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Mrs.短編集

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Mrs.短編集

8 - お腹

♥

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2025年06月17日

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めちゃ長いです。すいません……



side.もとぅ


最近、涼ちゃんがおかしい。夜のお誘いに乗ってくれない。もともとお互いそんなに時間があるわけでもないから、正直寂しい。ここ2か月ぐらいは断られ続けてる気がする。そろそろどうにかしないと。


あと、いつも1人でさっさと帰ってしまう。

冷めちゃったかな、とかなんか嫌だったのかな、とか考えちゃうから、とりあえず若井に相談することにした。

若井も最近寂しそうに涼ちゃんの方を見てるしね。


大森「若井ぃ…」

若井「どうしたんかな…普段の態度的に、冷めた、とかではないと思うんだけど…」

名前を呼ぶだけで分かってくれるの、さすが。


大森「うん…もう一回聞いてみない?」

若井「そうしよっか。今日夜みんな空いてるしね」


大森「ねえ、涼ちゃん…?今夜、」

藤澤「あ、ごめんっ!き、今日はキーボード練習しなきゃで!あと、んーと、そう!んとね、」

若井「なんか嫌なことあった…?」

藤澤「え?全然ないよ!あ、ごめん、もう帰るね!」


そう言うと涼ちゃんは小走りにスタジオを出て行った。

嫌なことはない、といった目は本当だったから、冷めたわけではなさそう。

でも、やっぱりなんか隠してるな…。涼ちゃんは嘘をつくのが下手すぎるから。


若井の車に乗って帰りながら、涼ちゃんのことを話す。

大森「若井…俺、」

若井「うん…決めた。今度、2人で追跡しよう」

大森「ん~…いいのかな…なんか怖いし、」

若井「大丈夫。俺、涼ちゃんが隠してることってそんな大したことないと思う」


若井ののんびりした口調に、思わずカッとなる。

心配じゃねえのかよ。離れていっちゃうって。

大森「なんでそんなことが言えんの⁈違う人と、いるかもしんないじゃん!」

若井「涼ちゃんは、本気で何かを隠すとき、入念に計画を練るタイプだと思うんだよね。今回のあのテキトーさだと、大したことないのかなって」

大森「んん…そうだといいけど…」

若井「涼ちゃんのこと、信じたいし。まあ追跡はするけど」

大森「いやするんかい。俺も行っていい?」

若井「もともとそのつもり」



藤澤「お疲れさまでした~!」

大森「涼ちゃんお疲れ~!……若井」

若井「ん。行くぞ」

数日後、涼ちゃん追跡作戦が決行された。

涼ちゃんのだいぶ後ろから、2人でとことこ付いて行く。


しばらく歩いて、たどり着いた先は……

大森「え”?」

若井「ジム…?」

ゴリゴリのマッチョさんたちが入っていくジム。いやいや、うちの涼ちゃんが、んなわけ…

大森「入ってったあ…」

若井「これは問いただそう。」

大森「だな」




大森「と、いうわけで、なんでジムにいたの?」

藤澤「んぐっ…あんまり言いたくない…」

若井「だめ。隠してたの、悲しかったんだよ…?」

若井が手をぎゅっと握って涼ちゃんにすがる。こうすると涼ちゃんは嘘がつけない。ナイス、若井。


藤澤「怒らない、笑わない、で聞いてくれる?」

大森「もちろん」

藤澤「2人はさ、かっこよくてスリムじゃん。ほら、そういうことするときも、かっこよくてさ」

藤澤「僕、もうおじさんだし。2人に体見せるの、恥ずかしくて。お腹だってポッコリしてるし、完全に中年太りじゃん」

大森「そんなこと、思ったことないけど…」

藤澤「1人だけ年取ってるし、こんな体だし……冷められたく、ない」


悔しそうに悲しそうに言う姿に、だいぶ悩んでたんだろうな、と思う。

三日坊主の涼ちゃんが一生懸命筋トレしてたのは、俺たちのためってことで。なにそれ、最高すぎ。


大森「頑張ってくれたの?ありがとう。でも、どんな涼ちゃんでも大好き」

若井「俺も大好き。冷めるとか悲しいこと言わないで。」

大森「実はかわいいお腹、好きだったり…」

藤澤「はぇ…ん、でも筋トレはまっちゃったから続けようかな」

若井「いいじゃん。今度一緒に行こーよ」

大森「いいね。まあその前に、今の体、確かめなきゃね?」


若井と目を合わせて、にやっと笑う。いい運動になるしねえ…

藤澤「ひ、ひょえぇぇぇ…」

そのままベッドにもつれ込んで、甘い夜に溶けていった。



作者が最近太ったって話。涼ちゃん、仲間だねe((すいません

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