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太陽組おたく ❤︎
しろっちー
「ラグレ」
登場人物
カナ(25)
ユウ(25)
カナSide
__夜7時。夕飯を口に運ぶ。静かな夜だ。向かいには恋人…ユウがいるというのに。
ふと思う。最近、言い争いが増えたなと。
このごろ、ユウの細かい仕草が気になって仕方がない。座り方が雑でも、ドアの閉め方が乱暴でも、あの頃はどうでもよかった。でも、今は違う。座り方が悪いとすぐ注意するし、閉め方が乱暴だと心の中で嫌悪感を覚えるようになった。
一体、どうしてしまったんだろう。ユウ自身に興味をもつことなんてほぼほぼ無くなってしまって、行動だけを見るようになってしまった。
__私は、ユウに冷めてしまったのだろうか。
ユウSide
最近、カナが少し変な気がする。
何というか…怒りっぽいような、常に苛々しているような仕草が多い。
俺に対しての注意も増えたり、些細なことに口を出してきたり…
大丈夫だろうか。何だか心配だ。
頭の中でそんなことを思いながら、夕飯を口に運んだ。
「ねぇ、足。」
ふとカナの声がした。正面には、俺を睨みつけるカナがいた。
あぁ…座り方か、自然と姿勢を崩してしまうから難しい。
「ごめんごめん」
そう言って座り方を直した。
でも、カナはまだ怒っているみたいだった。
「…カナ?」
「あのさあ、なんでいつも注意するのにそうやって姿勢を崩すの?」
カナSide
不意に出た言葉だった。思ったことを、口に出してしまった。
「…仕方ないじゃん。それくらい」
「…」
言い返し方に少し苛ついて、また返した。
「…仕方なくてもさぁ…それぐらいしっかりしようよ…」
「っ…」
少しユウの表情が歪んだ。これ以上、何も言わなければよかったのに、私の口は止まらなかった。
「ちゃんと、当たり前のことはやってよ…!」
ユウSide
バシンッ!!
鋭い音が静かなリビングに響いた。一瞬だった。
俺は気づけばカナのことを叩いていた。
ものすごく苛々していた。ただそれだけだった。
今までたくさん言われてきたけど、もう我慢できなかった。
変わってしまったんだ。俺も、カナも。
「っ…!」
カナは辛そうに顔を歪めた。そりゃそうだ。今までカナのことを叩いたことなんてなかったから。
「ユ、ウ…?」
悲しそうな目でこちらを見た。今にも泣きそうだった。
俺だって泣きたかった。
カナSide
「…うるさい!!」
ユウの口から飛び出た言葉はそれだった。
気づけば私は叩かれてユウのことを見つめていた。
「…せ、お……なんて…… 」
ぼそぼそ何か言う声がする。
「ユウ…… 」
ガシッ
急に腕を掴まれた。痛い。今までにない強い力だった。
バンッ!!
気づけば強い力で床に押し倒されていた。
「どうせ、俺のことなんて、愛してくれないんだろ!?」
ユウSide
ポロっとでた言葉。それは俺がずっと思っていることだった。
カナの髪を強く掴んだ。一つに結ばれた髪は一気にほどけた。首を掴み、ずっと思っていたことをぶつけた。
「俺の仕草ばっか見て、どうせ、どうせ…!!」
「もう冷めてしまったんだろ!?」
カナSide
痛い…痛い…苦しい…
今までユウに殴られた事なんてなかった。こんなに怒った表情も見たことがなかった。泣きそうになる中、必死に抵抗した。
「ちが…違う…ごめんなさ……」
「もう俺に…飽きてるんだろ!?」
涙が溢れた。そうだ。本当にそのとおりだった。
私はユウに冷めていた。とっくに、好きなんて感情は冷めきっていた。
ユウSide
ふと気がついた。カナは泣いていた。
俺は、実の恋人を泣かしてしまったのだ。
何だか、一気に気持ちが冷めた。
ゆっくり立ち上がる。喧嘩をする気もおきなかった。
俺は振り返らずリビングを出た。カナがどんな表情をしていたかはなんとなく想像がついた。
…いつからこんな風になってしまったんだろう。
カナSide
ユウがリビングから出た。
ユウは、私の気持ちにとうに気づいていた。いや、気づかれていたのだ。
私はまだ泣いていた。立ち上がれなかった。
「ユウ…ごめんね…」
開けっ放しになったドアの向こうに向かって、聞こえるはずのない言葉を呟いた。
「「2人分かり合えたらよかったのに」」
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