無意識にカレーを平らげ、顔を上げると彼女がじっとこちらを見つめていた、警戒を怠らない猫のような茶色の目を・・・・
頬は紅潮し、艶やかでぷっくりした唇をわずかに開き、瞳孔は大きく開いて
ああ・・・たしかに彼女はとても美人だ
でも美人な女は世の中には沢山いる、でも彼女を見つめていると・・・なんか・・・
あんな見つめ方をされたことは一度もなかった、何をそんなに怖がっているのだろう?
そこでハッとひらめいた
あ!僕か? 僕なのか?
無理もない、こんな深夜に女性の部屋に上がり込んで食べ物を恵んで貰うなんて
そのついでに彼女はもしかしたら自分は、危害を加えられるのではないかと警戒している
自分はそんな変態にみえるのか?
慌てて逃げ出すように彼女の部屋から出て行った
それからというもの柚彦はベランダから出勤する彼女を眺めながら考えを巡らせていた
どういう事情があるのか聞きたくてしかたがない、彼女がどんなひどい目に遭ったのか
と言うのも自分の頭の片隅でおぞましい、想像がどんどん形作られていきつつあるからだ
彼女が誰かから虐待を受けていたという懸念を、どうしても頭からぬぐい去れなかった
そんなことは考えたくもないのだが脳裏にこびりついて離れない
初めて会った日、自分にご飯を作ってくれてうつろな目をしてあきらかに自分に怯えていた
あの表情が何を物語るのかはよく知ってる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!