『…それって…ココロ様が…』
『スムニ!!』
言葉にすることが出来ないような音で翼が引きちぎられる。
『ぅ”ああ”あ”あ”あ”!!』
無を司る神を庇って時を司る神の片翼がちぎれる。ちぎれた根元から血液が流れて、もがれた翼を地面に落とす。
震えた声で2人の神の前に立って2人を庇うような姿勢をとる。
『…こ、ココロ様!!おやめ下さい…!!』
『…ごめん。でも知っちゃったんでしょ…』
『それを知られたら僕は創造主で居られない。ごめん、自分の都合だけど…』
雨が降り、雷が鳴り始める。
片翼になった時を司る神
恐怖を植え付けられた無を司る神
誰も守れない運命を司る神
3人に雷が落ちる
天界から落とされ空中に真っ逆さまに堕ちている。
『…あぁ…』
翼を広げようにも力が出ない。モクアミ…スムニ…どこ…モクアミとスムニだけでも助けないと…
……死ぬ…
神なんてほとんど不死身の体。高いところから落下しても死ぬはずはない。今までその恐怖さすら感じなかった。けれど…何故だろう。今は、とても怖い。死ぬのではないかという恐怖がある。
……私のせいだ…知らなければこんなことにならなかった。大人しくココロ様の探してる人物だけを目標にしていれば。
私のせいで、私のせいでモクアミが…スイホウも巻き込んでしまった…どうして私はいつもこうなの…?
ごめんなさい…ごめんなさい…
せめて…何とかしないと……何か、なにか…
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ほら、これ。
…なにこれ?
青白く光った宝石を手に渡される
転送石だ。翼が上手く使えないとモクアミから聞いた。何度でも使えるから、移動手段に困った時はこれを使うんだ
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……天界にずっと居たからこんなもの使う日は来ないだろうと思っていたけど、肌身離さずずっと持っていた物…
これなら…
『スイホウ…!モクアミ掴んでっ!』
『…?』
モクアミの首襟を掴んで自分に引き寄せる。痛みで気絶してるのか、意識がない。
…服に血が滲んでいる。
『モクアミ、掴んでてね…』
片方の手でスムニと手を繋ぐ
スムニはもう片方の手に何か持っていて、詠唱を唱えてる…?
詠唱し終えたら手の中に持っている何かが光出す。眩しくて目を閉じていると、スムニに声をかけられる
『…転送…出来た』
ここがどこなのかは…分からない。私たち影の最高神たちは通常天界から出ないから地上には疎い。地上に顔を出すのは教会に用事がある時意外だから
全く知らない場所に転送されて、混乱しつつもモクアミを抱えてどこかへと向かう
霧で視界が見えなくて、不穏な空気が流れる
『…私たちは…堕落してしまったのかな』
神に内緒で目標を変えて、
神に逆らって、
神に天罰を下された
…処分はされなかっただけ…幸運なのかな。
バヌマは今頃何をしているのだろう。
時を戻して、すべてを無かったことにして、運命を変えたい。
心の底からそう願った。
雨でずぶ濡れで、よく見えないけれど日が登り始めている。
影で人間を愛して守護するのが私たちの勤めだったのに、信者たちにどう話せばいいか…分からない。
もういっその事…死んでしまいたい。
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『まァ…酷いですね…酷いですわね…』
ニヒリティ「…あーはい…酷いですね」
白髪の髪に金色のメッシュが混ざったモノクルをつけた女性がニヒリティの隣に立っている。おかしな口調だけれども、真剣そうな顔をしている。
『こんな歴史が隠されていたなんて…残酷ですわ…残酷ですね』
ニヒリティ「…クロノス様ーー??前に戻ってますよ??」
クロノス「あぇっ、あ、ごめんなさい…真剣するとつい前の口調が出ちゃって…」
ニヒリティ「…心の中で妹さんと会話されてるんですか」
クロノス「…ええ、そうです。ふふ…ごめんなさいね。おかしな話ですよね。心の中で妹と会話なんて」
ニヒリティ「いえ、もう慣れたので。…それと、これ以上は流石に痕跡がバレます。帰りましょう」
クロノス「あぁ…そうですね。帰りましょう」
クロノスがニヒリティの袖を掴んで時空の中に入る。時空の先には天界の会議室だった。
琥観「おかえりなさい。なにか情報は掴めましたか?」
クロノス「創造主がココロって人です…最高神に秘密を知られて堕落させていましたけど…」
琥観「その秘密とは…?」
『_____』
クロノスが放ったその一言で会議室の空気が固まる。
ケイオス「…ふーん…リバーン?っつー奴と能力は同じそうだな」
クロノス「そうですね…同じに見えます。」
琥観「リバーンさんと戦った人は誰でしたっけ?」
グレート「…今日この場にはいないが…玲亜とやみら…それと霊那だな。」
ケイオス「ほとんどあの人間がリバーンを倒したんだろ!?あの人間マジおもしれぇな〜!いつか戦いて〜!!」
グレート「あまりオススメしないぞ。人間でありながらもお前並の強さを持っている」
ケイオス「尚更戦いてーなー!」
とじん「そういえばお前と霊那チャンは封印魔法使えるんだったか?」
わちゃめる「話の方向ズレてる!!今はわたメル!!アルも居なくなったんだろ!?くろわたも今日の昼行っちまったし!」
ドンッ!!
弥珠「来たわヨ〜♪」
わちゃめる「呼んでねぇよ!!??散れ!!」
琥観「何故会議をやっていると分かったのです…神々の秘密にしていたはずなのですが」
弥珠「やみらってコから聞いたわヨ笑」
グレート「あの馬鹿っ……!!!」
弥珠「でも良いでショ?アナタ達、転送魔法魔力使うじゃない?」
弥珠「それに比べてワタシは魔力を使わずに転送魔法を使えるシ、魔力の跡も残さないのヨ??」
ケイオス「黙れ、しね、消えろ、殺す」
とじん「(幼児か?)」
弥珠「ワタシだって、あの時の事は反省してるシ、あれは真実を司る神のせいでショ?」
クロノス「彼女の言う通りです、シュヴァルツさん。彼女は廃人と化しファクト様に操られていた身。貴方の部下と同じみたいなものですよ。」
ケイオス「うるせえ!コイツは俺の娘と零を殺しかけただろ!!そのせいでセレニテは1回死んだんだぞ!!」
琥観「ケイオス。喧嘩をしに来たのではないですよ??」
グレート「…数分時間を稼いでくれ、頼む」
琥観「?ええ…はい。」
琥観「ニヒリティ」
ニヒリティ「ワタシのではすぐ壊されてしまいますよ…?」
琥観「大丈夫です。」
ニヒリティ「…き、嫌われませんか…」
琥観「あんな奴に好かれても利益も何も無いのでよろしいです」
ニヒリティ「コミ様がそう仰るのであれば…」
拘束魔法の詠唱を唱えるとケイオスの体が拘束される。
とじん「少しの間大人しくしていろ」
ケイオスに指を差して”アイン ズィーゲル”と何かの魔法を唱える。
ケイオスの体になにか変化はない。ケイオスはその魔法の意味が何か分かっているのか、尚更苛立っている
わちゃめる「なに?あれ、」
クロノス「封印魔法ですよ。シュヴァルツさんも封印魔法は使えますが、伏兎様の封印魔法はそう簡単に破れないでしょう。」
ガチャリ
グレートが戻ってきた、そう思い一斉に扉の方を見る
確かにグレートもいたがその隣には所々くせっ毛ではねている青い髪、黒と白のリボンを頭に着けている少女が居た。
「この人ですか?ケイオスさんって!」
グレート「…本当にすまない。相手をしてやってくれないか…」
「はい!分かりました!やみらがいつもお世話になっています!!」
「はじめましてですね!ケイオスさん!」
ケイオス「…誰だよお前。人間に興味はねぇぞ」
霊那「夜瓜霊那と申します!!遊びましょう!!」
琥観「…とんでもない人持ってきましたね。」
グレート「ケイオスを宥めるにはこうするしかないだろう…」
ケイオス「…おま、お前が封印魔法持ってる人間…??随分幼い女だな…???」
霊那「はい!100年近く眠っていましたが肉体年齢は17歳です!!」
霊那「今この拘束魔法解きますね!」
ニヒリティがつけた拘束魔法を引きちぎる。わずか7秒で拘束魔法を壊して、ケイオスに手を差し伸べる
霊那「行きましょ!!あ、でも今魔法使えないみたいですし殴り合いでもしますか?」
ケイオス「…する!!戦うぞ!!!」
差し伸べられた手を勢いよく握る。琥観が人も家も何も無い草原の時空を造って、その中にケイオスと霊那が入る
琥観「会議が終わるまで、よろしく頼みます」
霊那「はい!!」
ニヒリティ「……💢(人間ごときに拘束魔法破られたことも鬱陶しいし、自分より遥かに強そうでもっと苛立ってる)」
琥観「…あの女の子、戦闘狂なんですか?」
グレート「人に尽くすのが好きなだけだ。喜んでくれるなら死んでもいいんだろう。さて、会議を再開しよう」
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わたメル「ひゃっふぅ〜!!!」
愛夢国の人里巡りまじ楽しすぎだろ!!美味しいものも面白いものも置いてあるし何せ店員さんの愛想がよすぎるー!!
“ソウサキ”
ん?邪眼神どうしたの?何か欲しいものあるの?
“… ニチ チョウ ヤ クニ”
そこがどうしたの?
“ソコ ダレカ イル”
……?誰が?てかその国何?
“……イコウ”
エ?ま、いいけど……優勝劣敗国先に寄りたいんだけど…ダメ?
“ダメ”
(´・_・`)
わたメル「すみません!!」
わたメル「にちちょうや?って言う国の行き方って分かりますかね……?」
近くにあった店の人に話しかけて聞く
地図をくれたので地図を見ながら行くことにします
えっと、私が今いる所はここだから…って遠!?!え、これ徒歩何分?ねえ邪眼神徒歩何分なのこれ!!
“……2 0 ジカン ”
丸1日使うじゃないの!!!💦
どうしようこれ…うえーーん!どうしたらいいの!?さすがに丸1日帰らないのはキドリさんに怒られちゃう!あとツルギさん!!あの人逃げたと思って殺しにかかってくるよ…
どうちよどうちょどうしても行かなきゃだめ???
“……カエレル”
…帰れる??
……うにゃーータクシーでも捕まえてその日鳥夜ってところに行くかぁ……
こんにちは。わたしわたメル
タクシーの人がすんごいかっ飛ばしてくれて5時間くらいでつけました。なんか近道あるよーとかでかっ飛ばしてくれたけど、その代わり運転がすごすぎて死ぬかと思った
わたメル「…ここが日鳥夜国……?」
“ソウサキ シュウキョウ ユウメイ”
宗教?有名?ここにも宗教あるんだ。うーん…宗教に行きたいの?まあいいけど……ん?あ、あの神社に誰かいる
わたメル「すみません!」
『……誰だ?』
わたメル「あ、すんません!わたメルです!」
『…そうか。迷ったのか?』
体をこちらに向ける
金色の髪で綺麗な青い瞳。
でも不機嫌?睨んでくる、すっごい。
わたメル「ここで有名な宗教はありますか?」
『…日夜という神の宗教と、無名教。観光客か?』
わたメル「あ、実は……その、宗教巡りしたくて!」
『そうなのか。…そこに案内しようか?』
わたメル「いいんすか!?ありがとうございたす!!」
わたメル「あの、お名前は?!」
『……あー…』
少し間があく。なんで?キラキラネーム?七音さん?
ヤタノ「…ヤタノって呼んでくれ。」
わたメル「はい!ヤタノさん!ありがとうございます!」
ヤタノ「どこから行こうか?好きな方を選んでいいぞ」
わたメル「じゃあ日夜?って神の宗教で!」
ヤタノ「それじゃあ俺に着いてこい。」
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「…な、は……?」
周りがざわめき始める。それも当然だ。上には羽が生えて浮いている男がいる。
地面に足が着いて私に近づいてくる
「…なんだ。」
ここでやり合うのはまずい。ここには法律がある。無闇矢鱈に問題を起こしたら捕まりかねない。
『…』
ガシッ
腕を掴まれる。抵抗するが力が強すぎて解けそうにない。
『リワインド』
男がそう言ったあと視界が暗くなっていく
何が起こったのかは分からない。何とかしなくては…何者だ…コイツ…は
…ん
どこだここは…
『モクアミさまー!!おきましたよー!』
……誰の声だ?
目を開けて辺りを見渡す。どうやらなにかの部屋のようだ。ベッドから起き上がる。…微かに邪眼神の魔力を感じる
私の傍に居たのは小さな女の子だった。
『もうだいじょうぶですよ!』
「…誰?」
菖蒲「菖蒲です!あなたは?」
くろわた「…周りからくろわたってよばれてる。」
菖蒲「わたメルおねえさんとすがたがにてますね……?!」
くろわた「わたメルが…ここにいるのか?」
菖蒲「少し前から帰ってきてないんですけどね…」
くろわた「…そうか」
ガチャリ、と扉が開いて部屋にでかい片翼を持った男が入ってくる
モクアミ「起きたか。」
くろわた「…わたメルはどこだ」
モクアミ「知らん!勝手に失踪した!だから探してたんだ!!」
モクアミ「お前は誰なんだ」
くろわた「…私は、わたメルの……」
くろわた「…友人だ」
モクアミ「そうか。そういえば警察のヤツらが少しの間預かってて欲しいと言っていたな…」
…コイツ…
人間か?
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「あぅ、あ、あぅあああ」
シピー「…?ノルアちゃん?どうし…」
シピー「……!!!」
異常な光景を見て体が固まる。
ノルアちゃんの前にはヒギョウ様がいた。それならまだ良かった。力を押えてくれているであろうから。でもそれじゃない、力を押えていない。邪悪な空気が流れている
シピー「ヒギョウ様!!!何をしているの!?!!」
すぐに2人に駆け寄ってヒギョウ様の目を隠す
ノルアちゃんは意味のわからない言葉を発しながらヨダレを垂らしていた。
ヒギョウ様「…」
俺は何度……お前たち一族に迷惑をかければ気が済むのだろう。
でも今回は助けるためなんだ。本当ワガママなやつで申し訳ない。許してくれ…
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許しを乞う怪異。哀れで可愛いです
隠蔽された歴史、知らざれる秘密
ヤタノさん!ヤタノさあーん!!
ノルアは……いつか戻ります。いつか。とゆかくろわた来ちゃったよーーん!
はい、ヤタノさん紹介
ヤタノ ♂ 見た目年齢 27歳 種族パッと見人間
一言で言えば導く方向音痴な救世主様
それではまた👋
コメント
2件
最初のはココロ様の過去の一部か何かかな?やべぇ好きすぎて死ぬ....!!