テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
2話 レシート
ピロン_スマホの通知音がなる。
「誰からだろう」
そう思いスマホを除く。先輩からだ。
【昨日はごめんね〜。あれはなんというか…友達のせいなの!ほんとにごめんね。あ、自己紹介してなかったね!ごめんごめん!
私は3年4組の加藤彩花よろしくね!
良ければ君の名前教えて欲しいな! 】
…長い、レシートみたいだ。あ、返信しとかないと。
【全然大丈夫です。俺は2年1組山川拓真です。】
送信っと_
画面を閉じた瞬間、ふぅっとため息が出た。
頭のどこかで昨日の出来事がリピートしているみたいだ。
眠い…。だけど学校行かなきゃ。
今日も早く来てしまった…もう少し寝ていたら良かったのかもしれない。
「拓真!今日も早いな…なんかあった?」
「圭介うるさい。別になんも無いけど。」
「そっか」
圭介《けいすけ》とは小さい時からの腐れ縁だ。圭介は…普通にうるさくて猿みたいだ。
また寝ていた。これで何度目なんだろう…最近は気づいたら午前中の授業は終わっている。まぁ別にいいんだけど。
ピロン_
【やっほー拓真くん!彩花だよ!君さ部活入ってなかったよね!だから今日の放課後付き合って!!じゃあ放課後校門前集合ね!】
勝手に決めてる…まぁ暇だからいいけど。
【わかりました。】
送信_
今日は頭が周りそうに無い。とりあえず寝よう。
放課後_
屋上来たけど何するんだろう…
「拓真くん!良かった来てくれた!」
「…まぁ来いと言われたんで」
来ないと思っていたのだろうか…少し悲しい
「ありがとう!ごめんだけど手伝ってもらっていい?」
「はい 」
受け取った袋にはカップラーメンが入っていた。
「ごめんね〜付き合ってもらって」
「大丈夫です。でもなんでカップラーメン?」
「夢だったんだ。」
…夢?なんだろう
「誰かと屋上でカップラーメン食べる事!」
「じゃあ俺じゃなくても…」
「いいのいいの!」
やっぱりおかしな人だ。
カップラーメンにお湯を入れて三分待つ。するといい匂いがしてきた。
「いただきます!」
そう元気に先輩は言って食べ始めた。
「私ね、死ぬまでにやりたい事100を昨日作ったの!まだ50個くらいしかできてないけどね!」
「食べながら喋らないでください。」
「ごめんごめん!」
「まぁ今回だけ許します。」
「ありがとう!」
先輩の笑顔は眩しかった。
西日が差し込む屋上で、風がカップラーメンの湯気をふわりと散らしていく。
その横顔は、俺とは全然違う世界の人みたいで_なぜか、目を逸らせなかった。
「ねぇ!また私のやりたい事100の消化手伝ってくれる?」
「はい」
この言葉を言えて良かったと俺は思う。