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また今日もいつものように登校すると教室は珍しく静かだった。教室の扉を静かに開けたつもりが僕に一気に視線が集まった。僕はいつも通り窓側の前から2番目の自分の席に着き、周りの話に耳を傾けていると、なんだかとても居心地が悪い。みんなの視線が自分に集まっているような気がするのだ。ただ、周りを見渡すために顔をあげる勇気はなく、ただ嫌な汗をかいていた。すると高田さんが、

「あ!山口くん来てたんだね。山口くん、なんで相談してくれなかったの!?」

と言ってきた。今まで話したことの無い高田さんに話しかけられたことのびっくりしたが、それ以前になんの話しなんだ?

「どういうこと?話が見えないんだけど?」

と僕が聞くと、高田さんは耳が痛くなるような高い声で、

「可哀想な山口くん!神田さんが怖くて言い出せないのよ!」

!?ますますなんのことか分からない。高田さんは何を言いたいんだ?

「神田さんが僕になにかしたの?」

「可哀想な山口くん!現実逃避をしてるのね!飯原君!可哀想な山口くんの味方になってあげて!」

クラスの男子が僕の近くに来て「辛かったな。」「今日から俺らが友達になるから。」などと言ってきた。飯原君も、好機だと思ったのか、神田さんを陥れにかかった。

「神田。お前昨日までお高くとまってたけどよ、なかなか酷いことしてんじゃん。萩原に知れたら速攻で振られるかもな。」

 この騒動を聞きつけたのか他のクラスの人も集まってきた。するとチャイムがなった。5分後に授業が始まるチャイムだ。野次馬は去っていき、クラスのみなも自分の席に戻って行った。

 この時期はもう授業をやらず自ら自習になっている。そんな時隣の席の鈴木さんがノートの端になにか文を書いていて、僕の肩を人差し指でつついた後、その文を指さした。女の子特有の丸っこくて小さい字。そこに書いてあったのは、「地味な山口は私の為に掃除当番変わってよ。とか言われて、聞かなかったら殴られたりして脅されてたの?」という内容の文だった。僕が読み終わったと察すると、その分を消して新しい文を書いた。「母子家庭で母親仕事でいないんだから。とかって言われて傷付けられたの?」という内容だった。

え!?なんで僕が母子家庭って知ってるの……?

ブドウのような僕らは今日も種を隠している

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