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3章:ポポハスの青
24話:無くなった感情神。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
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〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。 原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
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「どういうことですか!?だって…!ファイルナは…!!」
「私もシュウさんから聞いたけど、そんな内容無かったはずよ。」
…驚き取り乱す私たちにレタリーさんが落ち着いてと声をかける。
「うン、これは語られる前に消されタお伽話だから無理もないヨ。」
「マずは彼女がドんな神だったか、…教えてあげるね。」
___感情神・ファイルナ。
ウカイハが生み出した神々の中でも初期の方の神で、彼女は人間たちに感情を与える神だったんだ。
ただ、幼い彼女は感情を理解できなくてね。「嬉しい」が喜の感情、「涙」が哀の形だと分かっても、その使い方が分からなかったんだ。…いや、知ろうとしなかった。
ただある日、とある少年に出会ってファイルナは変わった。少しずつだけど笑顔を見せるようになったんだ。
古代魔法を扱う余ら三神も、その姿に安心し見守っていくことを誓った。
その少年はファイルナに認められ、神者・フェリーダとしてずっと一緒にいたんだ。
だけど五六〇〇年前、とある争いが起きた。
人間たちがファイルナを裏切り、彼女の神座を攻め始めたんだ。たとえ、たまたま神者が出かけていたとしても、余ら神々は神が負けるわけないと信じていた。
…が、違ったんだ。彼女は死の寸前まで追い詰められたんだよ。
最後の力で彼女は最高位魔法を使い、統治していた王国ごと、その場にいた人間を皆殺しにしてしまったんだ。
そして、全ての原因となった人間の象徴としてフェリーダを追放。
その瞬間、彼女は感情が無くなり無感情神・ファイルナとなったんだ。
「ソの後はキミ達の知っている通り、ファイルナは消えた。」
…消されたお伽話を静かに話し終える。無感情神ファイルナが生まれた事実を聞き、唖然とする私たちの横で冷淡に
「フェリーダは…?」
とダインが質問した。
だが、双子神は首を横に振る。きっと彼もどこかへ消えたのだろう。
「彼女は余らの常識を変えた。人間に……コろされる可能性があるということ。」
「あの事件を境ニ、神は神。人間は人間で争うと決めたんダ。」
そっか。だから今まさに起こっているこの地の戦争にそれぞれの神が反応しないんだ。
もし、神と人間の争いになったとき、ファイルナの二の舞を演じないように。
「でモ、余らも詳しくは知らなイ。 彼女を信仰していた人間がなぜ裏切ったのカ、」
「ソもそも、なんでファイルナが感情を知ろうとしなかったのか…トかね。」
感情を与えた本人が感情を知ろうとしなかったという謎は双子神にも検討がつかないらしい。それもあり、お伽話という比喩をしているのかもしれない…。
「ダからこそ、キミ達に期待しているんだ。」
「え…?」
「感生の子が五人揃えば会える。っていうのは今ある唯一の鍵だからネ。」
私たちが鍵…。そんなこと、と考えているとずっと黙っていたシュウが口を開く。
「そう…だったんだ。…なら、なおさら会って確かめたい。」
ぎゅっと左手の甲を握り、覚悟を決めるような表情を不安混じりに見せる。でも…
「…みんな、まだ付き合わせちゃうけど…いい、かな…?」
「…いいよ。今さら引けないしね。」
「私も、…自分が生き残った使命としてついていくわよ。」
これは言ってしまえば、一人の少年の夢から始まった旅だ。
それでも私たちは感生の子として、この旅の着地を見届けないと。
だって私は…
あれ…?私は…
「…!!二人とも、ありがとう!!」
とシュウが返事した瞬間ーー
「双子神様!正面入口の窓が破られました!」
「…人間たちの争いでかナ?レタリー、待っててネ。余らが見てくるヨ。」
「ま、まて!双子神!!」
ダインが冷や汗をかきながら大声で止める。トラウマを思い出したかのような焦った顔で、
「お、お前ら双子神に武力はないだろ?危険だ。だってこの気配は…」
金の髪や服の装飾を揺らす少女は、入ってくるなりダインに話しかける。
「…メイ・クリップ」