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少しでも長く一緒に居たくて、来た時は自宅の最寄り駅に迎えに行ったが、帰りは相模原の瞳の家まで車で送ることにした。
「バイト先のコンビニって家の近くだっけ?」
「そう、お母さんの知り合いがやっていて人が足りないんだって、お小遣いも稼げるし何よりオーナーの奥さんが新商品のお菓子が発売になるとくれるの」
「お菓子、好きなんだ」
「何気に駄菓子とか」
部屋でしたキスがたどたどしく慣れていないことにホッとしたが、お菓子の話となると生き生きとその味を語る唇が可愛いくてハンドル操作をミスりそうになり運転に集中した。
瞳がバイトをしているというコンビニを通過してしばらくすると家が見えてきた。
「ここまで送ってくれてありがとう、上がっていく?って言いたいところだけど」
瞳の言いたいことがわかる。さすがに夜に自宅に上がりこむのはマイナスだろう。
「いや、もっと早い時間に改めて伺うよ」
「うん、気をつけて帰って」
「じゃあ」と言って車を発進させた。
ルームミラーを見ると小さく手を振っている瞳が見えた。
その姿を確認して思わず口角が緩んだが、マオの情報を知るためとはいえ合コンに参加することに苦痛を感じた。
瞳には知られたくない、ましてや鈴木里子に知られたらアウトだ。
昨日、知らない番号からの着信があったが無視をした。留守番設定にしていないため誰かはわからないがマオの事もあり神経質になっている。
マオの番号はブロックしているが誰かから借りた携帯で連絡をしてきた可能性があると思うと出る気になれなかった。
瞳の家から車で帰るのは二度目だ.圏央道を降りて一般道に入った所で昨日の番号から着信が入ったが無視をして車を走らせた。
家に帰るとそのまま自分の部屋へ戻ろうとした時にリビングから声がかかる。
同じ家に住んでいても一緒に食事をとるわけでもなく1週間でも2週間でも顔を合わせることが無いそんな家族。
かといっておふくろの呼びかけに返事をしなければヒステリーを起こすから諦めてリビングのドアを開ける。
「今日、また女を連れ込んだそうね」
フミさんは自分からは言わないはずだからおふくろが何かを察して問い詰めたんだろう。
「隣のヤリ部屋じゃないんで」
その一言で察したのか持っていた雑誌をテーブルに置くと立ち上がった。
「どちらの娘さん?ちゃんとした家柄なんでしょうね?」
ちゃんとした家柄って何だ?うんざりだ。
答える事なく階段を上って行くとおふくろが階下からくだらない言葉を吐き散らしている。
本当にうんざりだ。
親父は相変わらず忙しいらしく土日でも家に帰ってくるのが稀になった。