彩花が糸に絡めとられ、体の身動きが取れなくなる。体が浮き上がり、レッドスパイダーのほうへ引き寄せられ始めた彩花だが、不思議と助けてともなんとも声を上げなかった。
絡めとられたことに気づいた彩花は自分で力任せにほどき、火魔法で焼きにかかる。さすがにレベル差があるからか、今の彩花のレベルなら巻き取られても自力で脱出できるってことか。糸を自力でほどいた彩花がやり返しに、と火魔法で糸を焼き、そのまま本体まで火を伝わせていく。
彩花に狙われたレッドスパイダーはそのまま火魔法で焼き焦がされ、天井から落ちてきて黒い霧に変わる。ドロップこそ何もなかったが、彩花一人で対応できなくもない、ということがわかった。
「自力でほどけないこともないわね。多少の危険を織り込み済みにすれば力づくで突破できそう」
「心配だからあんまりやりたい戦法ではないんだが……まあ、避けていくわけにもいかないしな。できるだけ見かけたら先に攻撃するか、教えてくれてこっそり討伐するかしないといけないかな。とりあえずあと数十匹、倒してしっかり道を広げながら次への階層を探さないといけないし、進むしかないな」
十三層のバブルフロッグ、七層のサラマンダーに続いて、あんまり寄り付きたくない階層がまた一つ増えてしまった。もうこういう環境的ギミックで進行を遅らせてくるのは勘弁してほしいところだ。こういう地形やモンスターの特徴で戦闘感覚や探索にロスを設けてくるのは俺好みなところではない。
しかし、わめいても仕方がないのでおとなしく探索を進めるしかないな。杉田さんたちに全部任せて残りを……というわけにもいかない。
「しかし、そっちの二人はすごいな。レベルいくつあるんだ? 」
杉田さんがレベルについて気になっているらしい。
「レベル……ってなんですか? 」
とりあえず今は知らないふりをしておこう。彩花は俺の出方を見て、黙っていてくれるらしい。
「レベルってのはな、もうすでに体験してるかもしれないが、モンスターを倒し終わった後に、こう、ふわっと全身が浮くような感触で包まれるような……そんな感じだ。その感覚がレベルアップで、腕力や素早さなんかがちょっとずつ上昇する、探索のおまけみたいなもんだ。ちなみに、見た目もカッコよくなるから、本条君も結城さんももしかしたら何回かレベルアップしてるのかもしれないな。ダンジョン潜ってる間に言われなかったか? 急にかっこよくなったとか異性の目が急にこっちに向くようになったとか」
「……心当たりはありますね」
ザックザクに心当たりがあるのは置いといて、レベルアップに気づかずここまで来た、という風に装っておこう。
「もしかしたら、今彩花がレッドスパイダーの糸を力づくでほどけたのもレベルアップのおかげかもしれませんね。本当はもっと強めに絡めとられてレッドスパイダーのほうへ引き付けられて、噛みつかれて毒を注入されるなり、本物の蜘蛛のように体内に消化液を注入されてドロドロに溶かされて……というところでしょうか」
「君はなかなか賢いね。レッドスパイダーに初めて出会うにしては蜘蛛の生態や攻撃方法なんかをパッと思いつくあたり、レベルアップの恩恵を受けていると言っていいのかな」
「心当たりがある……といいましたが、確実に恩恵を受けていると考えてもいいと思いますね。思えば急に成績が良くなりましたし、レベルアップの現象が何回か感じ取れていれば……そこそこいい感じに過ぎ去っているかもしれません。レベルいくつなんでしょうね、今」
「世の中には鑑定士というのがいて、その人にかかればレベルやスキルも丸見えらしいぞ。もし出会う機会があったら見てもらうのもいいかもな」
そんな危ない職業……いや、スキルもあるのか。できるだけ出会わないようにしていかないとな。この異常なレベルの上昇具合とスキルの数を見られては言い訳のしようもなくなる。
話しながらも地道にレッドスパイダーを倒していると、後ろから入り込んでくる探索者パーティーの足音を聞き取ることができた。
「どうやら援軍が来たみたいですね。多少楽に動けるようになるかもしれません。十六層が終わりそうなタイミングで来られたのがちょっと気に入らないですが、それでも探索を短時間で終了させられるなら戦力としては充分なものが来てくれたと考えましょう」
「そうだな……レッドスパイダーもある程度数を減らせたし、次の階層を探しに行くほうを優先して進むほうがいいかもな」
杉田さんも賛成してくれたので、戦闘しつつも階段を探していく方向性で一致した。
「はい、じゃあ……どっちだろう。とりあえずうろついていくしかないのかな。周辺地図を頭の中に浮かべてくれるスキルとかあればいいんですけどね」
「あるらしいぞ、そういう便利スキル」
「マジっすか、何層ぐらいのモンスターが落とすんですかね」
「そこまではわからないが、【マッパー】って名前のスキルのはずだ。そのうち換金所で値段を確認するといいと思うぞ。俺達にはちょっと手が届かないスキルだし、本条君たちには……相当厳しい金額になるとは思うが、持ってるだけで丸儲けできるS級スキルの中では安いほうのスキルにはなると思う」
結構一般的に広がっているスキル名称のような感じには見えるが、どうやら大人気らしく値段のほうも天井知らずらしい。マッパーか……確かに、どこのダンジョンでも変わらずマッピングをすることなく進めるのは便利だろう。なにより、紙と鉛筆を出したり入れたりしなくて済むしな。
そんな便利スキル、【マッパー】がない俺たちはそのまま十六層を潜り続ける。ここまでのドロップは魔石が三つに糸が三つ、思ったよりはドロップに花が添えられたかな、というところだ。さて、十七層への道はどこだ?