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わすれないでね

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わすれないでね

1 - わすれないでね

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2024年03月09日

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「ん、」

「あれ?」


気づいたら一面に広がるシロツメクサと三葉の草原にいた。


「ここどこだ、」


周りには何も見当たらず、ただ草原が拡がっていてとても快晴な空があるだけだった。

少し歩いてみると、そこには少年がいた。

小学生ぐらいの小さい子だった。


「あれ?葵お兄さん!」

「え?なんで俺の名前を、」


おれは知らない少年に急に名前を呼ばれてびっくりした。


「てか、ここはどこ?きみは誰なんだ?」


少年は言った。


「知らなくてもいいことだよ!」

「なんでだ?」

「こんなの知ったって忘れちゃうじゃん!」


知らなくてもいいこと?

俺は困惑しすぎて頭を抱え込んだ。


「そんなことより、お話しようよ!」

「例えば、この草原!三葉かと思ったでしょ?実は四葉なんだよ!」

「ほんとだ、」


よく見てみると四葉しか無かった。こんな幸運なんてないと思うほど。


「それでさ、それでさ…..」


…………….



とても長い時間知らない少年と会話をした。

話し方が上手でとてもたのしかった。



「あれ、もうこんな時間。」

「時間、?」


時計も何も無い、そして空の色すら変わってなかった。


「もうお別れの時間だね!」

「ちょ、勝手に終わらすな!てか、俺何もお前のこと知れてない!」

「あはは、」


少年は苦笑いをした後に言った


「元気でね!あと、いつか僕のこと思い出してよね!ばいばい!」


言葉を発しようとした瞬間、だんだん視界が暗くなってゆく。

薄らと少年が見えた。涙を流しているようだった。


………………



「はっ!」


目を開けたら見覚えのある天井があった。自分の部屋だ。


「夢だったのか、」


とても不思議な夢だったなと思いながらリビングに行く。

そこには何かを見ている母さんがいた。


「母さん何してんの」

「まぁ!葵」

「あんたの小さい頃の写真よ〜とってもかわいいんだから。今の高校生のあんたもかわいいけど、ほら!」


俺の小さい頃の写真がたくさんアルバムに貼ってあった。

その中の1枚に、さっき夢ででてきた少年がいた。


「母さん、この子って誰?」

「ん?あら四葉くんよ!」

「四葉、?」

「忘れちゃったの?小学生の時かな、あんたを庇って交通事故で亡くなっちゃった子よ。この子のおかげであんた生きれてるのよ」

「あんたとは幼なじみで仲が良かったんだから〜」

「へぇ、」


母さんを見ると驚いた表情でこっちを見ていた。


「あんた急に泣いて、どうした?大丈夫?」

「え?」


頬を触ると涙が出ていたことに気づいた。


「あれ、なんでだろ、」


思い出したんだ。忘れちゃいけない存在を。

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