レインはマッシュの元へ急いで向かっていた。今日は何故かいつもより頭が固い。同僚や後輩が失敗しているところを見るとつい勢いで腹を立たせてしまっていた。レインは普段と違う自分を完全に処理出来ていない。こんな自分を落ち着かせれるのは恋人のマッシュしかいないと考え、廊下をすたすたと歩く。その時だった。少し離れたところで複数の同僚が何やら騒がしい様子を見せていた。何か事件があったのではとレインは思い、同僚の度元へと駆けつけた。
「そんなに騒いでどうした」
レインの言葉を聞くと、同僚は興奮した口ぶりで言った。
「このチョコレート食うと心の声が聞こえるようになるらしいぞ」
「心の声が聞こえる?そんな危険なものどうしてここにある」
心の声が聞こえるときいて、脳に問題が起こりまともじゃいられなくなるのだろうかと考えたが、その予想は外れていた。
「ちーがくて!一時的な効果らしい」
と後半は声を小さくし、耳元で伝えた。
「何故それが分かるんだ」
少し警戒した様子で尋ねると、「食堂のばあちゃんが限定品って置いたんだってよ」そう、さらりと答えた。
「でもこれ、全部食わなきゃ効果出ないらしくてさあ…俺ら怖くて出来てないんだよ」
1人の同僚は、はあと肩を落とす。
「ま!一応レインにもやるよ!」
ぐいぐいとチョコレートを受け取るよう勧められ、レインは仕方なく受け取った。
貰ったチョコレートを片手に、マッシュのいる部屋まで着くとこんこんと扉をノックした。中からは「はい」と声がする。その声は紛れもないレインの恋人だった。がちゃりと音を立て開いた扉の先には、変わらない純粋さの瞳でこちらを見るマッシュがいた。レインを見るとマッシュの顔は明らかに明るくなり元気に「レインくん」と呼んだ。名前を呼ばれただけで愛おしさが溢れ、レインはがばりとマッシュに抱きついた。
「わ、レインくん。どうしたんですか」
マッシュの肩に顔を埋めているせいで恋人が今どんな表情をしているかが分からない。顔を見たいと思う反面、この体制が落ち着くからこのままでいたいと思うレインでもあった。何も言わず何分も抱きついているレインの頭をマッシュが撫でると、抱きしめている力が更に強くなった気がした。
「レインくん、苦しいですよ」
ふふとはにかみながら笑うマッシュからゆっくりと離れ、レインは扉を閉めた。すると、マッシュは何かに気付いた様子でレインの片手を指差しながら言った。
「それ、なんですか?」
「あぁ、これはチョコレートだが少し…」
少し問題があってな。そう言おうとしたところでマッシュが話を遮った。
「レインくん食べないなら僕が食べてもいいですか?」
なんの疑いもなくただのチョコレートと思い込んでいるマッシュの純粋さに改めて気付かされる。食べたがっているものを断ることはあまりしたくないが、これに関しては食べてしまったらまずいだろうと悩んでいるとひょいとマッシュにチョコレートを取られてしまった。
「マッシュ!それは」
「食べると人の心が聞こえるようになるんだ」そう言う前にチョコレートを口へ運んでしまった。
「おいひいですよ」
チョコレートを頬張りながらレインを見つめるマッシュ。止めなければいけないのに、全て食べてしまったら本当に心の声が聞こえるのか興味を持ち始めたレインは口を固く閉じた。全てチョコレートを食べ終わった頃に、マッシュはふうふうと息を切らし、林檎のように顔を赤くしていた。やはり食べさせるべきではなかったとレインは焦り、マッシュに「大丈夫か」と頬に触れた。するとマッシュはびくりと身体を大きく跳ねさせた。
「れ、レインく…これ変なのっ、」
レインは瞬時に理解した。このチョコレートには媚薬効果とあると。このままマッシュを放置するのは危ないと判断し、ベッドへ移動した。
「マッシュ、来い」
両手を広げると吸い込まれるようにマッシュはレインに抱きついた。
「れ、いんく、欲しい…//」
ぎゅうと服を握りながら耳元で苦しそうに訴える。試しに1度、背中を撫で下ろしてみるとマッシュは腰をびくりと動かした。普段のマッシュも感度が良いが、普段より感度が良くなっていることに気付く。
「レインく、キスしたいです…」
それだけ言うと許可もなしに自分から口を付け、舌を入れる。じゅぅと舌を吸い、必死にレインを欲しがるマッシュがあまりにも愛おしく、レインはマッシュの舌を舐める。
「ん、、きもひぃ…」
とろんとした表情を見せ、もっとキスをねだる。レインはマッシュの服を脱がし、自分のモノをすぐに挿れた。
「ん゛あ、?!//」
勢いよく奥まで届く快感にマッシュは耐えきれず、達してしまう。ハグの状態のまま挿れたおかげで正面座位となり、マッシュの顔がよく見える。突くたびに声を漏らし快感に耐えている光景があまりにも良く、徐々に激しくしていく。この時、レインは忘れていた。心の声が聞こえることを。心の声は既にマッシュに聞こえており、「好き」「可愛い」「誰にも渡さない」そんな言葉たちで埋め尽くされていた。
「れいく、はげひ…やらあ゛//」
ごちゅんと何度も奥を突く。奥を突くたびにに同時にレインの心の声まで聞こえてくる。普段言わない言葉が聞けて、マッシュは更に興奮していた。「もっとぐちゃぐちゃにしたい」そう聞こえた頃には全身快感に覆われ、マッシュは喘ぐことしか出来なくなっていた。
「ひゃう、!//あ゛、!んやっ…//」
何回も1人で達しているマッシュを見て、レインは「かわいいなぁマッシュ」と声を漏らす。マッシュは既に気絶しそうになっていたが、レインはまだ満足していない様子で
「お前が悪いんだからな」
とチョコレートのような甘い顔を見せた。