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地雷さんは回れ右
モブ(茂部)にひどいことされます
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状況は分からないがローレンが助けを求めていることは確かだった。
叶は現場指揮を他の人に任せ、ローレンの救援へと向かうべく足を急がせる。すると曲がり角から出てきた人物とぶつかってしまい、相手を転ばせてしまった。
「! すいません」
「いや、いいけど…って、叶? どうしたんだよ血相変えて」
間の悪いことにぶつかったのは葛葉だ。こんなところを見られるとは。しかし今は葛葉に構っている暇はない。
「なんでもない」
「んなわけないでしょ。ヤバイ人でもきた?」
俺も何か手伝おうか? と葛葉は善意から尋ねてくる。ふと、葛葉ならば自分よりも速く現場に着けるのではないかと思い至る。
「葛葉。おまえ、羽を動かせられるな?」
「動かせれるけど」
どう考えても自分よりも羽のある葛葉のほうが速く現場へ着けることは明らかだった。
葛葉を巻き込むべきか否か。悩んでいる時間すら惜しい。葛葉、と続けようとすれば背後から名を呼ばれた。
「叶さん。…もしかして、連絡が途切れましたか?」
「…! うん、そうだ…」
声をかけてきたのはレオスだ。格好から察するに帰るところだったのが伺える。叶の様子を見てすぐに状況を把握したレオスは横にいた葛葉にちらりと目線を移す。
「葛葉君も聞いたのか?」
「なにを?」
「ああ…そうだな。ローレンの身が危険だ。私を連れて現場まで全速力で向かえるかな」
「レオス!?」
迷うことなく進言するレオスに叶は食ってかかる。しかしレオスは表情一つ変えずに続ける。
「あのローレンが助けを求めている。使えるものは全て使ってでも助けるべきでしょう」
「それは……しかし…」
「なに。ローレンが、どうしたって?」
底冷えするような声に叶もレオスも葛葉へと視線を移す。二人の会話でローレンの危機を察したのだろう。表情こそ変わらないものの、いつもの葛葉とは明らかに違う。ビリビリとした空気を放つ葛葉にレオスはもちろん、叶すら驚きを隠せずにいた。
「……葛葉。レオスと共にこのホテルへ向かって。電波は繋がってないが破壊はされていないはずだ。後でローレンの位置を送信する」
「レオスも一緒に来んの?」
足手纏いだと言わんばかりの目で葛葉はレオスを一瞥する。失礼だぞ。いつもならそう嗜めるが今は緊急事態だ。
どう説得すべきかと悩むよりも早くレオスが葛葉へと進言する。
「私が一緒に行かなければ“取引”が出来ないからね」
レオスは葛葉の様子に怯むことなくいつもの調子で続ける。
「君はローレンだけに集中してくれればいい。ローレンを救出次第、離脱してくれ。私の護衛は後から到着した叶さんで十分だろう」
「…葛葉、ローレンを頼む」
二人の決定に葛葉は一つ溜息を吐く。
「分かった」
そう言ってレオスを軽々と背負い上げ、葛葉は羽を使い夜の空へと駆けて行く。
己の友を信じ、ローレンの発信機の所在地を葛葉に送るよう連絡を入れると、叶は自分もローレンの元へと向かうべく足を急がせるのだった。
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