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私からのメッセージ

1 - 私からのメッセージ

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2025年11月05日

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朝、僕が机に手を入れるとそこにあったのは”ラブレター”だった。


生まれてこの方18年、何一つ色恋沙汰には関わってこなかったというのに、朝学校へ来たらラブレター。叫ばないほうがおかしいと思う。そんな状況でも呻く程度に抑えられたのは学校という名の戦場――一度噂が飛び交えば元には戻らない――で生きていくために身につけてきた術をフル稼働させたからに違いないと思っている。

そんなこんなで、それが気になりつつも下校時間まで持ちこたえ今は帰り道を一人で歩きながら中身を読んでいるのだが。

(なんだよこれ……!)

内容はこうである。


渡辺氏へ

この手紙を見てくれてありがとう!

確かにこれは君が思った通りの物、つまりラブレターだよ!

ただ私、思ったの。普通に出しても面白くないって!

だから、私の正体がわかったら私にこれを見せてほしいな~

別に興味がないんだったら捨ててもいいよ?

でも、渡辺氏はそんなことしないし、謎解きも好きだもんね~

それじゃあ頑張ってね! たいのみそしる より

PS.確信してないのに他人にホイホイこの手紙見せたらダメだからね!!


渡し方はあんなにベタなのに中身はこうだとは。ちなみに渡辺とは僕の名前だ。

でもこの手紙、謎解きに必要な情報がほぼない。問題が載っているわけではないのだ。強いて言うのなら名前がひらがなということか。『たいのみそしる』ってひらがなで書くか?それとも……


「なーにしてんのっ!」

「うわあっ!!」


僕は手紙を必死で隠す。ただ、そんな僕の命がけの抵抗は彼女には意味がなかったようで。


「いや、もう遅いって。さっきからずーっと覗き見してたから内容はバレバレだよ」

「何やってんだよ……」


彼女の名前は 磯下 未乃留(いそした みのる)。最近なぜか僕に絡んでくるクラスメイト。


「仕方ない、見てたことについては何も言わないから、代わりに解読手伝ってよ」


言いながら僕は小柄な彼女に合わせて手紙の位置を下げる。


「うーん、しょうがない、そうする。でも私はあくまでヒントをあげるだけだからね」

「まあ、そうだね」


こうして謎は二人で解くことになった。


「まず、渡辺くんが怪しいと思うのはどこ?」

「一番は差出人の名前かな。『たいのみそしる』なんて使うか?」

「そうだねー。確かにそこだと思う」

「でもどうやって解くんだ?」


考えながら歩く。


「……アナグラムかも」

「アナグラム?」

「そう、アナグラム。元の文字である本名を入れ替えてこの差出人は『たいのみそしる』にしたんじゃないかな?」

「確かに、そうかもしれない!ありがとう磯下」

「う…うん、それほどでも。……あっ!いけない、用事おもいだしちゃった!じゃまた明日!バイバイ」

「!?……あーバイバイ」


なんか急に態度変わらなかったか?



結局その後一人で考えてみたけど、いい考えは浮かばず夜になってしまった。

(磯下が居ればなあ)

やっぱり口に出して考えると頭がよく回る。

そうやって今日の帰り道のことを思い出していたら、いつのまにか手元に用意しておいた紙には”いそしたみのる”と書いてあった。

(何やってんだよ)

と思いつつ消しゴムを持った瞬間、

(!?)

僕は閃いてしまったようだ。


「これは君が書いたんだろ?」

「え?何言ってんの?」


僕の目の前には磯下が居る。

そして僕の手元には例の手紙。


「冗談はやめてよ」

「冗談じゃない。ちゃんと根拠があるんだ」


彼女は黙る。


「まず一つ目……というかほぼこれが根拠なんだけど、『たいのみそしる』の文字を入れ替えると『いそしたみのる』になるんだ」


昨日僕が無意識のうちに書いていた文字。それが導火線となったのだろう。


「そして二つ目、昨日君は後ろから紙をのぞき見していたと言っていたけど本当?」

「そりゃそうでしょ」

「……本当にそうかな?だって君のその目線じゃ僕の持っていた手紙は見えないはずなんだ」


実際、磯下が来てからは手紙の位置を下げた覚えがあるし。


「そして最後に三つ目。昨日君はアナグラムのことを言ってすぐに消えてしまった。ずっと不思議だったんだ、急に焦りだしたから。でもそれは僕がなるべく『アナグラム』という答えから遠ざからないように、余計なことを言いたくなかったからじゃないか?どう?これで合ってるかな……」


僕は目の前の磯下を見て何も言えなくなった。信じられないほど顔を真っ赤にしていた。


「渡辺くんはそこまでの推理は完璧なのに恥ずかしいとかないのかなぁ……まあ、いいや。そうだよ。その手紙を書いたのは私。」


磯下が目一杯息を吸う。


「ずっと前から好きでした!!付き合ってくださいっ!!!!」



本当に時が止まった。

僕が馬鹿だった。

なぜあそこまで推理しておいて僕が誰かに好かれているという事実に気づいていなかったのか。ほんとに馬鹿。

鼓動がうるさい。

顔が熱い。

こういう時に限っていい事が言えないんだ。

ああ、もう。



「僕も貴方が好きです」


目の前の彼女はいたずらっぽく笑っていた。

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