「うわ〜でか〜!」
「すっげ〜!!」
降り立ったが西の西。
初めてきた。東京の最果て…なんつったら怒られるか。巨大なプールを前にして、皆思い思いのことを口にする。
早速水着に着替え、さっさと支度の終わった男たちはギャーギャー大騒ぎである。
ゆあんくんとどぬ、そしてそれについてったヒロくんはそうそうにプールで遊んでる。
その様子をオレは近くで見守っていた。
流れるプールに流されまくってる。三人ともくるくる流されるがままで、おかしくって声を上げて笑ってしまった。
「女の子たちまだかなぁー」
「水着楽しみだな!」
「のあさん完全防備するゆうてたで」
「戦にでも行くんか」
水着ねぇ。
去年くらいまでは周りの女のこたちどんなかなぁ、なんてそれなりに見てましたよ。…。えぇ、見てましたが!?仕方ねーだろ!男なんだから!!
のあさんの完全防備は納得がいく。照りつける太陽は肌を焦がすようにジリジリと攻撃してくる。
ラッシュガードや服のような水着が目立つ。だからきっとのあさんや、えとさんもそんな水着を着るんだろう。
…。なんだよ。俺だって気になってるよ。
「おぉー!!きたきた!」
「のあさんwwwwすげぇwww」
「日に焼けたくないの!!死んじゃうの!」
「えとさんビジュとおんなじじゃん!」
「かわいーかわいー!」
「煽てても何もやらんよ」
日焼け対策バッチリののあさん。
皮膚の露出ゼロ。日光に真正面から勝ちに行くスタイルだ。
えとさんはこれまたビジュ通り、パレオに身を包んでいた。隙間から長い足が見える。
やられる男がいそうだな、これは。
もうひとり、聞こえるはずの声が聞こえない。
あれ、キョロキョロと見回した。まさか迷子---
と思ったのも束の間。遅れてちょこちょこはしって…
「うわ!るなすげーかわいい!!」
声を上げたのはじゃぱぱさんだった。
その気持ちはなんだ兄ゴコロなのか親ゴコロなのか下ゴコロなのか。
「ねー!るなさんかわいいでしょ〜」
「うんうんかわいい!」
ふわふわした素材の、ワンピース型の水着だった。下に向かって淡いエメラルドグリーンにグラデーションかかってて、肩には控えめにリボンがついてる。
「るな緑なんて珍しー、まさか俺とおそろっちしたいってことだな!?」
「じゃぱぱさんとおそろっちはだいじょぶです」
「断られてんぞ」
すかさず水着の色を聞くじゃぱぱさん。にすかさず突っ込んだうり。あの人やっぱ慣れてんな。話の運び方うまいな…あとあんたとおそろっちじゃねーよ。
るなさん、緑着てる。初めて見た。
じっと、見すぎてしまった。
ふと、るなさんと目が合う。
にこり
照れているのか控えめにはにかんだ。
…もうそれだけで俺はノックアウトです。
「さーあ!!俺たちはいきますかね!!じゃぱさん!もふくん!!あれやろーぜあれ!」
「え、俺も?」
「そやシヴァさん飯買いに行くやろ?」
「は、え、俺?」
「さっきじっと食べもんの方ばっかみてたから」
それは視線の行き場がなくて、軽食方面に黄昏てただけでして。
とは言わず、ああ、そうなんだよね。と適当な相槌を打つ。
「ごはん!るなごはんたべます!シヴァさんいきませんか!?」
ぐい!うでを掴まれ我に返った。
気づけば隣でるなさんがラッシュガードの布を掴んでいる。
「そんなら、るなとシヴァさんで行ってきてや」
「えぇっ!」
「いきます!いきます!るなめーっちゃおなかすいてるので!」
なら一緒に行ってやり、たっつんは俺がいるならと安心してじゃぱぱさんたちを追って行った。
「…るなさんお腹空いてるの?」
「空いてますよ?…でもね、
シヴァさんと一緒にいたかったから、です。」
…うっ、わぁあ…
本日二度目のノックアウトくらう。
水着をまとうかわいらしい彼女に、腕を掴まれそんなこと言われるなんて。
ゲームの選択画面でしか見た事ねぇ。
「水着、さ」
「はい」
「なんで、その色なの…」
先にかわいいとかいやよかった。時すでにおすし。ニヤける口元を片手で覆い隠す。
じっとるなさんに見られて居た堪れなくなり顔を逸らした。
「シヴァさんの色がよかったんです。」
「…そうなんだ。えぇと…すごく似合ってて。妖精みたいだね」
なんか似てると思ったら、あれだ。ピーターパンに出てくる妖精のティンカーベルだ。
確かこんな感じの服じゃなかったかな。
自分の中で納得した。
可愛かった。
何もかも。小さくてちょこちょこ動く姿は飛び回る妖精みたいだと思ったんだ。
「ようせいさん…それは 似合ってるって事でしょうか」
「似合ってる!似合ってるよ!?可愛くてその
あんま見れねぇの…悪い慣れるから待って…」
かぁー…真っ赤になって声を絞り出した。
今まで我慢してきた悶えるモノが、爆発して表面に出てきたらしい。
うぅ、可愛すぎて死にそう、でも時間は有限ではないからさっさと慣れて楽しまないと。
チラリとるなさんを覗けば
「シヴァさんそれ、はんそくです…」
両手で口を押さえながら、真っ赤になって上目遣いでこちらを見ていた。
お互い照れに照れあって、遠目から見ていた某二人組からは
「あそこで30分くらいアンタら照れあってたの、気づいてた?」
と、小言を言われた。
コメント
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私もノックアウトされました…_(´ཀ`」 ∠)_
サマランにいない?いないなら書けばいいじゃない! と、申しておりまして。