テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜の首都高C1。トオルの180SXと並走するユウジのS13シルビアが、軽快なドリフトでコーナーを抜けていく。トオルの車が新サスペンションで安定感を増したとはいえ、ユウジのシルビアは一歩進んだチューニングで、加速とコーナリングのキレが際立つ。走り終えたパーキングエリアで、トオルが「やっぱユウジのシルビア、速いな…俺より全然仕上がってる」と感心すると、ユウジは「まぁな、少しは手入れてるからさ」と照れ笑いを浮かべる。
トオルが「なんでシルビア選んだの?」と何気なく尋ねると、ユウジは少し遠い目をして語り始める。「小さい頃、親父が日産の工場で働いててさ。シルビアのラインを見て『これが俺らの誇りだ』ってよく言ってた。それが頭に残ってて…免許取ったら絶対シルビアって決めてたんだ」。トオルは「へえ、親父さんの影響か」と頷きつつ、「でもそのチューニング、どこでやったの?」と聞くと、ユウジは「自分でやったよ。親父に教わりながら」と少し誇らしげに答える。
場面はユウジの自宅ガレージに移る。そこではユウジの父親、三田修一が作業着姿でシルビアのエンジンを点検している。40代の現役整備士で、日産の工場で長年働いてきたベテランだ。ユウジが「親父、今日ちょっとオイル見てくれよ」と頼むと、修一は「自分でやれ。俺の手は見本じゃねえ」と厳しく返す。幼い頃から修一に工具の使い方や車の構造を叩き込まれたユウジは、父親の指導のもとで少しずつシルビアをチューニングしてきた。ターボの調整や足回りの強化は、修一の厳しい目とユウジの手で仕上げられたものだった。
その夜、トオルとユウジはC1で走る。ユウジのシルビアがコーナーを滑らかに抜ける姿に、トオルは「親父さんの技術が生きてるんだな」と感心。ユウジは「親父には負けたくねえけど、あいつの経験は認めざるを得ねえよ」と笑う。すると後方からカイトの赤いFD3Sが現れ、二人の横を抜き去る。「お前ら、仲良くやってんな!」と挑発するカイトに、ユウジが「次はお前を抜く!」と叫び、トオルも「俺だって負けねえ!」と続く。三者三様の走りが夜の首都高を彩る。
ユウジはガレージでシルビアを磨きながら、「親父の技術を引き継いで理想の走りを俺が作るよ」と呟く。一方、修一は写真の緑の180SXを見つめ、「ケンジ…お前を超える奴が育ってるぜ」と独り言。遠くの首都高の音が、過去と未来を繋ぐ。