ぱちりと目を開けると洗面器の前で倒れていた。あちこち体が痛むのを感じながら起き上がる。目の前の鏡を見ると、片目があの神様と同じ黄色い瞳に黒い星の瞳孔の目になっている。
「ずうっとみてるからね?」
口が勝手に動いて音を発する。
「っひ…!いやっ…!!」
恐怖で足の力が抜けぺたんと床に落ちる。
次の瞬間には瞳は元通りの赤い色になっていた。
「なんなの………」
__たすけて、おねえちゃん……
――
迅side
ランク戦をやりに廊下を歩いていた時、ちょうど曲がり角で人とぶつかった。やばい、これは見えてなかったと思いながら相手の顔を見ると驚いた。目の前には死んだ初恋の子の妹だった。ボーダーに入ってきていたのは噂で聞いていたけど、直接見たのは今日初めてだ。
「っ!!……ゆっ、…じんさん。」
彼女はびっくりした顔をしながらおれの名前を呼ぶ。……あのことがありながら、前みたいに呼んで欲しいなんて都合のいいことは言えないけど、少しショックを受けた。
「………美彩」
おれが名前を呼ぶと彼女は一瞬苦しそうに眉間に皺を寄せたけれど、次の瞬間には気まずそうな顔をしていた。
…おれは次会った時に謝ろうと思っていた。
初恋の子 愛彩の葬式時に彼女の妹に酷いことを言って傷つけてしまった。心の支えだった愛彩が亡くなって普通の精神状態じゃないおれは、美彩におまえじゃなくて愛彩に生きていて欲しかったといってしまっていた。…おれが愛彩の未来を見えていれば、愛彩は死ななかったのに。そんなおれの責任を彼女一人に押し付けてしまった、彼女のせいにしてしまった。
だからおれは彼女に罵倒されようと甘んじて受け入れて、せめてもの謝罪をしようと思っていた。口を開いて謝罪をする……
「……ごめ「すみません迅さん。あの時のことはお互い水に流しましょう」
……はずが何故か謝られて、水に流そうと言ってくる。……ほんとになんで?
それでも彼女が言うならと了解すれば、ほっと息をついてお礼を言われた。意味がわからない……
そのまま、どこに行くのかと問われたのでランク戦をしにと答える。逆に聞き返してみると、当ててみてと言われる。おれのSEの存在をほのめかしながら。そう言われて、目の前にいる彼女の未来を見ようとするが、ノイズがかかっていてうっすらと何かが写っているのがわかるけれど、とても見れたものじゃない。
「…………美彩の未来がノイズがかかったようになってて見えない。」
__最後に会った時は見えてたのに。
そう呟くと美彩は驚いたように一瞬目を見開いたあと、こちらの様子を伺っているような仕草をする。
「……愛彩もそうだった。出会った時から未来がノイズがかっていて見えなかった… ………おれが見えてたら、愛彩は___」
あの時の後悔を口に出すと、途端に彼女の纏う雰囲気が変わった。
「愛彩が死ぬのは必然だ。」
そう不敵な笑みを浮かべ、自身が何より大切にしていた姉の死を必然だと言うのだ。彼女がそんな性格ではないことはとっくの昔に知っているし、さっきとは様子の違う目の前の少女が本当におれが知っている美彩なのかどうか疑問に思って、彼女の顔を見る。すると、こちらを見ているのはいつもの鮮やかな赤い瞳とは違い、愛彩と同じ黄色い瞳だけどひとつ違うのが、黒い星が浮かんでいること。美彩とは思えない、目の前の相手から出ている圧に気が引ける。
「……っは?」
咄嗟に出た戸惑いの言葉に意識が引っ張られたのか、先程までの雰囲気が無くなった。
「……あれ、私、いまなんて……?」
口に手を当て驚愕している彼女にいつもの様子が感じられて少しほっとしつつ、ちゃんと美彩の意識があるのか確認をとる。
「う、うん。どうしたんですか?」
少し困惑してるみたいだけど雰囲気も目もいつも通りになって安定しているから、ひとまず安心する。
「一瞬__……いや、やめとこう。ごめんね、俺どうかしてたみたい」
どうしたのか聞いてきた返事をする。さっきの様子を伝えようとしたけれど、今の精神状態じゃ余計混乱を産んでしまうと踏みとどまって、とりあえず誤魔化しておく。
顔色が悪いと指摘して休むように言うと、彼女はおれにお礼を伝えて足早にこの場を離れていった。
……それにしても、あれはなんだったんだろう。最後に会った時よりも口数と笑顔も増えて、顔もほぼ同じだからどこか愛彩と重なる瞬間がある。彼女が死んでからあの子に何があったのだろうか… おれが今触れるべき内容じゃないことも分かっているし、どの面下げて自ら突っ込んでいけるのか理解している。
ひとまず今は時間が解決してくれるのを祈りつつ、時折彼女の様子を見ることにしよう。
――
�����side
_君は好きなようにやればいいよ!
__だってもうこの世界は��なんだから。
___君たちが存在している時点で、��通りじゃないからさ!
……僕はせいぜいこの物語を楽しませてもらうとするよ。
それじゃぁ…また逢う日まで、神の器!
――
……すみません、ここで力尽きました。何年も前の作品を引っ張り出してきて、この続きの展開も覚えてないので、この先は多分出ないと思います。すみません…
ここまでご覧いただきありがとうございました!
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