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夢小説です
なんでも大丈夫な方だけ
今回は🏹
ナイトレイブンカレッジの森は、昼でもどこか薄暗い。 弓を構えたルーク・ハントの視線は、獲物を射抜くそれと同じ鋭さを持っている。
「……そこだ、〇〇」
「っ、はい!」
矢は的の中心を外れた。
ほんの僅かなズレ。けれど彼は、すぐにそれを見逃さない。
「悪くない。だが今の君は“心”が乱れている」
淡い金色の瞳が、まっすぐこちらを見据える。
〇〇は思わず視線を逸らした。
――二年生。
男装してナイトレイブンカレッジに入学し、今もなおその秘密は教師陣以外に知られていない。
そして、ルーク・ハントに恋をしている。
彼は「美」を狩る。
姿形だけでなく、精神、感情、存在そのものを。
だからこそ、〇〇はずっと怖かった。
この恋を、見抜かれることが。
「最近、よく考え事をしているね」
ルークは微笑む。
その笑みは優雅で、どこか残酷だった。
「狩人はね、獲物の“揺らぎ”に敏感なんだ」
「……すみません」
「謝る必要はないさ。人は揺らぐものだ。
むしろ、それは美しい」
その言葉に、胸が痛んだ。
――彼は、何処まで気づいているのだろう。
ユウちゃんは、ある日ぽつりと呟いた。
「ルーク先輩ってさ……全部分かってる感じがして、ちょっと怖いよね」
〇〇は、笑って誤魔化すことしか出来なかった。
「……あの人は、そういう人だから」
本当は言いたかった。
怖いのは、見抜かれているかもしれない自分の恋だと。
ある夕暮れ、森で二人きりになった。
風が葉を揺らし、光が斑に差し込む。
「〇〇、君は本当に興味深い」
ルークは弓を下ろし、ゆっくりと近づいてくる。
「姿も、言葉も、立ち居振る舞いも。
だが何より――“隠しているもの”がね」
心臓が、大きく脈打った。
「隠している……もの?」
「ふふ。狩人は、正体を隠す獲物ほど愛おしく感じるものさ」
その視線は、まるで全てを見透かすようだった。
〇〇は、何も言えなかった。
――言えば終わる。
言わなくても、きっと終わる。
数日後、学園に噂が流れた。
ルーク・ハントが“特別に美しい存在”を見つけた、と。
公の場で、彼は迷いなくその人物の手を取った。
誇り高く、隠し事のない、美を正面から掲げる存在。
拍手の中、〇〇は立ち尽くす。
「おめでとうございます、ルーク先輩」
声は震えなかった。
それが、余計に苦しかった。
その夜、ルークは〇〇を呼び止めた。
「君には、ちゃんと礼を言わなくてはね」
「……礼、ですか?」
「ああ。二年間、とても良い“美”を見せてもらった」
彼は微笑む。
だがその瞳は、優しくもあり、確実に線を引いていた。
「君は、自分を偽る覚悟を選んだ。
それもまた一つの美だ。だが――」
言葉が、静かに落とされる。
「私の隣に立つ美には、嘘があってはならない」
その瞬間、全てを悟った。
――彼は、最初から気づいていた。
性別も、想いも、全部。
だからこそ、選ばなかった。
否定ではない。
選択の問題だった。
「……はい」
それしか言えなかった。
「狩人はね、獲物を逃がすこともある。
それが最も美しい別れなら」
そう言って、彼は背を向けた。
翌日も、〇〇は男装のまま学園を歩く。
ルークは変わらず優雅で、〇〇を一人の後輩として扱う。
何も壊れなかった。
何も変わらなかった。
――だからこそ、この恋は誰にも気づかれず、
狩られることもなく、
静かに終わった。
見抜かれていたのに、選ばれなかった恋。
それでも確かに、
〇〇にとっては、?年間を捧げた真実だった。
𝒇𝒊𝒏
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