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夜明け前の海は、静かに光を孕んでいた。長き闇を抜けた空には淡い橙色が滲み、波間に反射する。
その海岸線に、灯台たちの姿が次々と戻ってきていた。
観音埼が駆けるように立ち、両手を大きく振る。
「やった! みんな戻ってきたんだ!」
その声に応えるように、部埼も、神子元島も、角島も、特牛も、烏帽子島も――失われていた仲間たちが次々と姿を現す。
「……本当に、帰ってきたんだな」
部埼は胸ポケットから懐中時計を取り出し、静かに刻む針を見つめた。
かつて止まっていた時間が、再び進み始めるような気がしていた。
特牛は小さな体でぐっと胸を張り、角島の隣で笑う。
「僕、ちゃんと守れたよね! 少しは役に立てた、よね?」
角島は苦笑しながらも、優しくその頭を撫でる。
「立派だったぞ、特牛。胸を張りなさい。」
剱埼と犬吠埼はといえば――再会の直後からまた言い争いを始めていた。
「お前は最後まで突っ走りすぎだ!」
「はあ? お前こそ冷静ぶって何もできてなかったじゃねえか!」
だが、そのやり取りを見て観音埼が笑い出すと、二人も渋々笑みをこぼす。
喧嘩も、もう日常の一部だ。
そして――闇を生んだ黒幕は、薄れゆく逆光の中に立っていた。
その顔には苦しみと悔恨が残っていたが、どこか安堵も見えた。
「……灯台も、人間も。お前たちに照らされる資格があるのなら……俺は……」
彼の姿は、やがて朝の光に溶けていった。
赦されたのか、眠りについたのかは誰にもわからない。
ただ、闇はもうそこにはなかった。
やがて東の空から日が昇る。
赤々とした太陽の光が、海と灯台たちを照らし出した。
観音埼が、仲間たちに向かって笑顔で言った。
「僕らはまた灯し続ける。何度でも、どんな闇にだって。」
その言葉に、皆が頷いた。
灯りは絶えない。
そして未来へ――彼らは再び歩き出すのだった。