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「いえ、この組紐はどうした。」
先程の大雨が嘘のように晴れた青空の下で、仙蔵は一人の山賊に苦無を当てていた。
「何故お前が持っている。」
その姿はとてもおぞましくいつもの美しい立花仙蔵はどこにもいなかった。
「ヒッ!あ、雨が降る前辺りにガキを襲ったとき逃げたガキの一人が落としてったのを拾ったんだ。」
「そうか。その子供は一人だったか。」
「いっいや、他に3人いた。短髪のやつと、茶色の髪のやつと、青みがかった髪をしたやつ。」
「その四人の子供はどうした。」
「知らねーよ。とっくに死んだだろ。崖から落ちてったんだから。」
その言葉に仙蔵は頭を殴られた衝撃がした。
「‥‥‥その場所まで案内しろ。」
「こっここだ。」
「そうか、ご苦労だったな。」
仙蔵は山賊の喉を掻っ切ると、狼煙を上げて捜索に出た五,六年生を集めた。
「ここから‥‥。」
「そうだ。今からここを降りて伝七たちを探しに行く。降りるメンバーは私、文次郎、伊作、竹谷、鉢屋だ。残りはここで縄を見ていてくれ。生きていれば、すぐに学園へ知らせてくれ。」
「結構寒いですね。」
崖から降りてきた仙蔵達はあたりを見渡した。
近くには川が流れており、少し前まで雨が降っていたせいでとても気温が下がっていた。
「こんなところにいるなら相当まずい状態だ。おそらく川に落ちただろうから服はびしょびしょだし、加えてこの寒さ。低体温症になってるかもしれない。山賊に襲われたんだったら怪我もしてるだろう。深い傷だと命にも関わる。」
「急ぐぞ!」
「はい!」