shk.sm
左右なし
口調迷子
ハピエンではないです
※ご本人様方とは何の関係もありません
「絶対忘れんなよ」
sm「忘れないよ」
「じゃあ—…」
それが彼と最後の会話。
そして今日、久しぶりに彼と会う日。
小学六年生の頃の約束。
5年前のあの日からずっと忘れなかった彼との約束。
「高校二年生の今日。この場所で待ち合わせ。時間もこの時間」
sm「なんで高一じゃなくて高二?」
「なんでも」
別に5年後の意味なんかない。
高校生になってすぐでもいい。
それでも高校2年生にした理由は1番安定してると思ったから。
高校1年生は慣れない環境での1年。
人や場所がガラッと変わって大変な中、彼と出会うとより一層落ち着かない1年になると思った。
高校3年生は受験生。
久しぶりの再会で息抜きもいいけれど、正直…
受験でストレスの中久しぶりに会っても強く当たってしまうかもしれない。それは嫌だ。
そうなると、一番いいのが2年生だと思った。
彼は「高校はこっち戻ってくるし同じかもな」と言っていたから、同じ高校なら1年生の時に会うかもねと話していた。
でも彼は頭がいい。
この高校の偏差値は平均より少し上くらい。
彼ならもう少し上を狙える。
だからあまり期待はしていなかったけれど、入学式の日に彼の名前を見つけられなかった時は少し複雑ではあった。
期待はしていなかったけれど「戻ってくる」そういったのは彼だったから…
でもそんなことはどうでもいい。
今日は彼と5年ぶりの再会となる日。
…早く寝て夜中に眠たくならないようにしなきゃ。
午前二時半。
家中が真っ暗で静かな中、1人着替えて玄関の前に立っている
久しぶりに彼と再会できるというので緊張しているのか心臓がどくどくと音を鳴らしている。
「…すー…はぁー…」
大きな深呼吸をして落ち着かせる。
親を起こさないようゆっくりと扉を開け外へ出る。
夜中の外はすごく寒く、息が白くなっていた。
…5年前も同じだったな。
昔のことを少し思い出しながら約束の場所へとゆっくりゆっくり足を進める。
歩いて約30分。集合場所へと着いた。
まだ彼の姿は見えない。
この遠い場所が集合場所になっているのにはある理由がある。
…5年前、俺がこの広場で泣いていたから。
突然彼に引っ越すと言われすぐに思考が追いつかず彼から逃げた。
走って走って走って…
辿り着いた場所がここ。
夕方、小学生や中学生…高校生までもが遊んでいるこの広場。
サッカーコートやバスケットコート。
様々な遊びができる場所。
けれど、夜になるとここは誰も居ない。
そして周りは街灯も少なく薄暗い。
星空の光だけしかない。自然の場所。
お泊まり会していた彼と夜更かしをしていたため、2時半頃に家を飛び出しここへ来た。
端っこの方で泣きじゃくっていると、急に肩をトンと叩かれた。
…それが彼。
息を切らしながら嬉しそうに…困ったように「見つけた。」そう言ってくれる彼を見て「行かないで」なんて言えなかった。
彼はこれからのことについて考えてきっとその選択をした。
わざわざ俺を探しに来て「やっぱり中学は同じところに行く」なんて言う彼を引き止められるわけもなかった。
「…頑張ってね」
sm「…ありがとう」
ゆっくり思い出に浸っているとアラームがなった
アラームを止めて辺りを見回すが、彼の姿は見えない。
…何故考えなかったんだろう。
彼が約束を忘れているかもしれないと…
このアラームも彼と約束した1つ。
1時間たっても来なければ忘れたとしてお互い家に帰ると…
夜遅い時間のため、補導される可能性があるからそれを回避するための約束。
スマホで時間を確認すると今は4時。
この場所に来てからちょうど1時間たっている。
帰らなければいけない。彼は約束を忘れているんだから。
…わかってる。分かってるのに足が地面に張り付いて動かない。
頭の中では必死に動かしているはずなのに実際の足はピクリとも動かない。
涙だけが流れ落ちている。
泣きやめ泣きやめ。
そう何度も何度も心の中で叫び声に出す。
けれどその涙は止まることを知らない。
「…ぅっ…うぅ…」
誰もいない、静かな夜の広場に俺の小さな泣き声だけが響いていた。
「じゃあまた五年後。」
「言いたいことあるから聞いてね」
sm「…?今じゃダメなの?」
「今はダメ」
sm「…分かった。じゃあ五年後楽しみにしてるね」
…好きだったよスマイル。大好きだった。
前に似たような作品書いた気がしますがこういうお話大好きなのですみません…( ᐪ ᐪ )💧
最後まで見て下さりありがとうございました🙇🏻♀️