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「悪いけど、そのことあまり外では言わないでおくれよ、フレアちゃん。僕の仕事は案内人アライバルだからね。冒険者を差し置いて僕がダンジョンを攻略してしまったなんて広まってしまうと、商売上がったりなんだから」


「わかってます、わかってますって。このことは、私たちの心の中だけにしまっておきますね♪」


本当にわかっているのかなと冷や汗を流しながら、ザンダーは話題を変えるため別の話を振った。


「そういえば怪我をしていた彼女あのこは大丈夫かい?」


「ハイ! ロディアさんは、もう数日もすれば完全に回復して復帰できそうだと聞いています。それもこれも、高名な回復役ヒーラーさんを紹介していただいたザンダーさんのおかげです。ありがとうございました!」


「そっか、それはよかった。安心したよ」


「ロディアさんが担当するはずだった魔道具機能の補填のこともそうですし、ザンダーさんには本当にお世話になってばかりで。犬男にもちゃんとお礼をするように言っておきます。ごめんなさい」


「ハ、ハハ……、ホントしっかりしてるよね、フレアちゃんは……」


イチルの無礼っぷりにプンスカ腹を立てたフレアは、事務所でお茶でもどうですかと提案した。しかしザンダーは、まだ少しやることがあるのでと丁寧に断った。


「そういえば、今日はどのようなご用件で?」


「以前ギルドに依頼していた、ダンジョンで採取したぬしの成分について結果が出たので、イチルさんにも報告を、と思ってね」


「前に言っていたの話ですね。それで結果はどうだったんですか?」


「うん、……少々驚いた結果が出たものでね」


「驚いた結果、ですか?」


頷いたザンダーは、ギルドから受け取った検証結果をフレアに手渡した。

どれどれと年寄りくさく紙を捲ったフレアは、記された文言を、難しい字に苦戦しながらどうにか読み上げた。そしてある一ヶ所で手を止め、「え?」と固唾を呑んだ。


「驚きだろう? まさかが検出されるとは思いもしなかったよ。ここのところずっと静かだったけど、また少しずつ魔素が強くなっているのかもね」


「……、ですか」


「うん、前の魔王が倒されて以来、ここ百年近く話を聞かなかったからね。そろそろ復活してもおかしくはないと思うけど」


「ザンダーさんは魔王のことを知っているんですか?」


「うん、それなりに長く生きているからね。僕が知っているのは先代の魔王だけだけれど、強かったみたいだよ。詳しくは知らないけどさ」


「それなり、ですか……?」


「正直なところ、エターナル攻略の難易度に比べれば、魔王の討伐なんて下の下なんて言う人もいるくらいだから。優秀な冒険者たちが勇者さえ担いでしまえば済むだけの話だからって、それほど重要だと考えている人は少ないのかもね。それよりもむしろ……」


「それより?」


「魔素が強くなったせいで、ダンジョンの数自体が増える方が問題さ。なにせ魔王の復活は、新たなる高難易度ダンジョンの誕生と直結しているからね」


確かにと頷いたフレアは、ひとしきり読み終わった資料をザンダーに返却した。


「しかし最近じゃあ、エターナルに代わる不沈艦《ハイレベルダンジョン》の対象として、新たなダンジョンの誕生を待ちわびてる者たちもいるなんて聞くからさ。逆を言えば、魔王の誕生を歓迎する輩も多いのかもしれない。力を持たない世間一般の意見とは、完全に矛盾しているけどね」


「そうなんですか……、なんだか凄いですね、冒険者さんの世界も」


「ま、フレアちゃんも心のどこかに留めておいてよ。これからダンジョンに潜ることがあれば、勝手知ったる場所でも何かしら変化が起こるかもしれないから、警戒するに越したことはないってね」


「ですね、わざわざご忠告いただき感謝です!」


敬礼ポーズで返事したフレアにフフフと微笑んだザンダーは、じゃあ僕はこれでと帰っていった。嬉しそうに手を振り見送ったフレアは、ひとりスキップ混じりで事務所へと戻った。


フレアが事務所へ戻ると、扉の外ではムザイが待ち構えていた。どこかソワソワした様子のムザイは、フレアが事務所に入るなり中について入って、すぐに扉を閉めてしまった。


「どうかしましたか、ムザイさん?」


「いや……、別になにも……」


不思議そうな顔をしてフレアが首を捻った。何を言うでもないムザイをそのままに、雑務が大量に残る自席に腰掛けたフレアは、用もないのに居座っているムザイに聞き直した。


「ムザイさん、まだ何か用事でも?」

異世界最速のダンジョン案内人 職場を解体されたので自分で無理ゲー迷宮を拵えることにしました

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