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翔さんと別れたあとは相葉さん家まで大野さんの車で行った。
相葉さんの自宅はアパートの二階。オートロック式のマンションだから、相葉さんのポケットから鍵を出して、なんやかんやで(省略)相葉さんの部屋に入ることに成功した。
相葉さんはベッドに横たわらせて、一旦相場さん家で休憩をした。
電気もつけずに、窓から照らされる光がテーブルの前で座る俺らを照らす。
「ふー…相葉さん、意外と重い…
相葉さんは俺らよりも少し大きいから二人がかりでも結構重かった。
「失礼だけど、そうだね(笑)
大野さんも遠慮がちに頷いてくる。
「大野さんって、本当に結婚する気ないんですか?
さっきのバーで話したことをもう一度聞く。
「え?…まぁ、勿論。だって、面倒じゃん。
そう言うと、大野さんは窓から見える夜空に視線を向ける。
「なにがですか?
「そりゃあ、はじめの方は楽しいんだろうけど、後になっていくとなんか色々と…面倒じゃん。
そう言う大野さんの顔はどこか寂しそうな顔だった。
…いや、気のせいかも。
「なにそれ、馬鹿みたいじゃないすか(笑)
「え?…まぁ、でも好きな人がいないわけではないよ?
さっきまでの様子とはうってかわって、大野さんはいつものように俺を見てへらっとした顔をする。
「…誰ですか?
「う~ん、秘密?(笑)
そう言って大野さんは冗談っぽく首を傾ける。
かわいいとでも思ってるのだろうか、
「えぇ?なにそれめっちゃ気になるんですけど、教えてくださいよ。
その冗談に乗るようにして俺も少しふざける。
「え~どうしよっかなぁ~(笑)。
大野さんは自分の顎に手をやって、考えるそぶりを見せる。
「早く教えてくださいよ。(笑)
そう言って大野さんの顔を覗いた瞬間、大野さんの顔が一気に近づく。
唇には柔らかい感触と、目の前には大野さんの目が見える。大分至近距離だろう。
驚いて俺は固まってしまう。
うん…?今、俺大野さんとキスしてる…?
え、なんで?
そう俺が困惑していると、大野さんの目がゆっくりと開かれ、唇の感触が無くなって行く。
「な…へ?いま、なん…
「びっくりした?(笑)ふふ、かわいいね。
ふいにキスされたことを思い返したとき、顔が一気に暑くなって鼓動が早くなった。
…あのときと一緒の感覚だ、
でも、どうして?…なんで、こんな……
「その顔、何が起きたかわかってないでしょ。
「ぅんまぁ…ハイ、…
大野さんはいつも通りの感じで、ゆったりしている。
「…俺の好きな人のヒント。
そうさらっと言う大野さんの顔はいつものへらっとした笑顔だった。
「……へ?
ま、まて、それだと大野さんは俺が好きってことにならないか?
いや、でもどうしてだ?今まではそんな感じはしなかったが……
「なん…どうし、て?
「どうしてか~、う~んそれはちょっと難しいかも。
「…ぉ…ぉれ、
「うん?
「か、帰ります、
なんだか、このままいたらヤバい、そう直感をして、部屋を急いで出ていく。
大野さんは、直ぐに追いかけてくる感じはなかった。
アパートから出て、勢いで駐車場まで行くと、背中を壁に擦り、荒くなった息を整える。
「はぁ、はぁ…そんな…
何度もさっきのことが頭のなかでぐるぐるとまわっている。
そう困惑していると目の前に人影が現れる。
「おい、
その声は、潤くんの声だった。
…けど、普段より声が低い、起こっているのか、?
俺は顔を上げる。
「じゅ…潤くん、どうした─
「どうしたの」そう言おうとしたとき、潤くんに胸ぐらを捕まれてアパートの壁に打ち付けられる。
「いっ…
「お前さ、門限何時か分かるよな、
「へ、…ぁ…十、時…、
「今何時だよ、
その言葉を聞いた瞬間、一気に血の気が引く。
今、今何時だ…?横目で腕時計を見る。
微妙に見にくかったけど、今は一時近くになっていることがわかる。
…どうしよう、やばい。
「いや、えっと、…今日、飲み会で…
「飲み会なら、なんでここにいて、走って、顔を真っ赤にしてんだよ。
これ…どうしようもなさそうだ。
「その…えぇっと…それは……
「なんだ?ここでなにをしてたんだよ。
「あぁ…えっと、飲み会の、帰りで、人、送ってただけ…だよ?
しどろもどろで答える。
「へぇ、一緒に入っていった奴は誰だよ。
「いや…家まで送ったり運ぶの手伝ってくれただけだよ…
そんな話をしていると、アパートの出入口から大野さんが出てくる。
大野さんが車に向かってるとき、大野さんは俺らに気づいたのか、足を止めて、こっちを見てくる。
「あれ…にのと…松本さん?
大野さんと潤くんは、仕事出会うだけの間柄だ。
「…大野さん、こんなところで奇遇ですね。
「…はは、そう、ですね。
なんだか不穏げのある潤くんに対して、大野さんは苦笑しながら潤くんに胸ぐらを捕まれている俺の方を見る。
「それ、何してるんですか…?
「…あぁ、別に、大野さんとは関係ないので大丈夫ですよ。
「…いやでも、流石にこの場面は見過ごせないっていうか…
そう大野さんが俺のことを心配してなのかそんなことを言う。
「…そういえば、大野さんは和也と中で何していたんですか?
潤くんの顔は一気に真剣な顔になり、大野さんを睨み付ける。
「いや、特になにも。
大野さんも察したのかなんでもないと言い張る。
俺は必死に目線で大野さんに助けを求める。
「へぇ、なにも、ですか…本当にそうですか?
「ええ、なにもありませんよ?
二人の間には不穏な空気が漂う。
「…離してあげたらどうです?その子、可哀想ですよ。
そう大野さんが俺に助け船を出してくれる。
「可哀想…かぁ、へぇ。
潤くんが一度こちらを見て手を離す、分かってくれたんだろうか…?
「それじゃあ、俺らはこれで。
一瞬安堵をしたが、潤くんに凄い力で手首を握られ、強制的に連れていかされる。
「ぁ、ちょッ…ま、じゅ、潤くんっ!
俺がそう言っても潤くんは聞く耳を持とうとしず、どんどんと歩みを進めていく。
振り向いたときに見えた大野さんの顔は、苦しい顔をしてこちらを睨んでいた。
…そっか、そうだよね。
ごめんね、大野さん。
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