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地雷さんは回れ右
モブ(茂部)にひどいことされます
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ローレンの位置は把握している。何があったかは移動中にレオスから全て聞いた。湧き上がるような怒りをなんとか抑え、葛葉は夜の空を駆けて行く。
(──あそこか)
高そうなホテルの一室。ローレンの発信機は確かにあの部屋にあるようだ。最も、ローレンが一緒にいるかどうかは定かではないが。
「テラスがある。窓から覗き込んでローレンがいるか見極めよう」
レオスの提案によりテラスに降りた葛葉はすぐに窓から部屋の中を覗き込んだ。そしてその目に映ったのは下半身を露出させられ、男に片足を担ぎ上げられているローレンの姿。
レオスが何かを言うよりも速く手が動き、葛葉は窓だけではなく、文字通り壁ごと叩き切った。凄まじい衝撃と轟音に男は半狂乱になりながら身なりを整える。
「な、なんだお前……っ、レ、レオスくん!? これは一体…」
「それはこちらの台詞ですよ茂部さん。何故ローレンに乱暴を? そんなことを許可した覚えはありませんが」
レオスと男の問答など全く意に介せず、葛葉はローレンの元へと駆けて行く。ぐったりと倒れているローレンは下半身を露出させ、目には涙の跡がくっきりと残っている。何をされたのか、何をされようとしていたのかは一目瞭然だ。
ベッドのシーツを破り、ローレンのことを包めばその刺激にローレンが反応する。
「ん……っ、ぁ…」
聞いたことのないローレンの声に葛葉は吐きそうなほど胸が痛んだ。
この姿を、あいつは見たのか。
「……ちょっと待ってろな、ローレン」
頭を撫でて、優しくローレンを寝かせて葛葉は銃を手にする。一歩一歩、憎悪を込めながら足を進ませ、葛葉の気配に振り向いた男の首元に銃を突きつける。
「ヒィッ!」
「葛葉君!」
銃を突きつけられた男はへなへなと腰を抜かし涙を浮かべる。ふざけるな。お前はローレンを泣かせたくせに、泣いて許されると思っているのか。
あと少し手を動かせばこの男の首は飛ぶ。葛葉は別段気にしていなかった。人が大切にしてきたものを汚そうとしたのだ。殺されても文句は言えないだろう。
「葛葉君、それはいけない」
「……どうして、レオス」
いつになく真面目な表情でレオスは葛葉を見据える。目の前の男は言葉を発することも出来ないほど怯えている。君から発せられる殺気をその身に浴びているからだ。
しかしレオスからは怯えは感じられない。レオスは葛葉に対して恐れを抱いてはいなかった。それどころか、レオスからも静かな怒りが感じ取れる。
「君が手を汚すことじゃない。これは、──大人の仕事だ」
タバコを咥えて、火をつける。レオスのどこまでも落ち着いた声色に葛葉は落ち着きを取り戻し、銃を納める。
「……分かったよ。ローレンは連れて帰るんで、そいつ。許すんじゃねぇよ」
「ああ。任されたよ。…ローレンを頼む」
その言葉に頷き、葛葉はローレンのことを抱え上げる。本部に連れ帰ることも考えたが、こんなに泣き腫らした顔を誰かに見られるのは嫌がるだろう。
少し考えて、君は自分の家にローレンを連れ帰ることにした。服は自分のものを貸せばいいし、葛葉自身、自宅のほうがなにかと融通が効くと思ったからだ。
少しでも早くこの場から離脱したかったため、羽を使って夜の街へと繰り出せばホテルの下では消防車や人だかりが出来ていた。葛葉が部屋を破壊したため、爆破テロかと騒ぎになり通報されたのだが葛葉は気付いておらず、事後処理をしたのは叶とレオス。そして樋口の三人であった。
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