ー同時刻ー
「ごめん。伝七、僕、無理かも。」
バタン!
「左吉!」
彦四郎も一平も左吉も倒れ、伝七は一人になってしまった。
「左吉まで‥‥。」
伝七は絶望した。
一人という現実に。
いつまで経っても助けに来てくれない先輩に。
背中の傷も最初よりも痛くなってきた。
「やっぱり、先輩は来てくれないんだ‥‥。」
薄れていく意識の中で、伝七は涙を流した。
「いた?」
「いや、いない。」
仙蔵達は、川をたどり下流の方に来ていた。
「一年は組だったらもうとっくに見つかってるのに‥‥。」
「それだ!」
急に文次郎が声を上げた。
「それだ。とはどういうことだ?文次郎。」
「仙蔵。一年は組は川に出た場合、どうしていた?」
「その場で待機してるか、もしくは下流の方に降りて人のいるところに行っていたな。」
「そうだ。俺達は一年い組もそうすると考えて下流へ来た。が、相手はは組ではない。い組だ。あいつらはあたまがきれる。あそこは崖だったが下流に来たら崖なんてない。もしかしたら、」
「山賊が下流から来るのではないかと考えて谷が深くなっていく上流へ?」
「山賊はものを取るのに執着すると考えて逃げ隠れたと考えればその線はじゅうぶんに考えられる。」
「お前たち!上流の方へ行くぞ!」
「はい!」
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