TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する


美味しかった。

最近のビジネスホテルすごいな。


あの値段でちょっとした朝食バイキングがついてるんだもんな。


いいよなー、朝起きたら、あったかいご飯があるって。

この間の茶粥も最高だった、と壱花はしみじみと思う。


朝、倫太郎と食べるときもあるが。


一緒にコンビニに行って、アパートに送ってもらって、買ってきたものを齧りながら、慌てて支度する、がいつものパターンだからだ。


駅でお土産物のコーナーを眺め、百貨店に行き、


よかった。

最中もなかあったー、とか。


あのマスカットのお菓子好きなんだけど、今、季節じゃないんだよなー、とか思いながら、壱花はまた幸せを感じていた。


勤務時間にこんなことしてるなんて、天国っ!


働いている木村さんたちに申し訳ないから、お土産、奮発しちゃおう、とせっせと選んでいると、こちらを見ているサラリーマンらしき男がいるのに気がついた。


お店の人に領収書をもらっているようなので、仕事で使う手土産を買いに来たのだろう。


こちらを見て、ぺこりと頭を下げてくる。


下げ返して、そういえば、何処かで見たような、と思ったら、何度かあやかし駄菓子屋で見た生活に疲れた……と決めつけてはいけないが、ちょっと疲れたサラリーマンの方だった。


なんであの駄菓子屋さんが岡山に? と思ってこちらを見ていたのだろう。


出張なのかな?

お疲れ様です、と思いながら、壱花はエスカレーターの方に行ってしまったサラリーマンさんに頭を下げた。




「びっくりしましたよー。

こんなところでお客さんに会うなんて」


「そりゃ、向こうもビックリしたろ」

と仕事を終えて合流した倫太郎が電車で言ってくる。


「俺は人間の客には、あまり顔をさらさないようにしてるが、お前はまるきり、そういうことに無頓着だからな」


「私は一般社員ですからね。


社長は顔出ししてて。

取引先の人と顔を合わせたときに、

『はっ、駄菓子屋さんっ』

ってなったらまずいですけど」

とまた横並びに座って話していると、冨樫が珍しく笑って言ってきた。


風花かざはなでも、副業かと思われてまずいですよね。

でも、給料じゃ足らなくて、隠れてホステスやるとかいうのは聞いたことありますけど。


駄菓子屋で働く、はあんまりないんじゃないですかね?


でも、風花らしいですよね。


……ホステスは、ない」

とまた、なにを想像したのかおかしそうに笑い出す。


……珍しくご機嫌でなにを言ってくるのかと思ったら、ロクでもないですね、やはり、と思っていると、倫太郎も笑いながら言ってきた。


「壱花がホステスしてたら、絶対行かないぞ、その店。

このホステス、100%気が利かないし」

と言って、はははは、と男二人で笑っている。


……二人にも差し入れのお菓子買ってきてたんですけどね。


渡さないことにしましたよ、今。


帰りの新幹線でひとり食べてやる……っ!

といじけながら、壱花は膝に抱えている土産物の詰まった袋をぎゅっと抱きしめた。




あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

23

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚