テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#中太
夏の穂|双黒中心|フォロバ
2,029
怜
200
44
今思ったんだけどさ、この連載20話くらい更新してるけどハート数1400くらいなんだよね。
・・・やばくね?1話平均80未満でしょ・・・。
やっぱ女体化って不人気なのかなぁ・・・。
太中です。おにろりです。
九尾の狐太宰×酒呑童子中也。
いつも受けの頭ふにゃふにゃにさせてごめんね・・・。性癖なんだ・・・。
大きな山を一つ越えた、深い森の奥。人間たちの噂に「あそこには神隠しに遭う怪異が棲む」と囁かれる場所の一角に、不釣り合いなほど立派で、それでいてひっそりとした佇まいの屋敷があった。
その屋敷の縁側で、ぽかぽかと降り注ぐ陽気の中、二つの影が寄り添っている。
一つは、すらりとした長い足を投げ出し、白い狐の尾を退屈そうに揺らしている青年。もう一つは、その青年の膝の上にすっぽりと収まり、小さな身体を預けている少女――否、少女と言うにはあまりにも幼い、十歳そこそこにしか見えない愛らしい幼女だった。
「だざぁ……、おなかすいた。あと、のどかわいたぁ」
中也は、ちいさな手を太宰の着物の胸元に伸ばし、きゅっと生地を掴んで見上げる。その瞳は澄み切っていて、悪意も計算も何一つない。
「おや、中也。さっきお団子を食べたばかりじゃないか。本当にお団子は、その小さな体躯のどこに消えていったんだろうねぇ」
太宰はふにゃりと目元を和ませ、中也の癖のある橙色の髪を優しく撫でた。指先に絡まる髪は柔らかく、まるで上質な絹のようだ。
二人は同じ年月を生きている。この世に生を受けてから、数百年。妖の世界において、二人は間違いなく「大妖」と呼ばれる類の存在だった。しかし、その成長の速度には恐ろしいほどの開きがあった。妖狐である太宰は、人間の肉体で言うところの二十代前半、最も見栄えのする美しい成人男性の姿へと瞬く間に成長した。一方で、鬼の頭領であるはずの酒呑童子――中也は、数百年経った今でも、人間の十二から十四歳、いや、精神年齢や体つきに至っては、それよりもさらに幼い、危ういほどの幼女の姿のままだった。
「おだんごは、もうしょーかしたの! それに、おだんごたべたら、からいものとか、しゅわしゅわするやつが、ほしくなるんだぞ」
「しゅわしゅわするやつって、またお酒のことかい? だめだよ。中也はすぐ真っ赤になって寝ちゃうんだから。大体、そんなに幼い見た目で酒好きなんて、他人に知られたら私がどんな目で見られるか」
「むぅ……! ちゅや、もうなんびゃくねんも、いきてるもん! だざいとおんなじだもん! だざいだけ、ずるい。おっきくて、ずるい……」
ぷくっと頬を膨らませる中也の口調は、完全に舌足らずで幼い。太宰の胸に額をぐりぐりと押し付け、駄々をこねる姿は、どこからどう見ても甘えん坊の子供そのものだった。
けれど、太宰の腕の中に収まるその身体は、最近ほんの少しだけ、本当にわずかだけれど、変化の兆しを見せ始めていた。
抱き上げた時に触れる腰のラインや、薄い着物の下でほんのわずかに膨らみ始めている胸。それは彼女が確かに大人の女性へと向かっている証拠なのだが、当の本人はその自覚が皆無だった。
「狡い、と言われてもねぇ。こればかりは種族の差だから仕方がない。それより中也、少しは危機感というものを持ってくれないか。君は最近、ちょっとだけ……その、女の子らしくなってきているんだからね?」
「おんなのこ?」
中也はきょとんとして首を傾げる。首筋から覗く白い肌が眩しい。
「そうだよ。だから、そんな風に無防備に私に抱きついたり、着物をはだけさせたりしてはいけないんだ。他の男の前でやったら、一溜まりもないよ」
「ほかのおとこってだれ? ちゅや、だざいしかいらないもん。だざいが、だっこしてくれるから、いいの」
当然のように言い放ち、中也は太宰の首に細い腕を絡ませて、ちゅ、と音を立てて太宰の頬にキスをした。
「……あぁ、本当に困った子だ」
太宰は額を押さえた。中也は純粋なのだ。純粋すぎて、時にとんでもなく淫乱に見えるような行動を平然とやってのける。本人はただ大好きな太宰に甘えているだけなのだが、受ける太宰の側としては、精神的な試練以外の何物でもない。中也がちっちゃくて可愛いのは宇宙の真理だが、それゆえに理性を保つ方の身にもなってほしい。
「だざい、ちゅーは? ちゅやにちゅーして?」
おねだりするように、小さな、桜色の唇を尖らせる。
太宰はため息をひとつつき、けれど拒むことなんてできるはずもなく、その愛らしい唇にそっと自分の唇を重ねた。ん、と小さな鼻鳴らしの音がして、中也の身体が嬉しそうに跳ねる。ぎゅう、と抱きしめ返すと、中也は満足そうに太宰の腕の中でふにゃふにゃに蕩けてしまった。
「よしよし。じゃあ、そんなに喉が渇いたなら、城下町に買い物にでも行こうか。中也の好きなおかずの材料も買ってあげよう」
「ほんと!? まちにいく! わーい!」
中也は太宰の膝から飛び降りて、部屋の中を嬉しそうに駆け回る。その拍子に、彼女の背後から溢れ出た濃厚な赤い妖力が、ぱちぱちと空間を爆ぜさせた。数百年生きる大妖である中也は、その強大すぎる力を未だにうまく抑制できない。使い方もよく分かっていないため、感情が高ぶるとこうして周囲に妖力が漏れ出てしまうのだ。
「おっと、中也、ストップ。ほら、耳と妖力が出ているよ」
太宰がひょいと手をかざすと、中也の頭から生えかけていた小さな鬼の角と、周囲の赤いオーラが、すうっと霧散するように消えていった。太宰は妖力のコントロールに関しては天才的であり、中也の暴走しがちな力を抑え込むのは彼にとって朝飯前だった。
「あ、またでちゃった? ありがと、だざい」
「どういたしまして。いいかい、町ではちゃんと人間のふりをするんだよ」
着物を整え、二人は屋敷を出た。中也は太宰の大きな手を両手でしっかりと握りしめ、楽しそうに歩調を合わせる。
森を抜け、人の営みがある城下町へと降りていくと、活気ある声が二人の耳に届き始めた。
この町の人々にとって、太宰と中也は「少し歳の離れた、仲の良い兄妹」として通っている。実際には同い年の大妖なのだが、見た目がどう見ても大人と子供なので、最初は周囲も困惑していた。しかし、二人があまりにも自然に、そして睦まじく暮らしているため、今では町全体が二人を温かく見守るようになっていた。
「あら、太宰さんに中也ちゃん。いらっしゃい」
八百屋の女将さんが、二人を見つけて笑顔で手を振った。
「こんにちは、女将さん。今日も相変わらずお美しいね。中也が何か美味しいものを食べたいとぐずるので、新鮮な野菜を貰いに来たよ」
「もう、太宰さんは相変わらず口が上手いんだから! 中也ちゃん、これ、おまけね。甘いお芋だよ」
「わぁっ! おばちゃん、ありがとう! ちゅや、おいもだいすき!」
中也が満面の笑みで手を受け取ると、女将さんは「可愛いねぇ」と目尻を下げた。中也はその純粋で素直な性格から、町の住人たちにひどく可愛がられている。力仕事や、ちょっとした困り事があると、中也はその小さな体で一生懸命手伝うため、町のアイドル的な存在だった。
もちろん、太宰の方も別の意味で有名だった。
「あら、太宰さんじゃない。最近ちっともお店に来てくれないから、みんな寂しがってますのよ?」
すれ違った華やかな着物の遊女たちが、太宰を見るなり顔を上気させて声をかけてくる。すらりとした高身長に、整った顔立ち。独特の色気を放つ太宰は、城下町の遊廓の女性たちから絶大な人気を誇っていた。
「おや、それは申し訳ないことをしたね。でも私には、世界で一番可愛いお姫様が家にいるから、浮気をする暇がないんだよ」
太宰がさらりと交わすと、遊女たちは「もう」と悔しそうに、けれど嬉しそうに笑って去っていく。
それを見ていた中也は、太宰の手をぎゅうっと握る力を強めた。
「だざい、あのひとたち、だれ?」
「ん? 町のお友達さ」
「ふーん……。だざいは、ちゅやのおともだちでしょ。ちゅやのだざいでしょ。おねえさんたちに、おめめ、きらきらさせちゃだめ」
あからさまに嫉妬して、唇を尖らせる中也。その独占欲が愛おしくて、太宰は胸の奥がきゅんと鳴るのを感じた。
「もちろんだよ、中也。私の目は、いつでも君だけを見ているさ。君以外の女性なんて、ただの背景のようなものだよ」
「ほんと……? うぅ、だざいずるい、かっこいい……」
あっさりと丸め込まれ、中也はぽっと頬を染める。こういう頭の弱さというか、単純なところも、太宰にとっては愛くて仕方のない要素だった。
買い物を続けながら、町の中を進んでいく。すると、中也がある店の前でぴたりと足を止めた。そこは、地酒を扱っている酒屋だった。
「だざい! おさけ! おさけのにおいがする!」
「おやおや、鼻が良いねぇ。でも今日は買わないよ」
「んぇ、けち、だざいの、けち」
また不機嫌そうに中也は頬を膨らませる。そして、強請るように太宰に近づき擦り寄った。酒呑童子の血が騒ぐのか、彼女は本当にお酒が好きなのだ。しかし、先述の通り、飲むとすぐに酔っ払って使い物にならなくなる上、今回は困ったことに、彼女の服装が少し乱れていた。
着物の襟元が少しだけはだけ、まだ未成熟ながらも、ほんのりと膨らみ始めた胸元の白い肌が夕日に照らされている。
周囲の男たちの視線が、無意識にその一点に集まりかけるのを、太宰の鋭い目が逃さなかった。
太宰の瞳から、一瞬にして温度が消える。
彼は一歩前に踏み出し、自分の大きな身体で中也を完全に後ろへ隠した。そして、周囲の男たちに向けて、大妖としての威圧を、人間に気づかれない程度に、けれど本能的な恐怖を植え付けるレベルで、ほんの一瞬だけ放った。
ヒッと息を呑む気配が周囲に満ち、男たちは慌てて視線を逸らし、その場から蜘蛛の子を散らすように去っていく。
「だざい……?」
後ろから服の裾を引っぱる中也の声に、太宰はすぐにいつもの優しい笑みに戻って振り返った。
「中也。さっきも言ったけれど、君はもう少し危機感を持つべきだ。着物がはだけているよ」
「あ……ほんとだ」
「ほら、おいで」
太宰は腰を落とし、中也の着物の襟元を丁寧に直してあげる。その指先が、中也の柔らかな鎖骨に触れ、太宰自身も少しだけ理性が揺らぐのを感じた。
「中也。もし、私がいない時にこんな風に町に出て、他の男に変な目で見られたらどうするんだい?」
「え? でも、ちゅや、つよいもん。わるいやつがいたら、どかーんってするもん」
「だーめーでーしょ。君は妖力のコントロールができないんだから、そんなこととしたら町ごと吹き飛んでしまう。大体、そういう問題じゃないんだよ」
太宰は中也の両肩を掴み、大真面目な顔で語りかけた。
「君が他の男に触られたり、見られたりするのが、私は本気で嫌なんだ。君が一人で城下町に行こうとしたら、私は本気で、力ずくでも君を閉じ込めるからね?」
「だざい……おこってる?」
中也の瞳に、みるみるうちに涙が溜まっていく。太宰が本気で怒っている雰囲気を察して、不安になってしまったのだ。
「あ、あぁ……泣かないでおくれ、中也。怒っているわけじゃないんだ。ただ、君が心配で、可愛くて仕方がないだけなんだよ」
「う、ぅあ……だざいがいなくなったら、やだぁ……。ちゅや、だざいとずっといっしょがいい……。おいていかないでぇ……」
ついにぽろぽろと涙をこぼし始めた中也を、太宰は慌てて抱き上げた。中也は太宰の首にしがみつき、小さな身体を震わせながら泣きじゃくる。太宰がいないとダメで、すぐに泣いてしまう。この圧倒的な依存心が、太宰にとっては至上の悦びであり、同時に最大の弱点でもあった。
「置いていくわけがないだろう。私たちは数百年も一緒にいるんだ。これからも、ずっと一緒だよ」
太宰は中也をあやすように背中を優しく叩きながら、購入した荷物を持ち、足早に屋敷へと戻ることにした。やはり、この可愛すぎる宝物は、誰の目にも触れない奥奥の屋敷で、二人きりで愛でるに限る。
屋敷に戻る頃には、夕日は完全に沈み、辺りは帳に包まれていた。
中也は泣き疲れたのか、太宰の腕の中で小さな寝息を立てていた。屋敷の布団にそっと横たわらせると、中也は寂しそうに眉を寄せ、太宰の服の袖を掴んだまま離そうとしない。
「本当に、君というやつは……」
太宰は苦笑しながら、中也の隣に滑り込んだ。
大きな腕で、その小さな身体を包み込むように抱きしめる。
すると、中也は無意識のうちに太宰の温もりを求めて、胸元に顔を埋めてきた。その際、彼女の小さな胸が、太宰の胸板にピタリと押し当てられる。
「ん……だざぁ……」
寝言を呟きながら、中也は太宰の首筋に顔を寄せ、小さく唇を寄せた。それはまるで、無自覚な誘惑のようだった。数百年を共に過ごし、お互いしか知らない恋人。ちゅーとぎゅーまでは当たり前のようにしているけれど、その先へと進むには、中也の容姿と精神はあまりにも幼い。
けれど、確かに彼女の肉体は、少しずつ、確実に変化している。
「いつになったら、君は私に追いついてくれるのかねぇ」
太宰は中也の額に、愛おしさを込めて深く口づけをした。
中也が完全に大人の女性になるまで、あと数百年かかるかもしれない。あるいは、明日突然、成長が始まるかもしれない。それは妖の気まぐれな時間の流れに任せるしかないが、どんなに時間がかかろうとも、太宰の気持ちが変わることはない。
「早く大きくなっておくれ。そうでないと、私の理性が持たないよ。……まぁ、ちっちゃくて可愛い君を、こうして独り占めできるのも、悪くはないけれどね」
太宰は腕の中の愛しい重みを感じながら、静かに目を閉じた。
静寂に包まれた屋敷の中で、妖狐と酒呑童子は、互いの体温を確かめ合うように、深く、甘い眠りへと落ちていった。
コメント
7件
幼児化×女体化のダブル攻撃だ… 小さい中也が本当に可愛いすぎました!
幼児化と女体化ってめっちゃ尊いですよね!泣くのも癖だからまじぶっ刺さり
いやあ、もうもう……!この「ずるい」攻防がたまらんですね。太宰の「早く大きくなっておくれ」が理性と愛しさの狭間で震えてて、中也の無自覚な純粋誘惑がまた可愛すぎる。数百年の時を経てなお「幼いまま」という設定の妙が、関係性に絶妙な焦りと甘やかしを生んでいて、本当に秀逸です。女体化、決して不人気じゃないですよ。この一篇で1400ハートは地味に凄いと思います。