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コメント
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わぁぁぁぁぁ!!!(感情爆発) ふわねこのノベル司類初めて見たけど、色で表現するところとかめちゃくちゃエモいな〜〜って思った!! 終始雰囲気が好き過ぎるし、面白かったしめちゃくちゃ楽しませてもらいました!!お手紙までありがとう〜🥹
⚠️注意⚠️
・司類
☆全年齢
それでは、いってらっしゃい
色は、何種類も重なって輝くもの。
それは、人生も同じ。
日を重ね、月を重ね、年を重ね、
そして大人になってゆく。
今日は何色なのだろう_____
《桜色》
ここに来る度思い出す、あの日の出来事。
仕草、感情、表情…すべてが鮮やかに蘇ってくる。
君に恋をしたのもこの桜の下で、君に思いを告げたのもこの桜の下。
何ヶ月も前のことを、桜は覚えているのだろうか。
覚えているよ、と言わんばかりに、そよ風が吹いて桜が舞う。
『わあ…すっごく綺麗だね!司くん』
「ああ。綺麗だ」
『…それ僕に向かって言ってる?』
「そうだが?」
『も、もうっ!急にそういう事言うのやめてよっ!』
ぷくーっと頬を膨らませて不満気な顔をしながらも、頬はほんのり赤い。
くすくすと笑いながら、再び桜を見上げる。
『それにしても…懐かしいなぁ』
「む?何がだ?」
『司くんと初めて出会った場所、ここだから』
『ほら、あのベンチ』
桜の木の下に、ぽつんと置かれているごく普通のベンチ。
ふいに、あの時の出来事が脳裏をよぎる。
「…あの日と、何も変わらないな」
大切なものに触れるかのように、そっとベンチを撫でる。
座ってみれば、まさにあの日の光景そのもので。
「確か、類がここに座って落ち込んでいたのを、オレが話しかけたんだよな」
『そうそう!仕事が上手くいってなくてさ…』
ああ、なんて懐かしいのだろう。温かいのだろう。
この他愛もない話が、君と笑うこの時間が、オレは堪らなく好きだ。
「…オレが類に告白をしたのも、ここか」
ぽつりと独り言を呟く。それを類は聞き逃さなかったようで、
『うん…そうだね』
遠い思い出を振り返るような表情で言葉を紡ぐ。
その横顔をじっと眺めていると、ふいにパッと何かを思い出したように此方へ振り向いた。
『あの時の司くんは、キザに決まってたねぇ(笑)』
「お、おいぃ!恥ずかしいからあまり思い出させるな!」
『えー?あの時の司くん、結構かっこよかったけどなぁ』
「恥ずかしいものは恥ずかしいのだ!」
顔を赤くして一気に捲し立てる。
でも、あの日からここまでずっと類と恋人でいられていると思うと、何だか晴がましいような、くすぐったいような気持ちになる。
『あの日から何年?』
「えーっと…もう五年目に入るな」
『そっかぁ…』
『来年も、また二人で桜を見たいね』
「何を言っている。再来年もその先も、ずっと一緒だ」
『…それプロポーズ?』
「い、いや!?ち、違うぞ!?プロポーズならもっとちゃんとやる!!」
否定したつもりで発した言葉が、逆に墓穴を掘ってしまったようだ。
ニヤニヤと笑いながら、類は続ける。
『…楽しみにしてるよ。司くん』
『どんなショーよりも輝かしい君のプロポーズをね』
悪戯っぽく笑う。自分で宣言し、こうも煽られたのであれば、全力で応えてやろうではないか。
しっかりと顔を上げて、類の顔を見る。
宣戦布告するかのように。
「ああ、任せとけ!未来のスターたるオレが、どんなショーよりも輝かしいプロポーズをしてやろう」
ちゅっ
類に口付ける。
本気でやることを、思い知らせる代わりだ。
みるみる類の顔は真っ赤に染まっていく。
『ちょ、司くんっ!いきなりはダメだよっ!!』
「プロポーズはこんなものでは無いぞ、類」
「覚悟しておけ」
『も、もぉ~!』
そう言い合う二人の頭上には、これからの未来を祝福するように、桜色の花びらが舞っていた。
《群青》
どこまでも広がっていく青。この青は、一体どこが端なのか。
空を見上げる度に思う。
僕の可能性は、この空と同じくらいの広さがあるのだろうか。
…なんて、子供じみた考えだと自分を嘲笑う。
「はぁ…」
とぼとぼと歩く一つの影。
その背中は項垂れている。
「なんだか、楽しくないなぁ」
ぶっきらぼうに呟いた言葉は、宙に虚しく散る。
僕の演出は、それはそれは奇抜で派手なもので、キャストを豪快に巻き込むものだった。
最初は個性的で良いと言ってくれても、後から危険だのキャストを道具扱いしすぎだの、散々な言われようだ。
僕の演出は、誰にも求められていないのだと、そう嫌でも痛感させられてしまう。
「(…いっそのこと、演出家なんて辞めた方がいいのかな。自分を捨てて、もっとキャストに寄り添った演出をした方がいいのかな)」
どちらの考えも腑に落ちない。
演出家は、僕にとっての憧れで、夢で、それを手放すのは惜しかった。
自分を捨てるのも、それも嫌だった。自分を受け入れてくれる人がいないなら、せめて自分だけは自分の味方でいないと。
でも、
「…辛いなぁ」
前はもっと楽しかったはずだった。自分の思うままに演出を付けて、それが認められるのがすっごく嬉しくて。
「(やっぱり、僕は一人でショーをするのが向いているんだ。他劇団の演出を付けるなんてもの、迂闊に手を出した僕が悪い)」
納得させようと思っても、やっぱり腑に落ちない。
独りは寂しいのだ。仲間が欲しいのだ。
僕の演出で、その劇団のショーが成功する瞬間を見たいのだ。
「……あの空ぐらい、僕に可能性はあるのだろうか」
空に広がる群青が、僕には酷く憎らしく思えた。
『類!ここの演出は…』
「ああ、これはね____」
[うわあ~っ!すっごくキラキラな演出だね!]
[お客さんも喜んでくれるよ!]
「ふふ、ありがとう。えむ君」
<えむ、ここの演技合わせよ>
[いいよ~!]
太陽が照りつける晴天。
今回のショーは屋外の海辺でやるショーの為、全員外で練習を重ねている。
司くんも、えむ君も、寧々も、皆が真剣に取り組んでいる様子を見ていると、少し嬉しくなる。
「……」
『?類、どうしたんだ?』
「いや、少し嬉しくてね」
「あの日、君が声をかけてくれなかったら、今頃僕は演出家を辞めてたから」
『いやいや、お礼を言うのはオレもだ。オレも類やえむ、寧々とショーをやれてすごく楽しいからな!』
「ふふ、僕もだよ。司くん」
空を見上げる。
今日は雲ひとつない快晴だ。
「…僕達の可能性は、この空と同じくらいあるのかもしれないね」
どこまでも続く群青の空を見上げながら、僕は独り言を呟いた。
《金糸雀色》
いよいよ肌寒くなってきた秋。
今日は休日の為、気晴らしに街を一人でブラブラしている。
「(たまにはこういう散歩もいいものだな!)」
スキップ混じりで上機嫌に街を歩いていく。
時折美味しそうな食べ物の香りが漂い、ショーウィンドウにはお洒落な服が並ぶ。
目を輝かせながら歩いていると、ふと、足が止まった。
「…アクセサリー…」
見つけたのは、洒落た雰囲気のアクセサリーの店。
オレ自身はアクセサリーに特段興味がある訳では無いのだが、恋人である類に何かお土産を買おうと思っていたのだ。
「(アクセサリーなら、手頃だし類も付けてくれるだろう)」
男性にアクセサリーは少しおかしいかもしれないと踏みとどまったが、類なら絶対に似合うはずと押し切り、店内へ歩みを進めた。
「おぉ…」
アクセサリーと一口に言っても、色々な種類があった。
ピアスにブレスレット、髪ゴム、指輪…
一つ一つ凝ったデザインで、選ぶのに迷う程だった。
「うーむ…」
「(髪ゴムは類は髪が長くないから無しだな。ブレスレットもしているのは見たことが無い…指輪は少し重いか…)」
[あの、何かお探しですか?]
うんうん真剣に考えているオレを見かねたのか、店員さんが話しかけてきた。
「え?ああ、少し…恋人にあげるプレゼントを悩んでまして」
[恋人にアクセサリー…!いいですね。何のアクセサリーにするかは決まっていらっしゃいますか?]
「それが…まだ悩んでて」
[そうですか…恋人の方は、普段どんなアクセサリーを付けているとかはありますか?]
「どんな…」
頭をフル回転させて考える。
デートをした時の格好や、普段の格好を思い浮かべる。
「あ…ピアスなら、普段してます」
[ピアスですね!かしこまりました。少々お待ちください]
足早にかけていった店員さんは、一分と経たずに此方へ戻ってきた。
[こちらはいかがでしょうか?]
「おぉ…!」
店員さんが差し出してきたのは、小さめの宝石がキラリと輝くピアスだった。
[こちらはシンプルなデザインですので、どんなファッションにも取り入れやすいかと思いますよ]
[そして、このピアスは宝石の色が豊富でして…お好きな色に変えて頂くことも出来ますよ]
[恋人と色違いにする方も多くいます]
「なるほど…」
半ば興奮気味にアピールする店員さん。余程これがオススメなのだろう。
「では、他の色も見せてくれますか?」
[かしこまりました。少々お待ちください]
再び戻ってきた店員さんが持っている平たい箱の中には、沢山の色のピアスが横たわっていた。
[こちらになります]
「おぉ…」
思っていたよりも沢山の種類があった。
店員さんによると、十色あるらしい。
その中の一つ、金糸雀色に輝くピアスを手に取った。
「(…綺麗だな)」
明るく、少しくすんだ金糸雀色は、類の瞳の色を連想させる。
「じゃあ…こちらの黄色と…オレンジ色をくれますか?」
[かしこまりました!どちらをプレゼント用でお包み致しますか?]
「黄色の方で」
[かしこまりました]
いつも綺麗な金糸雀色の瞳には、さぞかし似合うことだろう。
[こちら、商品です]
[ありがとうございました!]
「ああ。こちらこそ」
綺麗にラッピングされた袋を大事にバックに入れると、類が待つ家へ一直線にかけていく。
類は、喜んでくれるだろうか。
「楽しみだな… 」
高まる気持ちを胸に、少し足早に街を歩いた。
大好きな恋人の顔を思い浮かべながら。
《純白色》
どこかから、陽気なBGMが聞こえてくる。
赤や黄色、オレンジ…色とりどりのオーナメントで飾り付けられたツリーを、純白の雪がふわりと包み込む。
その下で、白い吐息を吐きながら立っている男が一人_____
「(司くん、まだかなぁ)」
今日は12月23日。クリスマスイブの一日前だ。
明日のイブはワンダショのメンバーでのクリスマスパーティーを計画しており、今日はその買い出しに司くんと行くのだ。
勿論、明後日のクリスマスは司くんとのデート。と言っても、今日もデートみたいな感じになっているのだが。
『類ー!!』
「あ!司くん!」
司くんの金髪は、遠目でもかなり目立つのでわかりやすい。
『すまん、 準備に少し時間がかかってしまった』
「いいんだよ。さ、行こうか」
『ああ!』
そう言って一歩歩くと同時に、何かを思い出したように振り返る。
『類、』
当たり前のように、手を差し出す。
「…はい、」
少しだけ頬を赤らめて、司くんの手を握る。
それに応えるように、司くんが握り返した。
『うむ!では行くぞ!』
「ふふ、そうだね」
司くんの手は温かい。どうやら子供体温みたいだ。
「…(好きだなぁ)」
ふと、そう思った。
『よーし!ケーキも買ったことだし、これで買い出しは終わりだな!』
「司くん、どのケーキにするかで十分くらい悩んでたよね」
『すまない。どれも美味しそうだったからな…』
「ふふっ」
『さ、家に帰ろう。寒いだろ』
「そうだね。そうしようか」
荷物を持ちながらも、僕と手を繋ぐことは忘れないらしい。片手に荷物をまとめると、当たり前のように僕に手を差し出す。
ぎゅっ
そして僕も、当たり前のように握り返した。
「司くんの手、あったかいね」
『オレは子供体温のようでな。咲希からもよく言われていたぞ』
「そっかぁ…」
僕は、司くんと手を繋ぐのが好きだ。
彼が隣にいるとわかるから。
…なんて、恥ずかしくて言えないけど。
『さ、帰ろう』
「うん」
色は、何種類も重なって輝くもの。
それは、人生も同じ。
日を重ね、月を重ね、年を重ね、
そして大人になってゆく。
今日は、何色なのだろう。
明日は、何色なのだろう。
僕らの、365日のカラーストーリーは、
まだ続いていく。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
あかまるちゃんへ
誕生日おめでとうっ!!
4月終わりになってしまってごめんね💦
いつも楽しいストーリーと素敵なイラストを投稿してくれるあかまるちゃんに最大限の感謝を伝えるべく、最大限の語彙を使って司類を書きました。楽しんでもらったかな…。
もう出会って1年位になるのか…時が過ぎるのは早いわ。あっという間だったね。
いつも本当にありがとう!特大感謝です!!✨️
今年もよろしくお願いします!!
Fin