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放課後。
のあはうりに言った。
「今日、ちょっと行きたい場所があるんだ。」
「どこ?」
「ついてきて。」
二人は学校を出て、少し歩いた。
住宅街を抜けて、小さな坂道を登る。
やがて、古い公園に着いた。
ブランコとすべり台しかない、静かな場所。
夕方の光がやさしく差し込んでいた。
うりはその公園を見た瞬間、
胸がざわついた。
「……ここ。」
のあが聞いた。
「知ってる?」
うりはすぐには答えられなかった。
何かが引っかかる。
でも思い出せない。
「なんか…懐かしい気がする。」
のあは静かにうなずいた。
「やっぱり。」
そして、ブランコに座った。
「私、小さいころここでよく遊んでたんだ。」
うりも隣のブランコに座った。
風が揺れる。
ギィ…と静かな音がした。
その時だった。
うりの頭の中に、
一瞬だけ映像が浮かんだ。
小さな女の子。
泣いている。
そして――
「大丈夫?」
自分の声。
うりは急に立ち上がった。
「今…」
のあが驚く。
「どうしたの?」
うりは混乱していた。
「思い出しかけた。」
「え?」
「ここで…誰かに会った。」
のあの心臓がドキッとした。
「どんな子?」
うりは目を閉じた。
必死に思い出そうとする。
夕方。
泣いている女の子。
転んでいた。
そして、うりは言っていた。
「泣かないで。」
その瞬間、うりの目が開いた。
「のあ…かもしれない。」
空気が止まった。
のあの目が大きくなる。
「え…?」
うりはゆっくり言った。
「小さい頃の、のあ。」
のあの手が震えた。
「私……」
のあの記憶の奥にも、
一つの出来事があった。
小さい頃、この公園で転んだ日。
知らない男の子が助けてくれた。
でも――
その後。
事故が起きた。
救急車。
人の声。
怖かった記憶。
のあの顔が青くなる。
「待って…それって…」
うりも気づき始めていた。
「俺……」
そしてその時、
風が強く吹いた。
うりの体が一瞬、大きく透けた。
のあが叫んだ。
「うり!!」
うりの声が震える。
「思い出してきた…」
「俺、あの日――」
でも、そこで記憶が途切れた。
完全には思い出せない。
ただ一つだけ、
強く残っている感情があった。
(守りたかった。)
のあを。
その時、のあの目から涙がこぼれた。
「もしかして…」
言葉が震える。
「うりが、私を助けたの…?」
うりはまだ分からなかった。
でも――
この場所には、
二人の過去が確実にある。
そして、
うりが消えそうな理由も。
少しずつ、
真実に近づいていた。