テラーノベル
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結論 この二人の関係は極めてグロテスク
おまけの長さではない
空叶視点
「…うわ…ぁ…あんた生きとったか…」
「死んでもすぐ戻るじゃん」
「っっ”…いぃっ”たいな…」
まだまだ全盛期で痛む肩をもらったハンカチで止血しながら、奏斗の手を取って立ち上がる
「すまん…ありが…と…」
「最後の言葉みたいなの言わないでください」
奏斗の体に寄りかかって、抱きしめられているような姿勢になる
「兄さん…?」
「……」
「し、死んだ!」
「…い…や…ちょっとだけ…ね、る」
ぐっすり寝息を吐いている
*
そういえば、小さい頃はよくこれの逆をしていた。
僕はよく小学校でいじめられてた。机に落書きとか定番なことはあまりされず、校庭の端に呼ばれて集団リンチを受けたり、家庭環境の事を馬鹿にされてた。
「こいつの家さ、親父がヤバいんだって。
金がなきゃ爪を剥くから兄ちゃんがそういうところで稼いでるんだって!」
「は!?そういうところってどういう事だよ!」
「…や、やめて…」
「は!?俺ら悪くないし。なんなら今日聞いてみろよ、兄ちゃんに。明日反応聞かせろよ!」
その日も、そんな風に言われて声を殺して帰った。そういうところって、どんな事なのかわからなかった。
僕もわからないし、少し好奇心が勝ってしまっていたから。
(き、きっと大した事ないんだ。ただの悪い噂だもん!)
作り笑顔を浮かべて、涙目になりながら古びた一軒家、家に帰ってきた。
「…あ、」
「……」
石積みの中に入ると、縁側で兄さんがぼーっとして座っている。思わず駆け寄るが、ついつい右に目が向く
「おかえり。今日は仕事早く終わってな。」
「う、うん…」
縁側から中に入ると、手を洗って忙しくランドセルから宿題を出して取り組んだ
「……」
「もうやるん?偉いな」
心の中でしかそれに応答できない。正直宿題やって兄さんから目を背けたかった
夕方になってようやく宿題以上のドリルのページ数が終わっていることに気づいた。
意を決して、兄さんに話しかけた。
「兄さん」
「なんや?」
口が動かない。どころか体が震える
「…お?言うてみ、なんでもええよ」
(なんでも…?)
「嫌なことされたん?なら今から開き直って学校サボる計画立てればええわ。」
(それなら毎日されてる…)
兄さんにとうとう何も言わなかったからか、
「かーなーと?」
僕を呼び始めた
「…あの、」
「あの?」
「…学校…の、男の子に、その、言われたの
『兄さんがそういう仕事してる』って。」
「………」
兄さんは次第に目を真っ黒にして聞いた
「そういう仕事って…何?」
「………なんて言って欲しい?」
「えっ?…あ…」
「…まぁ立派ではないな、立派だろうけど奏斗の知る立派ではないわ。」
結局その後も濁され続け、その日珍しく二人で寝た。その時、もう一回だけ聞いてみた
「…兄さんは…仕事…どう、してる、?」
何してるのって聞いた方が良かったことは言った時に気づいた
「またそれか」
あ、怒らせちゃった。少しだけ怖い
「はあ、おい、」
兄さんは布団から出て身体を起こし、布団の上に座った。僕も、横になりながら兄さんの目を見る
「ええ加減にせぇ。察しろ言っとけばええやんかそんないじめっ子」
「や、だ、」
「あ?」
「兄さんが何か悪いことしてるんじゃないかって心配してるのに…」
軽く舌打ちをして、兄さんはやっと事実を話した
「最近闇市とかで流行してる所や。女性を気持ち良くして金騙し取る仕事。」
「…みんなそんなお金持ってるの…?」
こっちを見つめて察しろと言われたような気がしたからか、咄嗟に「うん」と返事をした
「…ごめんなぁこんなお兄ちゃんで。爪剥かれるのも俺が我慢したらこんな事奏斗も言われんかったやろうな。」
淡々と語る兄さんが初めてその時怖く感じた
「…でもすまんな、説得=恐怖で支配するって覚えてもうたんよ。臨床心理士になりたくて勉強したことも、今は全部洗脳やらにつかって。笑ってええよ。」
「もうやめて欲しいよ…」
「ほう。じゃあ親父はどうする。」
「…ぼ、僕が働くよ…兄さんも学校行きなよ。」
「…よし、じゃあ今から大人の世界を見せてやる」
強い力で仰向けにされて、兄さんの腕が僕の首に伸びると、思いっきり首を絞めた。
「っっ”!」
「ほら、これが毎日やってることや!」
「あ”…?…っ!ぎっ…ぃ”!」
苦しい、くるしいくるしいくるしい
母さんがいた頃はまだ良かった。でもある日自殺してから兄さんはおかしくなった。どこか怖くてコントロールされているような時もあった
「女はこうやって首絞められてっ”!四肢拘束されて!恥ずかしいとこに道具当てられて喜ぶ!こんな馬鹿な簡単なことでたっっかいお金もらえるんや!」
「っづ…かひ…ゅ…はっ…あ”にっ…さ…」
その日結局、その苦しみで気絶した。
なんやかんや、次の日には何もなかったみたいに振る舞い、学校を休んだ僕に朝ごはんを笑顔で作る兄さんは一番怖かった。
本人はそれが自分のいいことだと思ってるんだろうが、僕はそれが一番嫌だ
兄さんが、人間をやめたみたいなそれが、一番やだ。
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コメント
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あおいです🤍 第6話、読み終わりました。 このエピソード、本当に胸が締め付けられました……「死んでもすぐ戻る」っていう奏斗の台詞、軽い口調なのに逆に重くて。それから回想で明かされる兄の仕事の実態と、首を絞められながら「もうやめてほしい」と願う空叶の幼い声が、たまらなかったです。ラストの「兄さんが、人間をやめたみたいなそれが、一番やだ」という一文に、すべての感情が集約されている気がしました。続きが気になります……!