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タールは片足を使い、自転車を佐川へ向け蹴り飛ばした。
佐川は体を右に傾け、自転車をかわす。
「俺の自転車に何するんだよ、弁償しろ」
タールは2本の左腕を回し、気怠そうな表情を浮かべる。
「さっさと仕事を終わらせたいんです」
「大人しく我々に食べられてくれませんか」
こちらの話を聴く気はさらさら無さそうだ。
「仕事、食べる何の話だ」
「説明しろ」
タールの左2本腕の内、1本の左腕が弓矢となり、左手で弓柄を握り締めた。
標的を追う獣のような目で、右手2本を使い矢の標準を定めた。
「お遊びは終わりです」
1本目の矢が放たれた。
佐川は落ち着いて矢の動きに意識を集中させた。
「よし、かわせる」
1本目を避けた。
佐川は態勢を整えるべく、2本目に備えた。
しかし、左肩が強烈に痛い。
恐る恐る左肩を見ると、肩に矢が突き刺さっていた。
「痛い、痛い、痛い」
タールは好機とばかりに畳み掛ける。
前の2本足を使い、佐川の胸目掛け蹴りを入れる。
両腕でガードしたが、体がゴロゴロと道路へ転がり、縁石にぶつかり止まる。
左肘にはさらなる痛みが走る。
また矢が刺さっている。
「どうしてだ、攻撃は避けたはずなのに」
タールは狩人ゲームを楽しんでいるようだった。