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一部自殺表現あり。
足切断します!!
苦手な方ブラウザバック。
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「俺が残るから……三人で先に行ってて」みことの声は、驚くほど静かだった。
「みこちゃん……?」
すちが呼び止めるより先に、
みことは武器が並ぶ隣の部屋へ
足を踏み入れる。
ガシャン、と扉が閉まる。
「ちょ、みこちゃん!
開けてもらわないと困るんだよ!!」
返事はない。
中で、金属が落ちる音がする。
何かを決意した音。
みことはナイフで自分の首を
切ろうしていた。
いるまは、その様子を見て――
ほんの一瞬だけ、肩の力を抜いた。
なつを守れる。
なつが傷つかなくて済む。
その安心が、顔に出ていた。
すちがなつの前に出て一言言う。
「……ねぇ、ひまちゃん」
「……なんですか」
「一人に背負わせすぎだと思うんだよね」
なつが目を揺らす。
「おい、これ以上なつに近づくな」
いるまが急いですちの前にたちなつを
守る体制を取る。
「……いるまちゃんも、そう思わないの?」
「別にあいつが勝手に決めたんだろ?
ラッキーくらいだろ」
その言葉に、すちは目を細める。
「……全然わかってないみたいだね」
「は?」
その瞬間――
エレベーター内で、重い作動音が鳴る。
床が一部せり上がり、警告ランプが
再点灯する。
その瞬間、なつの悲鳴が響く。
「あぁぁぁ……っ、ぅはぁはぁはぁッッッ
……え……?」
バランスを崩して倒れ込む。
すちに片足を切られていた。
いるまが慌てて抱きとめる。
「ッ!!……なつ!!おい……!…すちッ!
…いや今は」
いるまは焦った声でなつに言う。
「大丈夫だ、今なんとかするから……!」
赤い警告表示が点滅する。
“重量調整:未完了”
すちは、
その表示を見て小さく息を吐いた。
「……いるまちゃんにできる?」
「できるかできないかじゃないだろ!?
なつが……!」
焦りで声が震えている。
すちはゆっくり近づく。
「……俺がやるから」
なつの視線が、ぼやけたまま揺れる。
「急に切っちゃってごめんね。
怖かったよね」
声だけは、やけに優しい。
「大丈夫だから」
その優しさが、
本当に救いなのかどうかは、
誰にも分からなかった。
ーーー
「ん、…っ…、はぁ…はぁ…ッ」
なつは泣いていた。
声を押し殺そうとしているのに、
震えが止まらない。
すちは無言で“毛腐処理”を続ける。
手元は安定している。迷いがない。
「……いるまちゃんも、自分の足切る
覚悟しといてね」
淡々とした声。
いるまは歯を食いしばる。
「……分かってるッ」
「自分で無理なら、
俺がやるから大丈夫、安心して」
「……すち、てめぇ——殺すぞ」
その言葉と同時に、
刃先がすちに向けられる。
空気が凍る。
それでも、すちは視線を逸らさない。
「やってみなよ」
声は低いが、挑発ではない。
ただ事実を告げる口調。
「でもさ。ひまちゃん守りたいなら、
今それやるのは賢くないと思うけど」
いるまの呼吸が荒くなる。
「ひまちゃんまだ血でてるし安定してない。俺が止めてるんだよ?」
視線だけで、なつを示す。
「ひまちゃんに何かあったら、
どうするの?」
いるまの手が、わずかに震える。
「……」
「たった三回しか参加してない
プレイヤーが、生き残れる確率って
どれくらいだと思う?」
静かに続ける。
「しかも、
ひまちゃんはもう万全じゃない」
その言葉に、いるまの表情が歪む。
「……本気で殺すぞ…てめぇ…ッ!」
低い声。
「うん」
すちは頷く。
「その本気を、今使う?」
沈黙。
警告音だけが、まだ小さく鳴っている。
なつのすすり泣きが、その間を埋める。
いるまの刃先は、
ゆっくりと下がった。
守りたい相手がいる限り、
今は振れない。
それを、すちは分かっていた。
ーーー