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ぼくは、そんな二人のことを気にせずに、この事件の真相のことを考えていた。
だって、三部木さんたちが気になるんだ。
死んでいる人たちが、動きだすととても恐ろしい。
なんでって、何をするかまったくわからないんだ。
広い道路へとでた。
通行人がボロボロになったぼくたちを、車窓から珍しそうに覗き込んでいるような錯覚を感じた。
黒い人たち。
きっと、幾人かは不死な人もいるはずなのだ。
「おうちに帰ったら、まずはみんなに話しなさいね。こんなことだもの無理にとはいわないわ。きっと、君のお父さんもお母さんも寝ていたから、何が起きているのかはわからないはずなんだから」
看護婦長が聞こえやすい軽い声を発している。
ぼくは思考を中断して、聞いてみた。
そういえば、ぼくは今まで一人だった。
けれど、死人だけれど羽良野先生やこの人たちがいるんだ。
「ぼくも死んでいるの?」
村からだいぶ離れてきた。
ただ、闇雲に考えていると、小さな疑問が口からでて来た。
「……そう。多分、子供たちの血を飲んだからだ。羽良野先生と同じく……」
村田先生のテープレコーダーは悲しく鳴った。
「やっぱり……。羽良野先生も何かを飲み込んでいたし、子供だったんだね……あれは……」
ぼくも村田先生も体が死んでいた。
傷ついて、裂けて、破損して……。
目の前の駅を通り過ぎた。
よく見ると、利六町の駅だった。
見慣れた景色にホッとしてきた。
利六町も御三増町も死者の街なのかな?
境界線? なんて適当に引っ張ればいいんだ。
でも、疑問が一つあって、死んでいる人か生きている人かまるっきりわからない。
ぼくの家のおじいちゃんや幸助おじさんや、亜由美。父さんに母さんは死人ではない気がする。けれど、この街には死者が溢れているのも事実だ。
そういば、三部木さんや四部木さんたちの家は知らない。
母さんに聞けばわかるはずだけど……。
車窓越しからことり幼稚園が見えてきた。子供たちははしゃいでは、元気に走り回っていた。