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☆yatio☆
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#主人公愛され
瀬名 紫陽花
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一限授業が始まる前から、幾度となく視線を感じている。
視線の送り主は九条詩織。
憎悪を込めた睨みではなく、ただただ時折見ているという印象だ。
誰もが認める美少女で成績優秀な優等生だ。
特に親しい友人もおらず、会話をすることも稀で表情の変化に乏しい。
だから通称『お人形さん』。
高嶺の花、孤高の存在ともいえ有名人である。
俺が彼女を見ると、さらりと視線をかわしてしまう。
一体なんだっていうんだ。
昨日、下校途中の駅で人身事故に出くわした。
その際に九条さんとすれ違っただけ。
今まで話をした記憶も、恨みを買ったり感謝される覚えもない。
訳が分からないよ。
何となく気まずい午前中の授業が終わり、昼食を食べに行こうと廊下を歩いているとき、突然背後から声がかかった。
「佐倉君、昨日のわたし、変じゃなかった?」
人の気配が全くなかったので正直驚いた。
振り向くとやはり九条さんだ。
変なのは君の視線と行動だろ?忍者かよ。
心の中で突っ込んでしまう。
「大事故が目の前で起こったというのに、全く気にも留めない様子。まあ、変といえば変だよなあ」
「……」
九条さんが沈黙してしまった。
まずい。率直な感想とはいえ、変は言い過ぎだったか?
これでは俺がお人形さんを虐めてるようにしか見えないぞ。
「悪い意味で言ったんじゃない。すごく落ち着いているなあ、って思っただけ。気にしないで」
「そう。ありがとう」
九条さんは、身を翻して教室へ戻って行った。
彼女の意図が全く見えない。
ルックスは抜群だけど変わった女子。
そんな印象。
昼食を済ませ教室に戻るや、親友の瀬戸陽斗に捕まった。
嫌な予感がする。
「よお。さっきはお前とお人形さんなんて、珍しい組み合わせだったな。どした? お人形さんに興味があるのか?」
やっぱり。九条さんとのやりとりを見られていたんだ。
「そりゃ、興味はなくはないけど、そんなんじゃないぞ」
「じゃあ、どんなんだ?」
陽斗が追い打ちしてくる。
「昨日、駅ですれ違ったからかも」
「かもってどういう意味だよ」
「俺には全く分からない」
「ってことは……お人形さんがお前に声をかけたのか?」
「そう。九条さんから声をかけられたんだ」
「何で?」
「だから、全く分からないって言ったろ?」
「へえ、あのお人形さんがねえ〜。ふーん」
陽斗がニヤニヤしている。
きっと、恋愛話を連想しているんだろうが、おそらく違うな。
甘い雰囲気が少しでもあったなら嬉しいけれど、一切なかったぞ。
コメント
1件
読み終わったよ……九条さんの「静かな存在感」と、佐倉くんの「普通の困惑」のバランスがすごくいいなって思った。目が合うたびにスッとかわす描写、あの距離感、妙にリアルでドキッとする🥀 最後の陽斗のニヤニヤでちょっと息が抜ける感じも好き。続き、ちゃんと読ませてもらうね🤍