テラーノベル
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掃除道具を片付け残りの作業は他の黒服さんたちに任せることにした
それにしても…なんで俺と帰りたいんだ?
理由が特に浮かばない
話してて楽しい、かはわからないし
なんだかもどかしい。
それよりもはやく佐野のところ行かなきゃ
荷物を持ち受付へ走ると
私服姿の佐野がいた
あの時の私服ではなく別の
全体的に暗めの色でふわっとしたぱじゃまのような格好だ
それをみて少し心臓が早くなる
なんでかはわからないけど似合ってるなと純粋に思った
…イケメンに見飽きてたはずなのに
なんでこんなにもかっこよく映るのかな。
不思議だわ本当
佐野の後ろ姿に少し見惚れていると
「お、よーやくか、遅いよぉ〜待ちくたびれてたんだならな」
とか言いながら俺をぎゅっと
包み込むようなハグをしてくる
俺は一般的な身長で小さくはない
けどこいつがでかいせいでまるで自分が小さくなってしまったかのような
変な錯覚が起きるせいで
頭の処理がまた追いつかなくなる
どくどくとなる心臓の音
どっちからこの音がするのかはわかんない
けど
この俺を甘く許すような体温は確かだった
「なんだよ急に…つか離れて?」
「…いつも俺から離れてたがるよね」
顔は見えないけど不貞腐れたような声
たまに子供みたいにわがままになるよな
こいつ。
まぁ…いいんだけどね
「距離近いやつはモテないぞ」
「俺は仁人しかみてないからいいもん」
「んだよそれ。」
変なやつに好かれちゃったな…
まぁとにかく帰ろ?と宥めると
少し名残惜しそうに俺からそっと離れる
また寂しいとちょっとだけ思ってしまった
なんか悔しくて足早で店を出る
慌てて追いかけてくる佐野
振り返るとにこっと笑ってる佐野がいる
前まで俺が後ろを振り返っても誰もいなかった
誰も俺なんかとハグしなかった
こいつは俺の常識にいつも通りの日常に土足で踏み入ってきては
俺を振り回してかき乱して
そのくせ余裕そうな顔してる
…だけど楽しいのは認める
こいつがいると場が和むしすぐに誰かと打ち解けるし
ちゃんと楽しい。
「…見惚れてんの?」
さっきと同じ言葉
だけどさっきより深くて冗談には聞こえないトーンと表情でこちらを見つめてくる
この目に俺は囚われているのだろうか
あの時から俺は
佐野に惚れてたのかもしれないな。
そんな自惚れを自覚すると
冬でも少し頬が熱く感じる
冬の寒さのせいって誤魔化したいけど
こいつはきっとそれすらも見抜く
なんでも知ってる。
なんでもわかってる。
だから俺を救えた、救ってくれた
ある意味命の恩人かもな
不思議そうな俺を見つめる佐野を置いて
歩いて帰ろうとするふりをすると
慌てたように佐野がついてくる
犬みたいなやつ。
「なんでもねーよ、置いてくぞ?」
「あ、ちょ!おーい!俺待ってたのに!!」
「ははっ!おっそいな〜はやとは笑」
「、、仁人に言われたくねーよ笑!!!」
「はやとって呼んでやってもいい」
「…呼んでやってくれ」
「まぁじゃあ呼んでやる」
「ちょろ」
「お前な?」
ちょっと短めにしてみました。
次回はまた明日投稿します
それではまた。
コメント
1件
読んだわ…!もう、めちゃくちゃ良かった…!特に仁人の心臓の音とか、佐野にハグされたときの「甘く許すような体温」って表現が刺さりすぎた。俺の常識に土足で踏み入ってくるって感覚、めっちゃわかるし、それでいて「楽しいのは認める」って素直になるのエモすぎる。ラストの名前呼び合いも含めて、日常の1コマなのに感情の密度がすごい…短いのに滾ったわ🔥
あじさい。
146
#塩レモン
comi
1,939
ゆきむら
2,033