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6話目です
一次創作です!暖かい目で見てください!!
『…ン……?こ、こ…』
アルベルトは目を覚ました
だが目の前に広がる光景は見慣れぬ天井…というか水がアルベルトを囲っているのだ
『…なんだこれ…』
【お、起きたか
存外早かったな】
『水の精霊王…』
【今解いてやる】
ミエルココンは水を手で吸い取るように動かすとアルベルトの周りを囲っていた水は吸い取られていった
【記憶はあるか?】
『…魔力が…!』
【嗚呼、魔力欠陥で倒れたからな
俺の魔力が籠っている水ををお前の周りに纏わせていた
そちらの方がマナの吸収が早い】
『そういうことか…』
【体に異変はないか?】
『はい、ありがとうございます』
【さて、手を出せ】
『え?』
【早く】
『は、はい!』
アルベルトは右手をミエルココンの手の上に置いた
【そのままじっとしていろ
“精霊王ミエルココンはアルベルト・グレーダスがアカデミーを卒業するまで見守り力を貸すことをここで結ぶ”】
『!』(これは…”誓約魔法”!?)
誓約魔法とは約束事を決して破れないようにする魔法で同じ類の魔法で一番強固な魔法である
約束が違えた場合、違反者へペナルティが課される
【早く応えろ
この魔法はすぐに答えなければ無効になってしまう】
『”アルベルト・グレーダスはこの誓約を受け入れる”』
アルベルトがミエルココンを受け入れると二人は鎖で結ばれた感覚には陥る
【これが誓約魔法だ
どうやら初めてではないようだな】
『初めてだ…見たのは…
本では知っていた』
【なるほどそういう事か
お前が知っていて助かった
前は知っている人の子はいたが、もう今ではあまり使われない】
『そうなんですね』
【そうだ俺のことはミエルでいい】
『俺のこともアルベルトかアルで呼んでくれ』
【わかった、アルベルト少し触れるぞ】
『?』
ミエルココンは指先をアルベルトの額まで持ってきた
『何すんの?』
【俺のだという目印をつける
他の精霊王に気に入りられては困る】
『は?気に入られるわけないだろ?』
【どうだか
用心はしとくに越したことはない】
『まぁいいけど』
【それにこれは俺からの祝福だ】
ミエルココンは魔力を込め指先を額に押し付ける
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!』
【これでいい】
『いってぇぇ…!もっといい方法なかったのかよ!』
【精霊王の祝福は本来はキスだ
…なんだ、キスの方が良かったか】
『いえ、今のがいいです
キスはちょっとご遠慮しておきます』
【あ、ひとつ言い忘れていた】
『?』
【その額の印は普段は隠しておけ】
『隠すって…』
【なんでもいい、布で覆ったり髪の毛で隠したり】
『なんでだ?』
【精霊王といっても大きく分けて4人いる
その中の誰かの印しかは基本的には分からない
わかるのは同じ精霊王か精霊だけだ】
『?なら隠す必要ねぇじゃん』
【本来ならな
だがその印は精霊王の物だと言う証
だからお前は精霊の国に入れるんだ】
『!』
【その印の意味をわかる人間がいた場合、デメリットしかない
お前は精霊の国を顔パスで行けてしまう人間の上、この国の第一皇太子だろう?
利用しようとするものがいるんだ
妖精の羽根はとても美しい
だが妖精はそれを取られたら飛べなくなってしまう】
『今回、お前を召喚したのを見られた…』
【嗚呼、本来なら人目を気にして人がいないところでやるんだが…お前はやってしまったから仕方ない
でも契約したところは見られていない
不本意ではあるが契約は出来なかった
失敗したとお前の従者に話す時に人がいるところで大々的に言ってやれ
人は簡単に信じる
なんてったって相手が相手だ】
『…はは!!マジでミエル、おもしれぇな!!』
【はっ、今やっとわかったようだな
だが失敗したからと言って使い魔を作らないのも不自然だ
お前の魔力量なら先程出していたドラゴンを召喚出来るはずだ】
『へぇ〜…さっき召喚したのは水竜と火竜か』
【私の属性上火竜とは相性が悪い
水竜にした方が…】
『いや、別のドラゴンを召喚するよ』
【は?】
『なんせドラゴンはあの二体だけじゃない』
【おいまさか…】
『嗚呼、風竜を呼び出すよ』
【馬鹿げてるな】
『はは!!なんとでも言ってくれ
炎とは相性が悪い…水と風のコンボだ』
【…まぁ水属性と水属性が一緒になっても威力は上がるが意味は無いな】
『そーそー!色んな属性がいた方がいいし
俺の目指す国にはドラゴンも必要さ』
【はぁ……お前の従者は苦労しそうだな】
『苦労してると思うぜ〜』
「「なんでお前は他人事なんだ」」
『いってぇ!!!殴ることねぇだろ!!シエル!マラ!!』
「精霊王様、お話中申し訳ごさいません」
【もう終わったところだ】
「そうでしたか」
『あ、シエル』
「はい」
『お前、魔力測定のランクは?』
「え、Aでしたが…」
『…ふん、…なるほどな…』
「は?バカにしてますか?」
『してねぇよ!マラは?』
「俺はB+でした」
『そうか…』
この国には魔力の測定は義務ではないがきちんとランクがある
上から、[S、A+、A、A-、B+、B、B-、C、D
E、F]ランクまである
A〜B-まではそこまで変わりはしないが技術面などを加味されることがあるからここまで増えた
『さてどのランクを狙うかな』
【精霊王を呼び出せてるんだ
下すぎると怪しまれるぞ】
『わかってるよ』
「なんで本気出さねぇんだよ」
『できるだけで隠しておきたいじゃないか』
「精霊王様呼んでる時点であなたに喧嘩売るものなんていませんよ
何も知らぬ阿呆か実力者です」
『そうか、まぁ隠しておいた損は無い』
「まぁそうですけど…」(良くもまぁ言う…その魔力のオーラ…ちょっとやそっとでは隠れない)
『とりあえず魔力測定は後でいい
なんか広い場所ないか?』
「?なぜ?」
『やることがあるからだ
できるだけ注目されるところだ』
「…はぁ?…」
アルベルトは中庭へ移動した
『…まぁこのくらいの大きさなら文句言わねぇだろ』
「アルベルト・グレーダス!!起きたなら報告に来なさい!それに!こんな所で何を!」
『使い魔契約』
「嗚呼、精霊王を呼んで魔力欠陥になっていましたからね
貴方には相応しくなかったのですね」
『はは、そうみたいだ』
「「…」」((いつか絶対に殺す))
『抑えろよ〜シエル、マラ』
「「わかってる」」
「?」
『さてと…』
「兄上!」
『お、ハレナース!それにナリアじゃないか
久しいな』
「おひさしぶりです…じゃなくて!一体何が…」
「どうせ兄上の事だ
馬鹿なことをやるに決まってる」
「ナリア様、馬鹿のこととお決めになるのは早いかと」
「仮に馬鹿だとしても口に出すもんじゃないよナリア」
「…あなた方もお久しぶりですね
リアム
そろそろその利口の口を閉じたらどうですか?第一皇太子の御前ですよ」
「あれ兄さんいたんだ、影薄すぎて気づかなかったや」
「リアムやめとけ、こいつに何言っても頭硬いから」
「お前も少しは腕上げたかよユス」
「兄上お久しぶりです」
「嗚呼、久しいな」
『で?リアム・サルヴァトーレ子息
さっきのシエルへの言葉なんだ』
「そのままの意味にございます」
『そうか、良くもまぁ兄より劣ってくくせにその口が叩けたなぁ?』
「はぁ!!?」
リアムは顔が怒りで真っ赤になる
「アルベルト・グレーダス第一皇太子殿下!今の言葉どういうことですか!!俺がコイツに劣ってる!?
迷い事を!」
『そういうところだ
いくら魔力量や技術で勝っていようが今の俺の言葉でカッとなって言い返してくる
感情的なるなとは言わない
たかがたったあれだけの言葉で中庭を見ている人間にどういう印象を与えただろうなぁ?』
「ッ!」
『その点シエルはその辺上手に躱すさ
カッとならずに相手に返す
そりゃあ出来れば兄に並ぶかもな』
「好き勝手!」
「リアム!落ち着いて!」
『ははは!ハレナースの言う通りだ
少しは頭冷やせ
ウォーターボールでもかけてやろうか?』
「いりません!!」
『ははは!!』
「それで兄上、一体何が…」
『あ、忘れてた
シエル、頼んだ本は?』
「ここに」
『ありがとうな』
「いえ、」
『あぁ、そうだ
ハレナース、ナリア、リアム、ユス、お前らの使い魔はなんだ』
「え、僕は下級の水の精霊…」
「なんで僕が兄さんの言うことを聞かなきゃいけない」
「…俺は中級の風の精霊です」
「俺は火!中級!精霊!」
アルベルトが名を呼んだ順に答えていった
『そうか、なら少しお兄ちゃんらしい所を見せよう』
『上級 風の精霊 “疾風迅雷 竜巻で全てを吹き飛ばせ”』
「「「「「「!!!?」」」」」」
詠唱を口にすると本から風が舞い上がった
「ッ…」
『……』
【この我を呼んだのは貴様か
人の子】
『嗚呼、俺であってる』
【なして我を呼んだ…?】
『俺と使い魔契約してくれ』
【…非常に言いにくいのだが…その額のは…】
『これは気にしないでくれ』
【いや、流石に…】
『とりあえず気にしないで』
【……】(どーみても水の精霊王様の印だな…)
『これは抜きで俺と使い魔契約を結んでく、れ…?』
【?】
本の上で展開されている魔法陣から何かが飛び出そうとしていた
『おいおい、なんだその手は』
【我も知らん】
【アルベルトちゃぁぁぁ〜ん!!!】
『えぶっ!!!!?』
魔法陣から何か飛び出したと瞬間アルベルトに何かが飛びついた
それこそまるで風のようなものだった
『ぅぅうぅぅう〜……』
アルベルトは突然ぶつかられて目を丸くしてしまった
「……ハァ……コイツの天性の人たらしには嫌になってきました」
シエルは出てきた相手を見た瞬間頭を抱えた
「……主人だ…一応これでも…俺達の…」
マラも同様に頭を抱えていた
【…なんじゃなんじゃ!!ミエルココンは呼んでおいてこのワシを呼ばんとは薄情じゃなぁ?なぁ?アルベルト・グレーダス】
『酷い言われようだな…薄情と言われようが俺はあんたのことを知らないから
薄情もない、まずお前誰だよ!』
【ワシか?ワシは風の精霊王ルヴォン】
『…俺は精霊王を呼んだつもりは無いぞ』
【そうだな
ワシが勝手に来ただけだ】
『なんで来るんだ』
【来たかったからじゃ】
『コイツ話通じねぇ!!』
【はは!!お主面白いなぁ!顔が百面相に変わる
実に愉快だ】
『やめろ、頬をこねるな』
【はは!】
『わっ!?』
【そのガサツな手でこの人の子に触れるな】
ミエルココンは水でアルベルトを囲み自身の手元へ引き寄せる
【なんじゃなんじゃ!”氷の王”ミエルココンとも呼ばれておるお主が人の子ごときにご執心か?】
【どうでもいいだろ
貴様には関係の無いことだ】
【それが関係あるんじゃよ
残りの2人も気になってるおるようじゃよ】
【……ハァ…なるほど風属性の魔法陣ならお前は少しばかり干渉できる…】
【そういうことじゃ】
【だが上級の風の精霊を呼んでる時にお前が来るな
この子の体に負担しかないのを自覚しているか】
【ガハハ!!そうじゃったなぁ!人間は弱く脆い生き物じゃったなぁ?】
【…とりあえずお前今日のところは帰れ
こいつが悪目立ちをする】
【それはいかんな
ではアルベルトよ、またいつか
時が来るまでの別れじゃ】
風の精霊王のルヴォンは風のように消えていった
【……もういいか】
『なんでお前出てきてんだよ』
【アイツは人間をガサツに扱う
脆く弱いと言っているのにドワーフの様に投げたりぶっ飛ばしたりする
現にお前は突撃されただろ】
『あー…』
【流石にお前が死ぬのは困る】
『すみませんでした』
「兄さん!どういうこと…!?なんで水の精霊王が…」
「アルベルト〜弟君と俺らの弟にも説明しろ」
『はいはい!とりあえず上級の精霊を…ってあれ居ない…』
【あいつが共に連れ帰った】
『なるほど』
その後周りを窘めるのにしばらく時間がかかった
精霊王との契約は出来なかったということを示そうと思ったが裏目に出てしまったからだ
だが、水の精霊王との関係は父が知り合いで昔ながらの付き合いだと話したらハレナースとユスは納得したが、ナリアとリアムは納得しがたい顔をしていた
その後アルベルトはマラとシエルに連れられ魔力測定を行った
ランクはAだった
恐らく精霊王を意図ではないにしろ呼んだのだ魔力消費していたのだろう
『色々あって疲れた』
「でしょうね」
「まさか風の精霊王まで来るとは…」
『流石にあれは俺でも予想外だ』
「でしょうね」
『はぁ…まぁ〜たナリアの恨みを買っちまったなぁ?』
「喧嘩売るからだ」
『はは!!売ったつもりはねぇよ
事実を伝えただけだ』
「お前また第二、第三皇太子殿下派閥に仕掛けられるぞ」
『そん時はそん時だ』
「アルベルト」
『なんだ、シエル』
「警戒しといてくれ」
『お前まで…どうしたんだ』
「今日、リアムから一瞬少し嫌な気配がした」
『……そうか、わかった
こういう時のお前の勘はよく当たるもんな』
「勝負の時は当たんねぇのにな?」
「それとこれは違うでしょう」
『まぁ、用心しとくよ』
「嗚呼、」
アカデミーの授業は爵位での優越はしない…そこに関しては国王も介入不可になっているが、高等部はデビュタントが終わっているものが多い、社交界のための大人になる準備を始める。なので食堂などの優越がある
部屋の割り振りもそうだ
アルベルト、マラ、シエルは一人部屋が用意されている
しかもアルベルトの部屋を挟むようになっている
『じゃ、またあしたな』
「ええ、おやすみなさい」
「おやすみー」
三人は同時には部屋に入った
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続