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石造りの屋敷。午後の光が長く差し込んで、床に細い帯を作ってる。
🦍はいつも通り、形式通りの言葉で訪問を告げる。
🦍 本日も、祈りを捧げに参りました
使用人が頭を下げて、奥へ通す。
いつも使わせてもらっている、礼拝用の小さな部屋。
🦍は膝をつき、手を組む。
何度も繰り返してきた、正確で、揺らがないはずの祈りの言葉。
…なのに。
一行、飛ぶ。
頭の中に、別の「名前」が浮かぶ。
🦍 (…違う)
言い直す。もう一度最初から。
でもまた、同じところで引っかかる。
まるで、祈りの途中に誰かが割り込んでくるみたいに。
扉の外で、かすかな足音。
その気配だけで、胸の奥がざわつく。
祈りの続きより先に、「気配の正体」を確かめたくなる。
🦍 (…いけない)
目を閉じる。
強く、強く。
🦍 …導きたまえ
その一言が、祈りなのか、願いなのか、自分でも分からない。
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