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うさぎになっちゃったマッシュくん4
どうしよう……レインくんが固まってしまった、、、
自分で歩く練習をしていたら疲れてしまい、うさぎさんに囲まれて寝ていたけど、
いつの間にか、レインくんが帰ってきていた。
「ただいま」
そう言うレインくんにおかえりという意味を込めてコクリと頷いた。
僕はうさぎの山から抜け出し、ぐ〜、と背伸びをすると、
「よく眠れたか」
レインくんが優しい声で聞いてくる。
(もふもふに囲まれて熟睡でしたよ)
コクコクと首を振ると、
「そうか」
そう言って、レインくんは僕の頭に手を伸ばし優しく撫でた。
心地いいな……
こんなに優しく撫でてくれるのに、僕は何にも話すことができない……
そんな自分が悔しくて、レインくんの体を登り、大きな肩に乗った。
(ありがとう、レインくん)
そう思いながらレインくんの頬をペロリと舐めた。
途端にレインくんが硬直してしまった。
僕の小さな手で頬を触って見ても動く気配がない。
(どうしよう……レインくんが固まってしまった、、、)
冒頭に戻る。
僕が焦っているとようやくレインくんが口を開いてくれた。
「お前……それどういうつもりで……いや、いい」
口を手で覆い隠し、モゴモゴ言ってるレインくん。
何言ってるんだろう……そう不思議に思っていると
レインくんは肩に乗ってる僕を抱き抱え、
「……そういえばお前は何を食べるんだ?」
そう言った。
フィンくんと昼食を食べた時は今の僕の体の状況を考えて、人参を食べていた。
うさぎの体だからか、人参がとても美味しく感じた。
これなら夜も人参で行けそうと思い、僕は机の上に置いてある、人参の置物を指さした。
「……人参でいいのか?」
確認をとるレインくんに僕はこくこくと、頷く。
「そうか、それじゃ皆で飯にするか。」
レインくんはそう言うと、寝ているうさぎさんたちを起こし、ご飯を食べさせた。
僕も腹ぺこで人参をたくさん食べた。
その様子をレインくんはガン見する。
(なんで僕、ガン見されてるの?)
ご飯が食べ終わり、レインくんはうさぎさんたちのブラッシングを始めた。
うさぎさんはとても気持ちよさそうに目を細め、うっとりとしていた。
いいな、咄嗟にそう思ってしまった。
全員のブラッシングが終わったと思ったが、
「お前で最後だ」
そう言われ、僕はレインくんの膝の上に乗った。
レインくんは慣れた手つきで僕の毛並みを整えていく。
(やっぱり気持ちいな……)
僕がウトウトしていると、
「気持ちいか?」
そう聞いてきて、僕はコクリと頷いた。
「ふ…そうか、自慢じゃないが俺は毎日こいつらにブラッシングをしてやっているからな…腕には自信があるんだ」
そう自慢げに言うレインくん。
毎日ブラッシングしてもらえるなんて羨ましい、なんて思ってしまう自分がいた。
そしてふと思った。
(明日にはもう戻っちゃうんだ……そしたらもう僕に笑いかけてくれないのかな)
きっと撫でてくれたり、笑いかけてくれるのは僕がレインくんが好きなうさぎの姿をしてるから。
そう思ったらすごく、胸がチクリと痛んだ。
「終わったぞ」
そう僕に声をかけるレインくん。
僕は言いたかった。
”うさぎの姿の僕じゃなくて、本当の僕を好きになって欲しいです”
そこで気づいた。
僕はレインくんが好きなんだと。
でも気づいてもどうすることも出来ない。
きっとレインくんは僕のことをただの”世話の焼ける後輩”だとしか思っていないだろう。
「今日は早めに寝るか」
レインくんはそう言って、うさぎさんたちをゲージの中へ入れた。
僕はどこで寝るんだろう。
そう思っていると、レインくんが僕の体を抱き抱え、うさぎ柄のベットに手放した。
「お前はここだ」
いや、言ってる意味分からないんだけど。
もしかして一緒に寝るってこと??
そんなことを悶々と考えていると、少し待ってろ寝る準備をしてくる。
そう言って、洗面所へといってしまった。
信じられない。
いくら僕がうさぎの姿をしているからって一緒に寝るなんて……
僕が1人で焦っていると、何食わぬ顔で洗面所からレインくんが出てきた。
「寝るか」
レインくんは布団に入り、僕にも毛布をかけてくれた。
僕の心臓がバクバクと音が出ているのが分かった。
こんなんじゃ寝れない……
そんなことを考えていると、レインくんが口を開いた。
「……俺には好きなやつがいるんだ」
驚いて、ただレインくんを凝視するしかなかった。
レインくんに好きな人なんていたんだ……そう思うと同時に
さよなら僕の初恋……と、思った。
「だが、そいつの周りにはいつも人がいてな、俺はずっと見ていることしかできなかった。
会ったら話すようにはしているが、俺の事を意識してはいなさそうなんだ」
レインくんでも落とせない人がいるなんて……とさらに驚きが積み重なった。
続けてレインくんが口を開く。
「今そいつは、どこかに行ってるんだが、戻ってきたら面と向かって告白するつもりだ」
(……きっとうまくいきますよ、レインくんはかっこいいですし)
僕は泣きたくなった。
こんな呆気なく僕の恋が散っていくなんて思ってもいなかったからだ。
僕はそれ以上聞きたくなくて、寝た振りをした。
「……寝たか、おやすみ」
落ち着く、低い声。
この声を聞くのは最後なのか。
と、名残惜しく感じた。
コメント
2件
しねました
思ってたこと全ていう!てぇてぇ