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僕の慕っている人。僕を助けてくれた人。
ピーターは無我夢中でビルとビルの間に糸を紡ぐ。
未だ涙は止まらず、余計酷くなるばかり。
会いに来たのに声を掛けないまま数分たった。しかしこのままは良くないと考えて少しづつ動き出した。途端、珈琲を淹れに向かおうとしていたスタークさんの足が止まり、こちらを振り返った。
…心臓止まるかと思った。
スタークさんはカップを置き、窓の鍵を開けてくれた。
僕は涙も止まらぬままビショビショの身体でスタークさんに抱きついた。
僕は数十分程抱きついて泣き喚いていたと思う。
そして落ち着いた頃、ぽつりぽつりと話し出した。
スタークさんは頭を撫でながら真剣に聞いてくれた。
話し終わり、また涙が出そうだった僕をスタークさんが優しく抱き締めてくれた。
「デッドプールと別れたばかりの傷心につけ込む様で申し訳ないが、私と付き合ってくれないかな?私はデッドプールが君を好きになる前から君を好きだった…これは唯の自己満足だ。断るのも、受けるのも君自身だよ。」
…いまスタークさんはなんて言ったの?え?
今ドキドキした…ってことは僕もスタークさんの事好きなのかな…でも別れたばっかなのに…僕だって酷いよね…?…でも
「スターク、さん…僕も多分、スタークさんの事そういう意味で好き、なんだと思います…」
スタークさんの抱き締めている腕の力が強くなった。少し苦しい。
「ありがとうピーター。これからも宜しく。私は君の心の準備ができるまで何もしないつもりだよ。だから安心しなさい。何かして欲しい事がある時はなんでも言いたまえ」
あ…して欲しい…こと
「スタークさん、僕今日泊まりたいです…家がデッドプールにバレてるのであそこに居たくない…」
「そうか、服や貴重品はどうする?2人で取りに行くか?」
「…はい、」
2人でどこからどう見ても高級なタワーから出てこれまた高級そうな車に乗り込む。
そして僕のアパートまで一直線に車を進める。
よし!着い、た…?
え、あそこにいるのって
ウェイド?
まって、どうして?
僕は捨てられたのに。
子供を産めない僕なんかの家の前にどうして、おかしい。
僕はこれから何を言われるの?
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
肩を優しく摩られた。
スタークさんの方を見る。
「大丈夫か?あそこに居るのはデッドプールだな?辛ければ私が一人で取りに行こう。」
今の僕にとってはとっても嬉しい提案だ。
でも逃げる訳にはいかない。
「…いいえ、行きましょうスタークさん」
車から降りてウェイドへの距離がどんどん縮まる。7m、4m、3、2、1…
ウェイドがこちらを見て走ってきた。
「スパイディ!」
「あ…あぁ…う、うぇい「デッドプールだな?すまないがもうピーターは私の恋人なのでね。」
「…は?」
ウェイドは口をぱくぱくとして言葉を咀嚼している。
完全に固まったウェイドを通り過ぎてスタークさんと急いで家まで行って、貴重品や着替えをとる。
もう僕の家に居る理由もなくなりスタークさんの家に帰ろうと車に乗った。
その時ウェイドと目が合った。
背筋が凍った。ウェイドは今まで見た事ないくらい怖い顔をしてたんだ…でもどうしてあんなに怖い顔をしたのかわからない。
別れるってドッキリ?をしたのもウェイドだし、きっと男は子供を産めないって思ってるのもウェイドの本心だろう…しかもウェイドはsex friend、言わばセフレだって沢山いるって前に言ってたのに…とにかく怖くてスタークさんに今すぐに車を出してもらって無事帰れたけど、このモヤモヤは一体なんだろう…
失敗した。ドッキリをした後嘘だよって優しく諭してもっと俺に堕とすつもりだったのに。
あのファッキンクソ鉄野郎が。
大丈夫だよな?ピーターはまた俺の所に戻ってくるよな?やっぱりウェイドが良いって…言ってくれるよな?俺のケロイド状の肌も嫌がらずに頬にキスしてくれたよな?
戻って来ないのなら無理やり連れ戻す。
完