「遅い」
sm「先いっててもよかったのに」
19時集合だったけれど、彼は19時半に姿を現した。
いつも通りの彼だからこそ少し緊張がとけ安心感があった。
「じゃあいこ」
俺が一言そう言うと、彼は隣に並び歩き出した。
他愛もない話をしながらお店に向かい、到着し案内してもらった部屋は個室だった
sm「個室で予約したの?」
「いや?なんもしてない」
ここは他の奴らともよく来る店だけれど、いつも個室に案内されることは無かった。
きっと、彼も普段は個室なんかに案内されないのだろう。
何故かよく分からないけれど、話を聞く分には個室の方がいい。
彼と注文表を見ながら色々決めしばらく彼はお酒を、俺はジュースを飲み普段通りすごしていた。
「ちょ、今日飲みすぎじゃね?」
sm「いいんだよ」
彼はいつも “ ここまで ” と自分でセーブして飲んでいるはずだけれど、今日は何も気にせず好きなだけ飲んでいるように見えた。
彼は酔うと少しテンションがあがりツボが浅くなるタイプだが、今回はそれを通り越して少し静かになってしまった。
「水頼む?」
sm「ん、大丈夫。」
シラフの時よりも少し静かな彼に話しかける一つ一つの言葉でさえ緊張する。
けれど、あのことを聞くために今日は誘ったんだ。
心にそう言い聞かせ、早速本題へと移った。
「…スマイル最近さ、俺んとこめっちゃくるよね」
sm「…そう?」
「たまたまじゃない」
「今まで俺と2人でってあんまなかったくない?」
sm「…まあたしかに…」
「最近めっちゃ誘ってくれるからなんでかなって気になって」
sm「…さあ…なんでだろうね…」
そういう彼は酔っているせいか…
はたまた俺の考えている想像のものでか…
目を逸らし、頬や耳を赤色へと染めていた。
もしかして彼は俺のことが好きなんじゃないか?と自意識過剰なことを考えてしまうくらいには。
「もしかしてさー、俺のこと好き?」
なんて冗談で言うと、彼は本気のような態度で返事をした。
sm「…まあ」
「…それはどういう意味の?」
彼の恋愛対象が男だということは知っていた。
結構前に聞いたことがあり、他の奴らも知っている。
…もしかしたら俺にも可能性があるかもとは一時期考えていた。
まあ、彼が振り向いてくれることはなかったからアタックするのを辞めたんだけど。
…そういえば、彼が俺に対して色々誘うようになってくれたのは俺がアタックをやめたあたりからな気がする。
そう考えれば、あとはもう自分の都合のいいように解釈してしまう。
…本当に彼は俺のことが好きなのでは…と。
彼は俺が先程聞いた返事には返答してはくれず、ずっと黙ったまま。
「…俺ね、スマイルのことすきなんだ」
sm「…まじ…?」
「…まじ。」
彼はワンテンポ遅れて、驚いたように声をあげた。
そして、少し恥ずかしそうに小さく呟いた。
sm「…俺もだから」
「…ちゃんと言ってほしーなー…?」
彼がいつも以上に可愛らしく見え、少し意地悪をしたくなった。
少し煽れば、彼は何かいたげなのをぐっと我慢したように勢いのまま声を出した。
sm「〜っ、!」
「だから、俺もきんときのことすきだよ…」
「…おー…」
sm「…おーってなんだよ…」
絶対彼と両思いになることは無理だと諦めてから1ヶ月。
いつの間にか彼は俺の事を好きになっていてくれたみたいで、顔を真っ赤に染めあげながら告白をしてくれた。
「…明日、酔ってたからなしにしてとか無理だから」
sm「そんなことしないし」
「どーだか」
俺がそういうと、目の前に座っていた彼はゆっくりと立ち上がり隣へくる。
sm「…俺はきんときがすきだよ」
「……あり…がと…」
先程まで照れていた人と同一人物かと言いたくなるほど、こちらをじっと見つめながらハッキリとそう口にする彼を目の前に照れないはずもなく顔が徐々に徐々に赤くなっていくのが自分でわかる。
少し下に目線を下げれば、すぐさま彼の手が俺の顎へきて一瞬にして顔が近づく。
何が起こったのか分からず、少しぼーっとしていると彼は吹き出したように笑った
sm「…ふは笑」
「なんて顔してんだよ」
「いっ、やだって…。」
sm「俺と付き合って」
「…捨てんなよ」
sm「当たり前だろ」
彼の酔いが覚めたのかは分からないけれど、先程までとは比べ物にならないくらい普段の態度と近しい彼にそう言われ心が嬉しさで膨れ上がっていた時、もう一度口と口が触れ合った。
最後まで見て下さりありがとうございました🙇🏻♀️
コメント
2件
うおおおおおおおおおおおおおお大好きです!!!!!!!!!!!!!